michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

save 救う

福島と東北と
沖縄と広島と長崎

戦争で死んでいったヒトたち
慰安婦とアウシュビッツと

だれも救ってなどと言わない

その場所に
もう一度立てばいい

毎時25シーベルトの場所に立てばいい

野原の松の林の陰に
小さな萱ぶきの小屋はない

もう一度
立てばいい

 

 

meat 肉

ギーゼキングの
パルティータを聴いている

第2番ハ短調

シンフォニア
アルマンド
クーラント
サラバンド
ロンドー
カプリッチョ

バッハがライプツィヒに移って
書かれたのだ

愛するひとの心を楽しませるために

肉について言及はない
肉についての言及はない

 

 

 

poet 詩人

こどものとき
ことばをうしなった

すでにうしなっていた

軒下の暗やみで
小石を積んでひとりで遊んだ

そこに真実があった

コトバをうしない
ないコトバに出会うことだったろう

詩は

絶対的な
ないコトバに出会うヒトだろう

詩人は

ないだろう
ないヒトだろう

 

 

table 食卓

テーブルの上にはたくさんの物があります

長崎で買った陶製のキリスト
伊豆の射的場の裸婦の人形
アフリカの石彫の魚

石ころ

公園で子どもが拾ってきた石ころ

モコはテーブルのしたで眠っていた

モコは
テーブルのしたにいた

何もない闇がテーブルのしたにある

 

 

書斎が行きたいところ

根石吉久

 

書斎

 

それほど広くはない畑で、草だけを使って野菜を作る実験ばかりしてきた。実際、実験ばかりであり、ろくに野菜は穫れてはいない。草は毎年豊作 で、草を作っているのか野菜を作っているのかわからない。周りの畑に来る人たちもわからないらしく、口に出しては言わないが、いったい何をやって いるんだろう 続きを読む

sorry 気の毒で すまなく思って

朝露の中で
閉じた花がひらくのをみていた

小さなラッパのように
閉じた白い花がひらくのをみていた

朝日にあたって
白い花はひらいていった

小さな命がひかりの中で振動していた

ひらいていった
ひらいていった

振動するものをみていた

 

 

tape(布、紙などの)テープ

昼寝のつもりが
夕方まで眠ってしまった

それから
散髪はやめてモコと散歩にでかけた

夕方の青空に
千切れた雲がオレンジ色に染まっていた

夢の中で見た雲だった
夢の中で見た雲だった

青空の中に
オレンジ色のテープがちぎれて浮かんでいた

 

 

train 列車

北千住で
会津田島行きの列車に乗った

列車から
青空に白い雲が浮かんでいるのをみた

白い雲はそこにあった
白い雲はいつまでもそこにあった

ぼたるさんの墓石には
薔薇と秋桜の花が彫られていた

ぼたるさんの花が薔薇で
わたしの花は秋桜と奥さんは笑っていった