午後には
居間の
床に寝て
ソファーに眠る
モコを見ていました
昨日は
ぼたるさんの墓参りで
墓石に
ビールをかけ
青空の下
乾杯しました
煙草を線香にしました
墓石のむこうの田圃の水面を
つがいのハクセキレイが横切るのをみました
午後には
居間の
床に寝て
ソファーに眠る
モコを見ていました
昨日は
ぼたるさんの墓参りで
墓石に
ビールをかけ
青空の下
乾杯しました
煙草を線香にしました
墓石のむこうの田圃の水面を
つがいのハクセキレイが横切るのをみました
庭のアジサイの青い花が、
夕暮れの闇に見えなくなって行き、
窓のガラスにわたし自身の姿が浮き出てきたので、
「この男は」と思ったとき、
はあ、そういえば、今日の昼間、
いきなりの
富士山だったね、
それも、
北斎版画の富士山の前で
大口を開けた着物の男が
襷がけで、
充電式草刈り幾で草を刈っている。
「ニッポンの草刈り。」
MAKITA
ってテレビのCM。
集団自衛権の行使が承認されたからって、
ニッポンの首狩りはゴメンですよ。
なんてね。思ったね。
昨日の昼間は、わたしは番号が印字された紙を手に、
慶應義塾大学病院の泌尿器科の待合室で診察の順番を待って、
車椅子に座って、
掲示されてる番号の順番を気にして待っている人たちを眺めていた。
一時間余り、平和な時間。
ラフなスタイルは編集者かな、ネクタイは会社部長かな、
あの頭髪は係長かな、眼鏡は教員かな、鞄は営業マンかな、
わたし同様に夫婦連れできている人もいて、
どういう人たちか分からない、年取ってる、結構若い、
勿論、わたしもその待っている数十人の男たちの一人だった。
わたしは飴嘗めたりして、採血の数値の結果を待っていました。
今日は、スーパーMARUSHOに買い物に行ったのね。
わたしは麦わら帽子を被り電動車椅子に乗って麻理は歩いて、
上原中学校の前から井の頭通りに出て、横切るとき、
電動車椅子だと信号の点滅がすっごく気になるんだ。
代々木上原駅の高架下からコンビニの角を曲がって、
麻理の一押しでMARUSHOの店内に乗り入れた。
野菜スープに入れる洗い牛蒡一九八円とかカボチャ二〇三円とか、
温野菜サラダのキャベツ一九八円とかセロリー一五八円とかの野菜や、
カレーに入れる若鶏モモ肉二九六円や、
明治ブラックチョコ六〇六円や、
わたしの好きなカンロキャラメルサレ2袋三五八円などなど30品目、
八二九七円の買い物をして
とても持ち切れないので配達して貰っちゃったのさ。
MARUSHOは三〇〇〇円以上買うと無料で配達してくれるんですね。
スーパーの狭い商品棚の間のつるつる床を、
棚にぶつからずに電動車椅子を操ってすいすいと進む。
電動車椅子の運転がうまくなったもんだね。
麻理は袋入り宮坂吾作割れせんが気に入っている。
そうそう、
カンロキャラメルサレっていう塩入の飴は、
思わぬ人が犯人の刑事ドラマを見るのにぴったりなんだ。
そちらの棚に電動車椅子を進めると、
パンツ女のお尻がちょうど車椅子の目高でね、
左、右、左右プリップリッと目の前を通り過ぎて行く、
やっぱりちょっと目移りしちゃうよね。
スーパーMARUSHOで買って来たものはね。
朝、昼、晩、一週間余りの朝昼晩の食事で食べちゃうんですよ。
今日も、朝食の支度はだいたい六時に起きて、
わたしが足腰のリハビリのためにってやってるんですね。
毎朝、温野菜サラダと決まってる。
キャベツとニンジンとセロリとアスパラとタマネギとリンゴを蒸して、
トマトとバナナと麻理が食べるヨーグルト一匙を二つの皿に盛りつけるのね。
それにキューピーの深煎りごま入りドレッシングをかけての、
温野菜のサラダってことです。
蒸したキャベツもニンジンも甘くて美味しいよ。
それからガスレンジで8枚切りの食パン1枚を焼いて、
バターを塗って薄く切ったハムを乗せて洋辛子をつける。
麻理はパンを食べたり食べなかったり。
飲み物はピュア・ダージリン2バッグにハニイ・ヴァニラ・カモミール1バッグを、
沸騰するポットに入れた紅茶をマグカップに注ぎ、
そこへ成分無調整・とちぎの牛乳と蜂蜜を入れるんです。
これを杖を突かずに両手で持って広間のテーブルまで運ぶのが、
足がふらふらするから、躓いて、取り落としたら大惨事と、
気を遣ってそろそろそろっと歩くんですね。
今日は、朝食の後は、朝日と日経の朝刊を読んでから、
風呂場で素っ裸になって麻理に髪の毛を切って貰ったんですよ。
「後ろの毛、このくらい切ったけど、どうお」
「麻理がいいと思ったらそれでいいよ」
「駄目よ、自分の感じを言ってよ」
と麻理はわたしの頭を優しくぐいっと押すのだ。
わたしはうつむく。
頭がぐいっと押されるからうつむく、
その時の感じ、優しく押されているのだが、
反抗心の極々小さな芽がぴょこんと出てくる。
頭を押されるって、押さえつけられる姿勢でむかっとくる。
押さえつけられる、押さえつけられる、押さえつけられる、やだなあ。
記憶の底の方に仕舞い込まれているんですね。
髪の毛を切って貰った後、シャワーを浴びて、
風呂場の床のタイルが汚れているのに気がついて、
這い蹲ってたわしでゴシゴシゴシ、
シャシッャーと汚れを水で流しました。
ゴシゴシゴシ、シャシッャー。
今朝も
写真をみた
阿佐ヶ谷の
ブロック塀が写っていた
無意味だと言った
模写の対象だと言った
紙幣だと言った
ブロック塀を
抜けて
朝に
帰れば
テーブルには
昨日のコーヒーカップがあった
意味に満ち溢れた電車で
帰ってきた
満ち溢れていた
明るいオフィスの宙空で揺れている
四角くて黒いものは何?
今、関連会社に出向しているんだけど
オフィスが100階建ての高層ビルの中にある
築30年の本社のオンボロビルとは大違い
ICカードで幾つものロックを解除しながら出勤し
監視カメラに睨まれながら仕事をする
最初はビビッた
だらけたトコ見せたら大変なことになる、なんて
けど、じきに慣れた
ま、考えてみたら当たり前だよね
雑談やら間食やらの従業員のちょっとしたサボリに
カメラの向こうの管理室がいちいち目くじら立ててたらキリないじゃん
箱が傾く
……こくっ、くぅら
ぼくも、一緒に出向にきている3人の同僚たちも
同時多発的にそのことを理解した
すると何が起こるか?
傾くジョ
……こくっ、こくっ、くぅら、くぅら
昼食を終えて一時間程たった頃
監視カメラさんはぬっと首を伸ばしているだけ
いつも通りの穏やかな表情だ
加えて
本社にはいた、うるさい上司がここにはいない
それじゃ失礼して
やったー、揺れ揺れッ子だ
……こくっ、こくっ、こくっ
まず吉田と佐藤が頭を揺らし始める
それに気づいた高橋がつられて大あくびしたかと思うと
「俺も混ぜてくれ」 目を閉じ
同調し始めた
ミーティングの時は意見が合わないのに
目をつむると結束が固くなるんだからなあ
……こくっ、こくっ、くぅら、くぅら
……こくっ、くぅら、こくっ、くぅら
……くぅら、くぅら、こくっ、くぅら
おでこの先に生まれた
暗闇の入った小さな四角い箱
吉田も佐藤も高橋も
規則正しく
互い違いに揺らす
時々、空中で箱同士がぶつかって
にゅっと凹んじゃったりして
でも、平気平気
ちょっと薄目開ける間に
箱はぽぽっと元に戻ってる
これも
ぬっと首を伸ばしたお地蔵さまの
不思議なお力のおかげ
ぼくたち出向社員は
睨まれていたんじゃなかった
見守られていたんだ
さて、ぼくも5分だけ仲間に加わりますか
目をつむって体の力を抜くと
閉じたまぶたの向こうにうす黒い直方体が
ぽぽっと出現したのがわかる
ありがたい、ありがたい
それでは
……こくっ、くぅら、こくっ、こくっ、くぅら、こくっ
今朝
写真を見ました
広瀬さんの
鎌倉の写真を見ました
夕方の海に
ヒトの影は小さく
ブロック塀のこちらに
紅いオシロイ花が咲いていました
そこに
光るヒトが佇っていました
遠くを見ていました
つづることは
このヒトを書くことでした
雲
かな
空も
そうかな
見あげていたな
石ころも
かな
石ころも
そうなのかな
軒下で
並べていたな
そして
いつまでも見ていたな
変なこだねえ
このこは
といわれた
よい
ものは
そこにいた
よいものはそこにいた
朝
浜辺を歩いた
お昼には
冷製パスタを作った
レモンとオリーブ油と岩塩とで
味付けした
以前暮らした
女のヒトが作っていたパスタだ
それから
散髪にいって
帰って
浴室で冷たいシャワーを浴びた
夕方には
モコと散歩に出かけていったのだ
光って
振動していた
そのヒトはいった
激しく振動していた
のだと
そのヒトから
飛び出して
林のなかで光っていた
それは
わたしたちだろう
深夜に
荒井くんは電話でいった
おめえはなんもわかってねえ
ガザのことも
竹田賢一のことも
そう
いった
残して
きただろう
その男は
残してきただろう
鳥のいる
小さな店の奥にいた
白い歯がこぼれて
ちいさく笑った
小鳥たちが
つぶやいていた
藤圭子が歌っていた
夢は夜ひらくと歌っていた
男は
歩いてきたろう
その男は残してきただろう
たぶん
意味はなかったろう
多摩川を渡った
多摩川を渡ってきた
そうだろ
渡ってきたのだろ
消えた
きみのペンダコは消えたろ
たいらにひらいて
河は
河はながれていた
今夜
竹田賢一さんは大正琴を抱いて
眼を覆いたくなる
ことばかりだとつぶやいた