michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

「はなとゆめ」03  背中に咲く花

 

今朝

モコが吠えていた

ウォン

ウォン
ウォーーン

モコの吠える声が聞こえていた

ぼくは
目覚めていた

ハイビスカスの花は揺れていた
淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた

きみはいない

きみは
今朝

モコが吠えていた

ぼくは目覚めていた
庭の片隅にハイビスカスの花が揺れていた

モコは吠えていた
モコは吠えていた

風が吹いていた
風は

背中にハイビスカスの花は揺れていた
背中にハイビスカスの花が揺れていた

きみは
いない

つまりこの世は神が創ったのではなく

モコは
吠えていた

ぼくは目覚めていた

ハイビスカスの花は揺れていた

きみはハイビスカスの花が揺れていた
きみは淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。

 

「はなとゆめ」02  野外

 

カタバミの花 咲いた
カタバミの花 咲いたの

きみのいない庭のアマリリスの鉢から

咲いた
咲いたの

カタバミの花

咲いたの

細い茎の先の
先に

むらさき色の花のひらいて

むらさき色の小さな花をひらいて
ひとつふたつみっつ

ひらいて

きみの庭のアマリリスの鉢から
いないきみの庭の片隅のアマリリスの鉢から

モコが庭で吠えてる
モコが庭の片隅で吠えてる

ウォン
ウォン

ウォンウォーーン

モコが吠えてる

いないきみの庭の隅の片隅の

モコが吠えてる
モコがウォンウォーーン

吠えてる

いないの

きみはもういないの
きみはもう遠くへ行ってしまったの

カタバミの花は咲いたの

カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの

むらさき色の小さな花ひらいて
消えていったの

消えていくものは

細い茎の先のむらさき色の花ひらいて
細い茎の先の先に小さなむらさき色の花ひらいて

先なるものと
より先なるものと

なってきみは消えていったの

消えていくきみがいたの

いくつも消えていくきみがいたの
いくつもいくつも消えていくきみがいたの

消えていくきみをしずかにささえていたの
消えていくきみをしずかにささえていたかったの

消えていくものは消えていったの
消えていくものは消えていったの

野外に消えていったの

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。

 

 

 

「はなとゆめ」01  うその暮らし

 

きみはねむってるの
きみはいきをしているの

きみはいきているの

きみは
どこいったの

きみのやわらかい笑顔はどこにいったの
きみのかなしい瞳はどこにいったの
きみのおかしいあくびはどこにいったの

ちかくでみているの
ちかくからみているの

きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させて

ゆっくりとゆっくりと停滞させて
そしていなくなった

山百合の匂いを残していなくなった

山の斜面には白い道があった

霧がながれてきて
このままだと死ぬんだとおもった

でももういいんだともおもった

だからもういい
だからもういい

きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させてそしていなくなった
きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させてそしていなくなった

きみはねむっているの
きみはいきをしているの

きみはいきているの

きみは
どこへいったの

きみは真顔でじっとこちらをみていた

きみは草木の精霊となって透明なからだでベッドに横たわり
それからきみはゆっくりと浮遊して真顔でじっとこちらをみていた

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。

 

 

落ちてくる

 

長尾 高弘

 

 

空からものが落ちてくる
え、何が?

空から水が落ちてくる
それなら雨と言いなさい
いやいや雨じゃないんだよ
英語でwaterfallと言うじゃないか
どれくらいの水だと思ったの?

空から人が落ちてくる
ビルとか塔とか
高いところを作らなければ
落ちてこれないのにね
ほかの方法じゃなくて
なぜその方法を選んだんだろう?
一度は高いところまで行きたかった?

空から爆弾が落ちてくる
今このあたりには落ちてこないけど
昔のこのあたりや
今のガザのあたりには落ちてくる
誰が爆弾を作って
誰が爆弾を買ったんだ?
祖国防衛、自衛権
もっともらしく言い繕っても
殺されるのは女と子供