広瀬 勉
鳥の柄の皿達を洗う。
立つ
ヒトがいた
冬の
夜の
街に
立つヒトがいた
立ち尽くすヒトたちがいた
食べる
牛丼を食べる
牛丼さえ
食べないヒトもいた
病院の高層の
窓から
見るヒトもいた
冬の夜の街に
汚れた靴で佇っていた
コトバを
脱いで
震えていた
夜明けまえの
凪いだ海に出ていったことは
あるかい
ひとり
ボートで
凪いだ海に
浮かんでいたことは
あるかい
わたしは消えた
景色は
あった
コトバのない世界だった
全てがコトバだった
かすかに風が渡っていった
風がコトバだった
こだまは
富士を過ぎた
半島は横たわる
けものだった
その上に
橙色の朝日が昇っていた
見えないが
風が渡っているのだろう
そのヒトは
お茶の水の病院で
おのれと
空と風を見ているだろうか
高層の窓から
神保町や富士が見えるのだと
言った
なにも生まれない
全員
牛丼を食べた
ほどほどに
私は
尻を追う
社内にいない
のぼせあがる
府中あたりに住む
けれど感染する
看板をどかし
輪から外れた
風景をデッサンする
頭の悪い逸脱は永遠に
ホルスタインに近づけない
選挙と煽動
今夜あたり飲みたい
野苺と毒苺
それより
平成と次の年号
携帯繋がらない
円弧を描く
もしもし