肌がうつくしいとおもった
きみの
肌がうつくしいとおもった
風がつめたかった
今日
スーパーで森をみたんだ
ブロッコリーくらいの大きさの中に
うすみどり色の森があった
たぶん
茹でて食べるんだろう
森のパターンを全部は知らない
肌がうつくしいとおもった
きみの
肌がうつくしいとおもった
風がつめたかった
今日
スーパーで森をみたんだ
ブロッコリーくらいの大きさの中に
うすみどり色の森があった
たぶん
茹でて食べるんだろう
森のパターンを全部は知らない
サンムー
もう世界は明るくなってきた
ツグミが
鳴きはじめた
闇の中でねむっていた
ものと
ことと
ことことと鳴っていた
この悲しみはだれのかなしみなのか
自由をねがって
門のまえでたくさんのヒトたちが死んだ
サンムー
ことことと
ことことと
帰宅するのをモコはまっている
ドアをあけるとモコは
飛びついてくる
小さなからだで
ぴょんぴょん飛び跳ねる
うれしい
うれしい
わたしもうれしい
そしてモコの首元を
ガルルウと齧り狼の挨拶をする
モコが震えている
モコが震えている
うれしい
たまにモコを
イタリア風に呼びます
モォーコーモォーコー
モォーコー
モコはキョトンとして
見あげています
イタリアの少年と
映写技師の小父さんの交友を描いた映画でした
モォーコーモォーコー
近くにいるモコを呼びます
近くにいるモコを遠く呼びます
ドアのまえにたっていた
何も持たずに
たっていた
ドアは何も持たないものに与えられた
何も持たないことは
ひかりだった
ひかりだったろう
ひかりだったろう
ドアのまえで
ひかりを灯した
無言のひかりを灯した
失われたヒトたちこそひかりだろう
福島と東北と
沖縄と広島と長崎
戦争で死んでいったヒトたち
慰安婦とアウシュビッツと
だれも救ってなどと言わない
その場所に
もう一度立てばいい
毎時25シーベルトの場所に立てばいい
野原の松の林の陰に
小さな萱ぶきの小屋はない
もう一度
立てばいい
ギーゼキングの
パルティータを聴いている
第2番ハ短調
シンフォニア
アルマンド
クーラント
サラバンド
ロンドー
カプリッチョ
バッハがライプツィヒに移って
書かれたのだ
愛するひとの心を楽しませるために
肉について言及はない
肉についての言及はない
こどものとき
ことばをうしなった
すでにうしなっていた
軒下の暗やみで
小石を積んでひとりで遊んだ
そこに真実があった
コトバをうしない
ないコトバに出会うことだったろう
詩は
絶対的な
ないコトバに出会うヒトだろう
詩人は
ないだろう
ないヒトだろう
石に
薔薇と秋桜の花を刻んでいた
白い雲が青空にぽかんと浮かんでいた
在ることを停止して
ぽかんと浮かんでいた
そのヒトもそうだろう
在ることを停止してそこにいたのだろう
花の刻まれた石の前で
たばこを吸った
しろい煙があがっていった
テーブルの上にはたくさんの物があります
長崎で買った陶製のキリスト
伊豆の射的場の裸婦の人形
アフリカの石彫の魚
石ころ
公園で子どもが拾ってきた石ころ
モコはテーブルのしたで眠っていた
モコは
テーブルのしたにいた
何もない闇がテーブルのしたにある