うずまいて
いた
ゆるい風が
うずまいていた
静かなヒトはうずまいていた
山も
海も
空も
雲も
うずまいていた
台風が
きて
過ぎていった
青空は
ひろがって
小鳥たちが囁いていた
小鳥がうずまいていた
小鳥はうずまいていた
うずまいて
いた
ゆるい風が
うずまいていた
静かなヒトはうずまいていた
山も
海も
空も
雲も
うずまいていた
台風が
きて
過ぎていった
青空は
ひろがって
小鳥たちが囁いていた
小鳥がうずまいていた
小鳥はうずまいていた
今日
荒井くんと会った
吾妻橋の藪で蕎麦を食べた
鳥わさが美味だった
荒井くんは
ジーンズと柄物のシャツだった
スーツは持ってないだろう
荒井くん
ぼくはやっと
スーツが似合うようになったよ
吾妻橋には雨が降っていた
吾妻橋に雨が降っていた
おじさんは
麦わら帽子をかぶっていた
白いワイシャツを
着ていた
自作の浮きと仕掛けで
初夏の海浜公園で釣りをしていた
メジナを
たくさん釣っていた
おじさんはサラリーマンだったんだね
白いワイシャツで
釣りをしていた
メジナを釣っていた
めざめると
窓から
西日が射していた
窓のむこうに
西の山は立っていた
雨は
あがっていた
突破するものたち
突き抜けるものたち
ヒトビトの思いに
沈み
ひかりを突破する
ないひかりを突破する
ないひかりのなかを突き抜けていく
吹けなかった
ハモニカ
吹けなかったな
ピカピカのハモニカ
みんなと
ならんで
ハモニカ動かしてた
唇のまえで
左右に動かしてた
ぼんやり
こころは白い雲みていた
ばかだね
ばかなこだね
ハモニカ吹けなかった
ハモニカを吹かなかった
今朝
バンセをひらいた
トイレで柚木康さん翻訳の
バンセをひらいた
人間の最大の下劣さは
栄誉を追求することである
そう
パスカルは言っている
それから
トイレで脱糞した
満員電車で
仕事に出かける
冬に雪を売りに行く
雪を売りに行く
今朝は
言葉を待っていた
それから通勤電車で
戦争で死んだ
母の兄のことを思った
走るのが速くて
美男だった叔父は
人を殺したろうか
命令されて
号令を受けて
引き鉄をひくことは
暮らしを守ることとは違う
田圃で
母がひとり草を抜いていた
恵比寿で
佐藤時啓さんの
写真展をみた
会場の入り口と
出口に
原発と円形石柱遺跡の写真があり
ひかりは生まれていた
プリントは
印刷することだが
焼き付けることでもあったろう
記憶を焼き付ける
遠い
ヒトビトの
ない
記憶を焼き付けていた
波は
打ち返していた
空をはいいろの雲が覆っていた
はいいろの
海がひろがっていた
西の山の頂はしろい雲に隠れていた
朝
めざめて
なぜベットの足もとの壁をみつめて
泣いたか
わからない
無数のひとびとの悲しみのなかに
ない言葉がある
風が吹いていたね
でんわ
ちょうだい
姉のメールだった
電話のむこうに秋田の
姉はいた
母は肺に炎症をおこして
今夜から
抗生物質をいれると
姉はいった
紅い牡丹の花が咲いていたね
裏山の祠のまえで
母と姉と写した写真がある
風が
吹いていた