道 ケージ

 
 

しとしと
しをしを
しがしが
しへしへ

しんしん
しみじみ
しばしば
しずしず

しをうつ
しがうつ
しとうつ

しのーと
しのうつ
しるし

しおあじ
しみる
しあわせ
しかし
しらん

しきしる
しくしく
しのび
しのばれ
しれっと

しらんね
しろいと
しばし
しびれ
しばり

しか
しいか
しが
しずまる

しりあす
しりうす
しこしこ
しだしだ

しごとしろ
しまい
しょうちせん
しゃーしか
しろしか

しをうつ
しがうつ
しとうつ
しのう

しめを
しらん
しどけない

 

 

 

背中から始まる

 

辻 和人

 
 

背中から
始まろうとしている
ヒョクッ、ヒョクッ
仰向けのまま
コミヤミヤが体を反らす
くねらす
足は
こかずとんが上げているのを
何度も何度も見てるから
真似して上げてるのかもしれない
でもお尻もちょっと持ち上げてるぞ
おっと、これは
こかずとんがやってないことだ
ヒョクッ、ヒョクッ
右肩浮かせた
おっと、これも
こかずとんはまだやってない
手をバタバタさせて
左肩の方に傾いて
まだ仰向けのまま
ちょっと休んで
首を左右に振る
首が座ってるから振れるんだな
ヒョクッ、ヒョクッ
今度は首も振って勢いつける
お尻のひねりが足りないか
背中浮かない
まだ仰向けのまま
疲れたか
ふぃぇっ
顔が崩れてちょい泣きに入ろうとするから
任せとけ、ここはかずとんパパの仕事だ
ひょいっと抱き上げて高い高いして頬ずり
機嫌直したコミヤミヤ
空中高くひぇっひぇっ笑う
これからちょっと眠って
起きたらまた
背中から始まる
ヒョクッ、ヒョクッ
ころっと回転できれば
何が起こるか
コミヤミヤ自身はまだ知らないが
コミヤミヤの背中は知っている
背中から始まるってことがあるんだよ
その横で
こかずとんが足を高く上げながら
ヒョクッ、ヒョクッ
隣で起こりつつあることを
じっと
見つめている

 

 

 

能登へ

 

工藤冬里

 
 

すぐに横滑りする建造物の中で目配りする
ロケット型の空気を取り出し
清浄機にかける
家の中のテント
(船の中のプール)
各階の住人は同じことを言う
建てた者の卓越について
我々が比較的少数なのは
小泉構文だからだ
思考を遮って
goodボタンを押して欲しい
草色の包み紙
みどりの入ったコンクリートの電柱が見える
七三のようにゲゼルシャフトは遠い
それでも右手を掴もうとして
雲は山の下へ垂れこめていく
水平を取れずに
それぞれが傾いているが
他所からのコメントが
こえを切り取る
最も優れているものと
それに不可欠な三つの要素がある
立体、円環、いろいろなモデルに横滑りしていく
お前は自分が好きか
答えられなければ雲は里へ下りてくる
難しい柱につぎつぎと矢が刺さっていく
ほんもの、と発語しても
ほんものは山の心臓に置き忘れてきた
泉は山の心臓だった
山に住んでいる人はそこから飲む
我々は不整脈の流れから汲む
充電してこなかった愛が切れる
瓦屋根は鱗になって舞う
封じ込めたのは善い動物ではない
拡がっていくのは疫病の原点
野間馬ハイランドは行ったことがないが
馬が居るらしい
居るのかな
手放した手綱のように尾骶骨の上あたりが空洞になる
水平線にはいつも船が浮かび
製紙工場の煙突も見える
海が展けて湾が見える時
こんどは胸が空白になる
あゝあいつに金をやれば良かった
水平線は僅かに凹む
絵など不整脈の職人に任せれば良い
乾いてぼんやり白くなっていくセメントの 
空中写真の中で
すべての人に声を掛ける練習をしているそうだ
駐車場の濃いグレーの車のように愛がない
シルバーの車のように胃が痛い
大久保のトルコアイスのように引き伸ばす
引き伸ばして顎に引っ掛ける
丁寧に引き伸ばして全部隠さなければならない
それには限界がないそうだ
どんだけ伸びるんだ
枝のように斜め
果実の無い樹のように生い茂っている
ネットで囲って解体し、更地にしたい
更地願望を空に突き出す
消去できない写真のように
空中写真のようなアリの絵が浮かんだ
やさしい人になる必要があった
畑の白菜や大根を見ても気付かなかった
間髪入れず
伸ばして、引っ掛ける

https://www.threads.net/@elogedelamour/post/C2YovGGSUYN/?igshid=MzRlODBiNWFlZA==

 

 

 

#poetry #rock musician

 

廿楽順治

 
 

「わたしは数えられたりしない」
のれんをくぐって
男の影はやってきた

みんな
みごとな豚です
重油だらけの空でそだってきた

傘をたたんで
定食を頼もうとする四千人

群れというのは
どうせみんな耳が濡れているのだ

傘のようにたたまれた眠りで
鍋へと飛び込む

「ひとりではないので」
いっせいに同じ夢を食らうほかない
やーい 豚

店の外に
四千人の
子どもがたかっている