michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

石垣の隙間から覗く
Peek through the gaps in the stone wall

 

工藤冬里

 
 

7.12
柿の種の形をした鳩尾に血液があつまり
浮き上がる暗いニュースは腹の上方を漂う

 

 

7.14
夏の夾竹桃の黄色い病葉はとても綺麗である。こういうものでも良いのだと思わせる刀のような力がある。

 
 

石垣の隙間から覗く
Peek through the gaps in the stone wall

息ができない
詩より酸素がない
だからdisりも聞こえない
酸素は作れない
原因と結果を共に箱に詰めて
石垣の割れ目に滑り込ませる
割れ目にはヘビがいるだろう
可愛い眼をした、、
ヘビは友達だ
唯一の、、
字が綺麗ね
そのまま本になりそう

いろいろ考えた
僕もいろいろ考えた
裏のことや表のこと
でもどうやら
問題はアダムの縫い目にあるらしい
蟻の門を渡る舟人かぢをたえ
あと一歩で完成という時に
ラフなクロスステッチで
過程のみを見せる表現方法に窓を遺し
rear gardenのwaste landに風を通した
未踏のハリネズミの裏庭に
日本と似た植生だった
地球だからね

今日も海に行った
水平線は曲がっていく
ここも南極なのだ
舵をなくした舟が
蛇をなくした割れ目から
外を見ている
ゆくへも知らぬO2の道かな

 

7.16
今年のかなかなの歌い始めがFで例年より4度ばかり低い
疲れて生まれてきたのか
生まれてすぐに疲れたのか
全てにおいて紙切れとなった世界の価値のなさをこくんこくんと噛み締めてコロナの喉に無理に水を通そうとする大見得なのか
芸能に絶望して選び取ったジェンダーの最小公倍数なのか

 

 

 

#poetry #rock musician

座った、座った

 

辻 和人

 
 

座った、座った
―何が座った?
首が座った
―首が座るなんてこと、あるのかな?
あるよ、見てご覧よ
まずコミヤミヤの両肩の下に手を入れます
首に支えはなし
きょととんきょとん目を回転させるコミヤミヤ
じゃあ、ゆっくり上体持ち上げますよ
肩前に出る、背中マットから離れる
きょとんの顔が持ち上がって
―ぐにゃりってなったりしないの?
見てて、ほぅら
首が胴体の動きに従って
にゃぐり
ついてきてる
コミヤミヤの首、まだ細い
まだまだ細い
しなりそうに、しなりそうに
ここで懸命に重力に逆らって
にゃぐりっ、にゃぐりっ
胴体から離れるなっ
逆らって逆らって
もうひと息
上体まっすぐ
ちょこん
―わぁおーっ、座ったぁ
でしょでしょ? 
首って座るんです
足はなくても座るんです
コミヤミヤのまだ細いまだまだ細い首にとって
座るって楽な姿勢じゃないけど
寝てばかりは嫌
体の上に座ってちょこんしたい
ちょこんと座れば
白い衣服に包まれた自分のアンヨが
きょとんとした目に飛び込んでくる
―感動、これがアンヨかってなるね?
アンヨだけじゃないよ
首がちょこんと胴体に座れば
おおっ、庭の柚子の木が飛び込んでくる
おおっ、さっき口拭いてもらったガーゼハンカチが飛び込んでくる
今まで見えなかったものが
にゃぐりっ、飛び込んでくるんだ
首が座ると目が忙しくなるんだよね
上にも下にも斜めにも見たいものいっぱいあるよ

―かずとんパパ、首が座るって素敵だね
ああ、首
いっつも首だった
細い首
抱っこするたび
ぐにゃり
柔らかく曲がって、それっきり、なんて
ほんとに怖くてね
お風呂の時もミルクの時も
まず首押さえた
押さえると
柔らかい重さが腕全体に零れた
コミヤミヤの首とぼくの腕が一体化する
すると不安が安心に変わって
柔らかい重さがぽっと周りの空気に広がるんだ
―首押さえたら安心がぽっと、ね
そう、ちっちゃな安心
首が座ってこれから味わえなくなっていくのは
ちと寂しいかな

 

 

 

肇事者

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

餘燼,憐憫吧,
墜落的星辰半醒。
在世界的深遂中
純潔的塵埃獲得了遺忘。

燃燒的肇事者。
星辰,碎片叫喊着
策蘭說:"落雪,
彷彿你仍在沉睡"

蜜蜂,終曲裡一個純綷的音符,
等待著更深的領會;
而骨灰漸漸平靜,繼續旅程。

請傾聽這肺腑語音;
花朵已經僵硬,
北京致命!
紅星二鍋頭已經冰鎮,警察美好!
人們應該與我一起讚頌暴政;
在被捕時短暫的時間一起叫喊。

 
2023年7月4日灣仔警署 7月12日西貢

 

 
 

・翻訳はこちらで
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星や木や動物や人間

 

工藤冬里

 
 

夜通しであっても
母音の形の僅かな違いを聞き 聞きたいとも思っている
どんなことを聞きたいか 
通り道に 
水の中にあるものに似たものに向かって装飾される母音ではなく
信頼されていることを子音の骨は欲している
自動精算機の認知の入った繰り返しに友情を感じるだろうか
俯いても上を向いても座っていてもその清掃員は目を閉じていた
正しい指揮法のタクトの軌跡が
投げ出されたthreadの光の線のように番号を振られて
賭け事に祈りを持ち込まなかったplayerのprayer 蛇の代わりに魚
毎日かかってくるフリーダイヤルから 樺太につなぐ
エル・グレコ色の壁
星や木や動物や人間

 

 

#poetry #rock musician

塀の外へ

 

さとう三千魚

 
 

昨日
こだまに乗った

いつも
こだまに乗る

11番A席だった

海側の席に座り
由比と

熱海と
小田原で

海を見る

新宿駅で降りた
中村屋で秋艸道人の書を見る

横浜の新高島駅のBankARTでAyakaのタイ語の絵を見る
URUNOの動くオブジェを見る

塀の外へ

歩いてみる
残るものがあるのか

歩いてみる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life