michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

I am tired with walking.
私は歩き疲れている。 *

 

さとう三千魚

 
 

afternoon
before going out

I was listening to Morrissey singing

became an uncle
Morrissey

I was listening
” IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL ” **

I was listening to his song

He sang
” the future is ended by a long, long sleep ” **

Morrissey

Uncle Morrissey
Uncle Morrissey

close your eyes and sing

sing

Morrissey
became an uncle

the future is gone

I am tired with walking *

 

 

午後
出かける前に

モリッシーが歌うのを聴いてた

おじさんになった

モリッシーを
聴いてた

“IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL” **

彼の歌を聴いてた

“未来を終わらせるのは 長い長い眠り”と歌っていた **

モリッシー

おじさんのモリッシー
おじさんのモリッシー

目を

瞑って歌え
歌え

モリッシーはおじさんになった

未来は
過ぎ去る

私は歩き疲れている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** モリッシーの歌「IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL」から引用.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

I’m Thinking of Ending Things 2

 

工藤冬里

 
 

もう十分行くとこまで行ってると思うよ
命の価値と同じくらいに
裏返りは裏返り裏返り
時間軸なんて無いも同然
表も裏も無くなってから誕生した生権力
体はもはや日本でさえなく
脳死から心停止までの間を生きるだけ
受けるより臓器を与えるほうが幸福です
という原則で栽培される哺乳物
と鈴虫しか居ない

 

 

 

#poetry #rock musician

また旅だより 25

 

尾仲浩二

 
 

大阪での打ち合わせが終わって京都へ行った。
観光客がまばらな四条河原町。
普段は泊まれないちょっといいホテルも投げ売りしている。
なので連泊してパソコンで仕事をすることにした。
日中に散歩してみたけど暑すぎて危険。
食事は隣のスーパーの惣菜。
ほとんどホテルにて京都にいる感はほとんどない。
四泊した最後の夜にひとり鴨川の河原で飲んだ。
いい風が吹いていた。この夏の思い出。

2020年8月27日 京都にて

 

 

 

 

We should so act that we have nothing to regret.
私達は何も後悔するようなことがないように振舞うべきである。 *

 

さとう三千魚

 
 

take my dog

sometimes I go to stare at the sea

last sunday

in the afternoon
I went to the sea

I put my dog in the passenger seat of the car

my dog likes to ride in the passenger seat

drive the beach together

holding my dog
from the jetty

I was staring at the sea

the waves were rushing

the waves were rushing over and over

there were no same wave as one

the waves were breaking from the other side of the world
the waves hit the tetrapod and shattered white

We should so act that we have nothing to regret *

 

 

犬を
つれて

たまに海を見にいく

この前の
日曜日も

午後に
海を見にいった

車の助手席に犬を乗せていく

犬は
助手席に乗るのが好きだ

ふたりで浜辺をドライブする
犬を抱いて

突堤から

海を
見た

波は打ちよせていた

波は
何度も

打ちよせた

ひとつとしておなじ波はない

此の世の向こうから波は打ちよせていた
波はテトラポッドにあたり白く砕けていた

私達は何も後悔するようなことがないように振舞うべきである *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

 

道 ケージ

 
 

くだよくだ
くだしてくだす
管をどうする
そこじゃないから埋め戻す
傾きを生きて
くだよくだくだらなくてぐだくだ
あなれんぞくあなつなぎ
上が入り口、下が出口

てめえ、竹輪だろ
そんなに無理に入れないで下さい
胡瓜、チーズ、キムチって
やめて さける いたいって

くだんしたくだるやすくにのさか
くもるからくるうくらし
くにもくじらもくちて
くずしてくぐるくやみくらやみ
くれないのくりいりくずゆ
くまくさいくそして
くきのはしょくしてくるう
くるくるくるっとる

 

 

 

I’m Thinking of Ending Things

 

工藤冬里

 
 

感染は内側が滑子になって
顳顬からぐしぐしと人が死ぬ
と百舌が語り掛ける

カキエダという名前だった
尖らせた口の定着したまま老いた
鳥が無くことにさえ気付かず
山火事を避けて歩くだけ

濡れたアスファルトに五円玉が浅く水没している
さざなみが立つ
巌谷小波

死は遺伝に似ている
ピグメントでは真理は表せず
学識ではなく理性が必要で
それは逃亡するヒムラーに追いつく
と鷺がゆったりと叫びながら湖面を征く

 

 

 

#poetry #rock musician

今日の謎めき Ⅱ

 

南 椌椌

 
 


© kuukuu

 

Ⅱ—1

久しぶりに身辺が謎めいている
ささいなことだが
郵便ポストに、待ち人の手紙が入ってこない
携帯もパソコンも持ってない
はるかな男、ソンソンムからの
月に一度の、愉快なハガキや封書が
もう二ヶ月届いていない
これは不吉の兆候だな、なにかがあったのだろう
ソンソンムは、遠い北の山中雲間に住んでいる
病気でもしたのか、雲から墜ちて意識を失ったままなのか
それとも、ときおり訪れる朧気(おぼろげ)の病か
いまは訪ねることも適わない
まずはこちらから、切手を選んで封書を送った
二週間経って返事がなかったら
この謎めきは、不吉の図星が当たったことになる

いやいやたぶんこうだろう
ソンソンムは雲の上で、パンソリ歌っている
彼のパンソリは無上の響き、有情の深み

空0ひがないちにち へんげんむげん
空0くものながれに たゆたいおぼれ
空0またさおさして ぱんそりうたう

空0コロナの不安は日々の衣装だな
空0ソンソンム 無事ですか 返事チョーダイ

これだけ書いて投函した
ひとまず今日の謎めきはやり過ごした
しばらくは、歌えない歌を歌って、待っていよう   ✶
 

Ⅱ—2

今日の謎めきはメヒコ
別件の郵便がポストに入っていて
カーヤのむすこのソキチが
笑顔のハガキを送ってきた
メヒコに住む父ちゃんのクーニョ真似て
恥ずかしげに笑ってる顔に、マジックで髭
ソキチは幼い頃から、厭うことなく
上州太々神楽を舞っている

コロナの不安は日々の衣装だな
ソキチは今年父ちゃんクーニョに会えない
徘徊好きの銀細工師も街に出られず
仮住まいのタオ鍼灸院の作業場で
そろそろと72歳を迎えた
フライパンで謎めきのタコスつくって
職人だから、整理整頓片付けは得意

クーニョは、小学生の父ちゃんにしては爺さんだ
でもソキチ、父ちゃん面白い人生の人だよ
メヒコの闇も光も、そこそこ知ってる
あるとき、サポテカの土偶の脇の下くすぐって
土偶が笑い転げて、粉々にになった
人生の曲がり角過ぎた大人が
そんなことするか、土偶をくすぐるなんて
あり得ないよね、クーニョあり得ない
巨人ディエゴ・リベラが見たら、あの太い手で
逆に脇の下くすぐられて、すね毛むしられて
素っ裸にされちまうだろう   ✶✶

クーニョはあきらめの達人のような顔
瀬戸なまりのスペイン語をあやつり
時が過ぎて、往々(おうおう)の喜び悲しみ
心躍りの頃合いも、来々(らいらい)過ぎて
父ちゃん80になれば、ソキチはハタチ
一緒にオアハカのメスカル飲めるだろう
オレも絶対ご相伴にあずかる
父ちゃんクーニョ、長生きしてござれ

コロナの不安は日々の衣装だな
メヒコだって、もう仕方ないの領域にさしかかって
クーニョ、小さなまなこ見開いて
謎めきの懐かしいアルチザン
練達の上ゆく、妖しいなぞめきの手つきで
いつにも増して、繊細華麗にシルバーと戯れる
トラクァチェ トラクァチェ と呟きながら   ✶✶✶
 

Ⅱ—3

コロナの不安は日々の衣装だな
今日も謎めきは揺れて
机の上では木喰上人が笑っている
ピンナップは木喰さんだ
右目つぶってウィンク、頬のまるさ
地蔵菩薩の背銘梵字は読めない
だれそれの喜捨で、季節またいで食いつないだ
だれそれに向けて、その恩を記したのか
六十六部回国聖というのだそうだ
ありがたいことだ なんまいだぶ
ひたすら山野僻邑、人の住むところを回ったひじり
誦んだお経がなんだか僕にはわからん

空0人生なるようになるさ なんまいだぶ
空0まあまあでいいだろ なんまいだぶ
空0そんなところだろう なんまいだぶ

いやいや、そんなはずない なんまいだぶ
まるで木喰上人の謎めいたウィンクに
してやられてるみたいじゃないか
 
タモの枯木の皮剥いで、仏さん彫り込んで
椎の実磨り潰して、ズタ袋にいれて
頭上に載せて飄々と、風見て夢見て歩く
昔のことだ、疫病退散祈願はつねのこと
村から村へ、哀しみの連鎖を見て歩いただろう
木喰さん、虚しさをどう慰めていたのか

100年さらっと円空さんとすれ違ったか
謎めいているなあ 大股で歩く 
幾星霜の落ち葉踏んで
仏師行脚の表裏を滑って、謎めきの川べりで
煙管吹かしてチベットの方を見ている
するとあろうかことか
雪の国からの老若僧侶が
遠い眼差しで二人、三人通り過ぎる
赤い裳裾ひるがえして
何処へ 何処へ 何処へ

コロナの不安は日々の衣装
今日もつつがなく、謎めいていた    ✶✶✶✶

 
 

✶ 後日、ソンソンムから来信あり。山中雲間のさらに奥の雲海ハウスで、甘酒とそば粉だけで独居三昧、友思いつつパンソリ歌い、stayhomeしていたとのこと。パンソリは韓国の伝統歌唱、かすれ声果てしなく吟ずる。

✶✶ クーニョ、申し訳ない、たしかにあり得ない、キミはそんな男じゃない、僕の妄想。

✶✶✶ トラクァチェ オポッサムという名でも知られる、南北アメリカ大陸に生息する有袋動物。背中に何匹もの子どもを載せて移動する。

✶✶✶✶ 木喰上人についてもあれこれ妄想するのが好き、上人ご寛恕を。

 

 

 

We are all in daily pursuit of happiness.
私達はみな日々幸福を求めている。 *

 

さとう三千魚

 
 

The day before yesterday
Yesterday

today

With people
With people

I was among people and little people

There are people there

I found that each one wanted happiness

Each one is looking for happiness

This happiness and that happiness may melt together

Solidified
I sometimes bumped into it

Adults too
Children too

I found they wanted

I’m here
Touch the person next to you

When will I be pleased with that person’s happiness?

Solidified
Crash

I’ve always seen the sea and the sky

We are all in daily pursuit of happiness *

 

 

おとといと
きのうと

きょうと

人と
人と

ちいさな人たちの
なかに

いた

そこには
人がいて

おのおのが
幸を

求めていることがわかった

おのおのが幸を求めていて
この幸とあの幸は

溶けあうこともあり

固まって

コチンと
ぶつかることもあった

大きな人も
ちいさな人も

求めているのがわかった

ここにいるわたしが
となりにいる人に触れて

その人の幸を喜べるのはいつだろう

固まって
コチンと

ぶつかって

いつも海と空を見てきた

私達はみな日々幸福を求めている *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life