bath 風呂 入浴


浜辺を歩いた

お昼には
冷製パスタを作った

レモンとオリーブ油と岩塩とで
味付けした

以前暮らした
女のヒトが作っていたパスタだ

それから
散髪にいって

帰って
浴室で冷たいシャワーを浴びた

夕方には
モコと散歩に出かけていったのだ

 

 

 

 

body 体

光って
振動していた

そのヒトはいった

激しく振動していた
のだと

そのヒトから
飛び出して

林のなかで光っていた

それは
わたしたちだろう

深夜に
荒井くんは電話でいった

おめえはなんもわかってねえ

ガザのことも
竹田賢一のことも

そう
いった

 

 

 

pen ペン

たぶん
意味はなかったろう

多摩川を渡った
多摩川を渡ってきた

そうだろ
渡ってきたのだろ

消えた
きみのペンダコは消えたろ

たいらにひらいて
河は

河はながれていた

今夜
竹田賢一さんは大正琴を抱いて

眼を覆いたくなる
ことばかりだとつぶやいた

 

 

 

finish 終える

黒い実を
落としていた

ランタナは可愛い花だね

通勤路の庭に
咲いていた

ピンクの小さな花をあつめて

真ん中に
黄色い花を抱いて

咲いていた

花を終えて
小さな黒い実を落としていた

黒い実が
アスファルトに光っていた

黒い実が光っていた

 

 

 

photo 写真

そこに

いない

むこうに
いる

その
むこうに

いる

光って
いた

たくさん
光っていた

そこに
いて

そこにいない

きみは
死者のむこうにいる

その死者たちのむこうにいる

きのう
浜辺で水面を撮ったよ

光っていた
光っていたよ

 

 

 

return 帰る

若い日
故郷から逃げ出してきた

週末に
海辺の街に帰る

こだまに乗って
帰る

途中いくつかトンネルをぬける

トンネルをぬけると
海辺の街とたいらな海が見える

ヒドリノトキハ
ナミダヲナガシ

そう手帳に書いていた
そうだね

週末に
海辺の街に帰る

 

 

 

@140710  音の羽

 

萩原健次郎

 

写真 14-07-05 16 26 41

 

水の催し
そこから羽化した、小さな蝿が
暗雲に混じって
ぶれている。
そういう視界に
生き物とそうでないものの
区別をつけて
あるいは、蝿たちが見ている
わたしという、一塊も、そうでないものと
別けられている。

無機の兆しが
景に満ちて
だれかに、なつかしく思われたいと
夏の坂道に、ある。

ぶうぶう、ぶうぶう、
ずっと遠くから鳴っている
それが、営みの末なのか端なのか
確かめようともしない。

川の両岸に
花の子が、空へ垂直に
よろこんで、立っているようで
紅も、白も不憫で
あまり見つめられない。

ちらちらと、生きているようで
さみしそうにもしていない

里の人に育てられた
茄子に、ビニールの覆いにも
黙礼をして、
ただ、背を押されるようにして
気を、降ろしていく。

荷のない午後に
逆さまに。