今朝
水平に移動して朝焼けをみたのです
そのときコトバは無一物のわたしの栖だと思ったのです
ぼたるさんと
来栖さんと加藤さんが
笑ってこちらを見ていました
ラ・モンテ・ヤングの光の音を聴いたのです
眠っていました
眠りのちかくに栖はありました
今朝
水平に移動して朝焼けをみたのです
そのときコトバは無一物のわたしの栖だと思ったのです
ぼたるさんと
来栖さんと加藤さんが
笑ってこちらを見ていました
ラ・モンテ・ヤングの光の音を聴いたのです
眠っていました
眠りのちかくに栖はありました
中目黒の川沿いの
古本屋で写真集を買いました
ブレッソンでした
コルドバのおばさんの写真に惹かれたのです
ふくよかな手を胸に置いて
眩しそうにこちらをみていました
たくさんの
消え去るもの
二度と出逢わないものを
彼は相手としたのでしょう
水辺に佇つヒトがいた
日曜日の
夕方の空はうすい水色だった
灯りが
港にふたつあかく灯った
佇むヒトは水のおもてをみていた
うしろからみていて
そう思えた
いとしいヒトだった
いとしいヒトだった
水のおもてをみているんだと
思えた
今朝
電車のなかで
毛糸の帽子の女の子をみた
肌色のまるい帽子に
毛糸の細い毛がけばだっていた
光っていた
肌色のタンポポだった
それで
それだけで
しあわせだった
不思議を
きみはたくさんもっているね
たくさんの不思議をもっているね
増えてしまった
増えて
おなかが出てしまった
おじさんの体型になってしまった
増えるものは信用ならない
どこかで減ったものがあるはずだ
ぷきあぷきあ
ぷきあぷきあ
増えることばでなく
幻影のむこうにないことばがある
ないぷきあぷきあ
名前をあたえている
名前のないものに名前をあたえ
ユージさんはピアノを弾いている
名前のないものは他者を求めている
今朝
浜辺で波紋をみていた
波紋はひろがっていった
波紋はひろがっていった
いくつもいくつもひろがっていつた
甘ったるい詩を書いてんじゃないよ
深夜
荒井くんが電話でいった
荒井くんには甘かったのだろう
叙情に過ぎるということか
情が残っていたのか
自我の匂いが残っていたのか
今日
浜辺をつよい風がふいていた
荒れた波の下にテトラポットが青くみえた
そのヒトは
透明なすがたをしていた
そのヒトは
みるひとだった
そのヒトは語ろうとしなかった
ただ
みてしまったんだ
と思った
空襲のことも
死者のことも
みてしまったんだと思った
せかいは垂直にたっています
せかいは垂直にたっています
昨日
雪は降らなかった
鵜の木という駅で降りて
蓮の花という店で鯨をみた
鯨は透明で
ところどころ銀色に光っていた
鯨は捉まえることはできないだろう
ましてひかりは
ひかりは壊れるので触ってはいけません
ひかりは壊れるので触ってはいけません
公園から
突堤と海と空をみていた
突堤の向こうに
海と空がひろがっていた
水平にひろがっていた
遠い光景だった
原初的な光景だった
わたしは理解した
純粋身体は垂直なのだ
わたしには
ドンブリほどの愛もない
だから純粋身体は垂直にたっている