闇の
底に
匂っていた
ヤマユリの花が匂っていた
修正する
ことも
固定する
ことも
できなかった
風はふいていた
風は
修正することも
固定することも
できなかった
風はふいていた
風がふいていた
闇の
底に
匂っていた
ヤマユリの花が匂っていた
修正する
ことも
固定する
ことも
できなかった
風はふいていた
風は
修正することも
固定することも
できなかった
風はふいていた
風がふいていた
地上の
ひくい
場所に
朝顔がとどいた
朝顔のうすくしぼんだ花が
ひらいた
ムクゲの大きな白い花もひらいた
そのヒトは
一人で杖をついて階段を降りるのは寂しい
といった
その寂しいもエネルギーか
地上の
地上の
ひくい場所に
佇ちつくす
しかない
そこに
佇ちつくすしかない
見えないかも
しれない
はっきりと
明らかに
見えないかもしれない
斜面の
暗やみにひかる道があり
ヤマユリの花が
匂っていた
そこに佇ちつくすしかない
そこに佇ちつくすしかない
むかし
プアプア先生にあったんだ
先生は
プアプアだといった
世界はプアプアプアプアだといった
意味わからなかった
でも素敵なヒビキだった
世界はプアプアなのだ
プアプアプアプアなのだ
一人で
個として生きていけ
そう先生はいったのだといま
思う
花にも
名があった
ヒトがつけた名があった
思い浮かぶ花が
ある
雪解けの庭の隅に水仙が咲いていた
夏に
鶏頭が咲いて
鳳仙花が咲いていた
山の斜面に白い百合が匂っていた
ハハコグサは
都市のアスファルトの亀裂に乾いて
いた
黄色の花を咲かせていた
はじめてきいた
蝉が
鳴きはじめた
はじめて声をきいた
風がつよく
空には灰色の雲がひろがっている
西の山は
雲をかぶって頂上が霞んでいる
いまは佇って風をうける
いまに佇って風をうける
蝉の声をきいている
蝉の声をきいている
蝉の声を
もう
目蓋がひらけなくなった
母は
きいていた
目蓋のうらの
瞳に灰色の空はひろがっていた
口もひらけなくなった
母は
きいていた
風の声を
雲の声を
ひまごたちの遊ぶ声を
きいていた
小鳥たちの声をきいていた
小鳥たちの声をきいていた
きのうの
夜
雨にぬれた
ブロック塀を抱えて部屋に
帰った
雨にぬれた
ブロックはいった
片隅は永遠につながっているの
ブロックを抱えて
遊ぶ
ブロックを抱いて
遊ぶ
片隅は永遠につながっている
片隅は永遠につながっている
遠い
声に
おびえる
おびただしい
おびえる
つかえないコトバにおびえる
どこかで
密約があったのだろうか
村をやき
民をころし
おびただしい死があった
わたしの祖母の瞳が灰色になった
うすい
空色のなかに
白い雲がうかんでいる
こと
うすい空色のなかを
燕たちが複雑な線をひいて飛ぶ
こと
きみとモコがにっとわらう
こと
晴れた日当たりのよい場所にいること
ありえないこと
ありえないこと