きのうの
夜
雨にぬれた
ブロック塀を抱えて部屋に
帰った
雨にぬれた
ブロックはいった
片隅は永遠につながっているの
ブロックを抱えて
遊ぶ
ブロックを抱いて
遊ぶ
片隅は永遠につながっている
片隅は永遠につながっている
きのうの
夜
雨にぬれた
ブロック塀を抱えて部屋に
帰った
雨にぬれた
ブロックはいった
片隅は永遠につながっているの
ブロックを抱えて
遊ぶ
ブロックを抱いて
遊ぶ
片隅は永遠につながっている
片隅は永遠につながっている
遠い
声に
おびえる
おびただしい
おびえる
つかえないコトバにおびえる
どこかで
密約があったのだろうか
村をやき
民をころし
おびただしい死があった
わたしの祖母の瞳が灰色になった
うすい
空色のなかに
白い雲がうかんでいる
こと
うすい空色のなかを
燕たちが複雑な線をひいて飛ぶ
こと
きみとモコがにっとわらう
こと
晴れた日当たりのよい場所にいること
ありえないこと
ありえないこと
たしかに
架かっているのだろう
あちらと
こちらのあいだには
今朝
燕たちの飛ぶのをみていた
燕たちは複雑な曲線をひいて飛んでいた
燕たちに橋はいらない
燕たちに橋はいらない
電線にとまって
赤い首をねじって鳴いて
すぐに
飛びたっていった
さっき
バッハの
ヴァイオリンソナタ3番を 聴いていたら
ぼくの窓辺に
燕たちがやってきたんだ
燕たちが
5羽もやってきたんだ
誰の曲を聴けばいいんだろう
宇宙船を呼ぶには
ぼくの窓辺に宇宙船を呼ぶには
誰の曲を聴けばいいんだろう
真近に
感じて
いた
祖母を感じていた
着物を着て窓辺に
たって
いた
いつもとおりをみていた
灰色の瞳をしていた
息子を沖縄の遠い戦闘で失っていた
祖母の匂いがした
祖母の匂いがした
空にひばりがないていた
空にひばりがないて
ひとりの
夏に
みていたな
いつもみていたな
雲をみていたな
雲は遠い
雲は
遠いヒト
遠い遠いヒト
みていたな
いつもみていたな
雄物川の
川面に
うつっていたな
ながれていったな
ながれていったな
ひとりの夏に
ながれていったな
日野の
駅で
雪を見ていました
ゆっくり
ゆれながら
降りてきました
日野の駅で
朝まで見ていました
きみはいまどうしているの
雪がふっていました
雪はふっていました
雪が降りてくるのを見ていました
雪はゆれながら降りてきました
夏の
午後
走っていった
白い道を走っていった
誰も乗っていなかったのか
砂埃をあげて
四角い
空白を過ぎていった
走っていった
わたしは見ていた
わたしはいつも見ていた
砂埃をあげて白い道を過ぎていった
空白を見ていた
空白を
溢れかえる
光の
むこうに
わびしい暮らしがあり
そこに
仄かな
ひかりがある
仄かなひかりのなかに
過ぎ去る者が
いた
ことばを求めて
燕は
飛んでいる
あの飛行はより少ないことばから生まれている
燕は
首を捻りながら電線の上でつぶやいた