尾崎 幸
烏瓜
夏の夜に一晩だけ咲く烏瓜の花
昼過ぎには
“Metamorphosis”を聴いていた
フィリップ・グラスの
“Metamorphosis”は
新丸子に居た頃
ひとりで風呂に浸かりながら聴いた
何度も
聴いた
いまは
もう
夕方を過ぎて
外は
暗い
暗くなって
高橋悠治のピアノで “「1886年の3つの歌」より「エレジー」” を聴いている
「エレジー」は
日本語で
挽歌という
いつだったか
竹田賢一さんの大正琴を聴いて挽歌だと思ったことがあった
午後に
モコの墓に行ってきた
女と行った
モコの月命日だった
9ヶ月が過ぎた
女は
線香を焚いて
モコ
モコ
と名を呼んでいた
もう外は
暗い
高橋悠治のピアノでエレジーを聴いている
#poetry #no poetry,no life
おかあさんは わらっていますが
なあに空虚です
あるとき
血が下からたいへんにでましたが
それはあなたがたです
死んでいくのは だってあなたがた
おかあさんはね
この世界にはずっといませんでしたよ
せんたくものも
昨晩のおかずも ずっとそのままです
おかあさんは
戦争のある世界にはいないので
(やっぱりね)
ちっともひとの「死」でふとっていません