荒井くんから
ラ・モンテ・ヤングを借りた
最近はラ・モンテ・ヤングを聴いている
よく調整されたピアノで
直線を描きそれを
辿れ
火をおこせ
蝶をはなて
他者の悲しみの
むこうに
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
荒井くんから
ラ・モンテ・ヤングを借りた
最近はラ・モンテ・ヤングを聴いている
よく調整されたピアノで
直線を描きそれを
辿れ
火をおこせ
蝶をはなて
他者の悲しみの
むこうに
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
港の空色の水面のしたに
テトラポットの崩れて沈んでいるのをみた
確かに
今朝
崩れて
水の底に折れた手を伸ばしていた
かつて
浴室で鰐も見た
推測できない
推測できない
わたしでないものの境界は水底にあるだろう
大風のあとに
テトラポットは崩れていた
深夜に
グールドを聴いている
バッハの協奏曲ニ短調BWV974
第2楽章アダージョを
グールドが呻いてます
グールドは微かに呻いています
渇きがありました
渇きはありました
浜辺を
歩きました
夕方にモコと浜辺を歩きました
夕方の浜辺をモコと歩きました
あのおじさんと
あわないな
あの白髭の漁師のおじさんと
最近あわない
海浜公園の岸壁から
のべ竿に糸をたらして
手づくりの浮きでメジナを釣ってた
わざわざ単純な仕掛けにして
ねらってた
楽しみは純化すると透明になる
透明なつりびとになる
かもめや
千鳥
磯ヒヨドリの
声を聴いたことあるかい
ハクセキレイと話したことあるかい
あれはズキンときた
ズキンズキンときた
野生だね
野生の声だね
野生の世界にはね
いるね
たしかにいるね
ズキンとね
ズキンズキンとね
ヒタヒタヒタヒタとね
毎朝
ひとつの詩とスープをつくっている
スープには
じゃがいもやブロッコリーやベーコンを入れます
味付けは鶏ガラと塩と胡椒
たまに台所で味見します
詩には何を入れるか
わかりません
ことばに幕が張るのを待って
幕の下にひかりをさがしています
今朝
パスカルはトイレでいった
<人々は一つの球や一匹のうさぎを追いかけるのに夢中である>
パスカルはおかしい
パスカルはおもしろい
真実のみ求めてパスカルは
ヒトの場所にいる
ヒトの場所であたらしい真実を求めている
神の場所ではない
語らない
それはただ見ている
それはただ聴いている
いとしいもの
親愛なもの
それは語らない
それは語らない
今朝
モコと浜辺をあるいた
今朝
きみのことを思った
海がひかっていたよ
空がひろがっていたよ
風がふいていた
今朝
浜辺の縁にモコとすわっていた
浜辺の縁から空と海をみていた
世界の終わりをみていた
終わりのなかに
はじまりの種子がつまっていた
波は音をたてて
くりかえし岸辺をあらっていた
はじまりは終わりからはじまった
はじまりは終わりからはじまっていた
今朝
浜辺をモコとあるいた
波打ち際にすわり
空をみていた
いままでに
たてたことがない
旗は立てたことがない
旗を
海にしずめたらどうか
すべての旗を海にしずめたらどうか
すべての国の旗を海にしずめたらどうか
旗を海底にしずめる
旗を海底にしずめる