今朝
写真を見ました
広瀬さんの
鎌倉の写真を見ました
夕方の海に
ヒトの影は小さく
ブロック塀のこちらに
紅いオシロイ花が咲いていました
そこに
光るヒトが佇っていました
遠くを見ていました
つづることは
このヒトを書くことでした
今朝
写真を見ました
広瀬さんの
鎌倉の写真を見ました
夕方の海に
ヒトの影は小さく
ブロック塀のこちらに
紅いオシロイ花が咲いていました
そこに
光るヒトが佇っていました
遠くを見ていました
つづることは
このヒトを書くことでした
雲
かな
空も
そうかな
見あげていたな
石ころも
かな
石ころも
そうなのかな
軒下で
並べていたな
そして
いつまでも見ていたな
変なこだねえ
このこは
といわれた
よい
ものは
そこにいた
よいものはそこにいた
朝
浜辺を歩いた
お昼には
冷製パスタを作った
レモンとオリーブ油と岩塩とで
味付けした
以前暮らした
女のヒトが作っていたパスタだ
それから
散髪にいって
帰って
浴室で冷たいシャワーを浴びた
夕方には
モコと散歩に出かけていったのだ
光って
振動していた
そのヒトはいった
激しく振動していた
のだと
そのヒトから
飛び出して
林のなかで光っていた
それは
わたしたちだろう
深夜に
荒井くんは電話でいった
おめえはなんもわかってねえ
ガザのことも
竹田賢一のことも
そう
いった
残して
きただろう
その男は
残してきただろう
鳥のいる
小さな店の奥にいた
白い歯がこぼれて
ちいさく笑った
小鳥たちが
つぶやいていた
藤圭子が歌っていた
夢は夜ひらくと歌っていた
男は
歩いてきたろう
その男は残してきただろう
たぶん
意味はなかったろう
多摩川を渡った
多摩川を渡ってきた
そうだろ
渡ってきたのだろ
消えた
きみのペンダコは消えたろ
たいらにひらいて
河は
河はながれていた
今夜
竹田賢一さんは大正琴を抱いて
眼を覆いたくなる
ことばかりだとつぶやいた
黒い実を
落としていた
ランタナは可愛い花だね
通勤路の庭に
咲いていた
ピンクの小さな花をあつめて
真ん中に
黄色い花を抱いて
咲いていた
花を終えて
小さな黒い実を落としていた
黒い実が
アスファルトに光っていた
黒い実が光っていた
そこに
いない
むこうに
いる
その
むこうに
いる
光って
いた
たくさん
光っていた
そこに
いて
そこにいない
きみは
死者のむこうにいる
その死者たちのむこうにいる
きのう
浜辺で水面を撮ったよ
光っていた
光っていたよ
若い日
故郷から逃げ出してきた
週末に
海辺の街に帰る
こだまに乗って
帰る
途中いくつかトンネルをぬける
トンネルをぬけると
海辺の街とたいらな海が見える
ヒドリノトキハ
ナミダヲナガシ
そう手帳に書いていた
そうだね
週末に
海辺の街に帰る
萩原健次郎
水の催し
そこから羽化した、小さな蝿が
暗雲に混じって
ぶれている。
そういう視界に
生き物とそうでないものの
区別をつけて
あるいは、蝿たちが見ている
わたしという、一塊も、そうでないものと
別けられている。
無機の兆しが
景に満ちて
だれかに、なつかしく思われたいと
夏の坂道に、ある。
ぶうぶう、ぶうぶう、
ずっと遠くから鳴っている
それが、営みの末なのか端なのか
確かめようともしない。
川の両岸に
花の子が、空へ垂直に
よろこんで、立っているようで
紅も、白も不憫で
あまり見つめられない。
ちらちらと、生きているようで
さみしそうにもしていない
里の人に育てられた
茄子に、ビニールの覆いにも
黙礼をして、
ただ、背を押されるようにして
気を、降ろしていく。
荷のない午後に
逆さまに。