michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

河口まで歩いた

 

さとう三千魚

 
 

今朝
玄関の

自転車の
サドルの留具が壊れていた

河口まで
歩いた

小川の傍を歩いた

オオバンたちが水面に浮かんでいた
クチバシが白い

水面が
光ってた

キラキラ
光ってた

富士が青空に浮かんでいた

半島が青く見えた
海原にタンカーが浮かんでいた

海浜公園では
デイゴの木の枝葉が切り払われて

立っていた
デイゴの花の下には逢瀬もあったろう

椰子の葉が風に揺れていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

haven’t yet passed away

 

工藤冬里

 
 

小さい男だった
小さい男だったが
ぼくはさらに小さかったので
包むこともできなかった
今年も梅は受粉せず
梅干屋は潰れるだろう
こうして時事を取り上げるのは大切なことだ
ラリったときの愛のように
表情は人種を跨いで
タッパー毎に曜日を書いて
ドネツクで爆発に遭う
それでも立っていられるか
麺が口に上っていくように靱帯も内部をスルスルと飛行するが
蝋燭で澱んだ夢と同じで
最後の言葉はない
この忍従が
うれしさと結びつくなんて知らなかった
まだ過ぎ去っていない〈以前のもの〉の中で

 

 

 

#poetry #rock musician

午後、ジョギングした

 

さとう三千魚

 
 

女はエアロビに行かなかった
誕生日だから

水曜文庫の近くの松柏堂で買ってきた
どら焼きと胡桃饅頭を

女に渡した

映画にも
温泉にも

行かないと言う

海へジョギングしようか
女に言った

すぐに
引き離され

遠く小川の傍を女が走って行くのが見えた

河口に
女はいなかった

白い富士が青空に浮かんでいた

海浜公園までゆっくり歩いた
公園では親子があげる凧が高い空で風に震えていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life