century 世紀

遠い

声に
おびえる

おびただしい

死に

おびえる

つかえないコトバにおびえる

どこかで
密約があったのだろうか

村をやき
民をころし
おびただしい死があった

わたしの祖母の瞳が灰色になった

そのコトバをつかわない
そのコトバをつかわない

 

bridge 橋

たしかに
架かっているのだろう

あちらと
こちらのあいだには

今朝
燕たちの飛ぶのをみていた

燕たちは複雑な曲線をひいて飛んでいた

燕たちに橋はいらない
燕たちに橋はいらない

電線にとまって
赤い首をねじって鳴いて

すぐに
飛びたっていった

 

 

 

cloud 雲

ひとりの
夏に

みていたな
いつもみていたな

雲をみていたな

雲は遠い

雲は
遠いヒト

遠い遠いヒト

みていたな
いつもみていたな

雄物川の
川面に
うつっていたな

ながれていったな
ながれていったな

ひとりの夏に
ながれていったな

 

 

snow 雪

日野の
駅で
雪を見ていました

ゆっくり
ゆれながら
降りてきました

日野の駅で
朝まで見ていました

きみはいまどうしているの

雪がふっていました
雪はふっていました

雪が降りてくるのを見ていました
雪はゆれながら降りてきました

 

 

 

less より少なく

溢れかえる
光の
むこうに

わびしい暮らしがあり

そこに
仄かな
ひかりがある

仄かなひかりのなかに
過ぎ去る者が
いた

ことばを求めて
燕は
飛んでいる

あの飛行はより少ないことばから生まれている

燕は
首を捻りながら電線の上でつぶやいた