油断

 

爽生ハム

 

意思に任せて
すぼみゆく豪語
入らないよ
入らないよ
廃語になれたら
入らないよ
もう白けている
寄りかかる谷間の熱
出られないかも
この場所も昔と違うから
待ち疲れたことにする
出られないかも
嘘も承知で
出られない人が認められる
役立たないのに認められる
気持ちがいい
抱きあって平坦な気持ちよさ
やさしく入ってないよ
まだ

 

 

 

わが町

 

爽生ハム

 

 

隣町の事なのか
見知らぬ看板娘が呼ばれている
私は看板を知りたい
電車からは見渡せない
私は看板と娘を切り離したい
いつも そう 思っていた
娘の美貌を
娘のえぐみを
隣町から聴いていた
美貌やえぐみはベルで知らされる
発車寸前で乗りこみ
間に合った車内で恐怖する
いつもの私の行動だ
私は看板娘の街をとばして
目を瞑り地図を見ていた
看板娘の街は
感染をかわす遠吠えで廻っている
私は
看板娘の街で
遠吠えをおこない感染して帰る
それだけを 想像していた

 

 

 

エゴンに従う

 

爽生ハム

 

 

よじれた煉瓦を数え
水辺を越える/豊かなよごれ
向こう岸は今だ笑え
ふと眠って/目が開く
これから有れ/悔いのつなぎめ
うなぎを掴むように/煉瓦を積んだ
今朝/救われたモノです
臙脂色のよじれと眠っている
肘を鋭角に保ち/時間をかけ
両腕がダレるまで
牛豚鶏が出荷される
喋りすぎた舌/喉につめる
動物類は昔と変わらず
よごれてきた/特色のある牢屋
駆け込んだ寺のようなよじれ
渋谷新宿池袋と北上して
公衆は/母方の故郷を
いつも思っていた/寺で遊んだ
いつものように酔えない
何ヶ月ですか?/不安街に妊娠
鳴り響く/証言したまま
立場/行き先を伝えた
つもりでした/ねたみ
世界中の/かの事実は
女の咳払いと/男の含み笑いとで
戦地を決めていた
何か一つ深海に詩を贈ろう
巧妙な/よごれが
沈む/覗いた
眼鏡も海の深さを知っている
ここにきて未だ何も喋っていない
余白は秘境/はたからみれば
よごれ/相討ち
引き揚げられる君の手/暖かい
君の手/冷たい
さようなら
見逃した体験に肩を並べてる
君は楽しそう/犯してるみたい
夜這いでよじれを/回転する
君の体なぞるようだ/回転
蜂のよう/これはどこかで
すれ違った事がある

 

 

 

近辺未来に

 

爽生ハム

 

 

未来に、
手が届く前にビールに、
手がのびる
道すがら、
観察して後追いした女性の
裾が、一軒の酒場に消え、
がらがらと扉にはさまる
わざと、
白桃を1Rにつめていく
そりゃ、男性ではないかも、
しれないが
雨乞いする腰骨に、これから
メトロノームをのせる
これが猿
はやくしろ、変な意味じゃなく
女性を栄養として日暮れへと
報復で二回も愛情、さらって
がらがらと扉にはさまる
面倒な
間合、離される
意見のおもしろい猿が
拾いあげたのは、
メコン川に浮いた不達の手紙
本物なのか、
答案用紙のようだが、
異境のことはわからないから
曖昧の中で寝る

 

 

 

浸透する目薬が起こす、ほんの数秒の発明

 

爽生ハム

 

 

安い画集は色ではなく影を
美しく見せるはずなんです

私は興奮し酸っぱくなった
唾を飲むなどの発語を
食事として泥を白紙に
描いてきた
私は長年
墨の飛沫を付着させている
雪がくびれをなぞる
原稿を手にとり少し不思議な
路地に迷う
私が志願して先へ進む
泥が部屋に戦車を連れてくる
そこに立つ動物を意識していた

象徴的な場所に辿りつきそう

忘れられた小屋の中
酢のきいた食事をとり
睡眠を選択し消化したい

いつも
一冊の書物に薬が挟まる
いつまでも
二冊目の書物を植物が塞ぐ
ああ
酢のきいた食事をとりたい
雪がくびれをなぞる

 

 

 

たい焼き、すごく辛い

 

爽生ハム

 

 

嘘に頼って生きている
汚れた首を、さしだし

楽して、うつろ、になる
君がそうだろう、誰かのように
山の麓で働いて
新開地で眠って

うつろな目でうつろな吐息
うつろな癖を制御して、私の事を繰り返す。

もっと、誰かをひいていた踏切の近くに行こう。

君に手を振り、僕も誰かのように
移動して、風を切りたい。
嘘ばかりついてきた、触れないように撫でてたら。

嘘ばかりついてきた
こづかいでうつろな買い物
資本がない。
体がない。ほどに嘘ばかり
触っていても閉ざされる

そろそろ
逃げ場のない。体のっとり
これからはじまる、誰かの冒険に
肩入れしては孤独を、紛らす。
後ろが正面で、触れたときに抉れちゃう。

憎しみが君のものになるね。

建物に未練はない
満たされず黙るのでない
不確かな路地裏でたい焼き頬張る
うつろな、抒情
下を向いた瞬間に
どつかれる。と、気づいた。
神様のような雰囲気、
それな。実話をもつ女は
子の、産毛へ、神様のような、
女のお産はとてつもなく
男のカロリーはとてつもなく
消費の差が、青にも赤にも
変わりゆく。

 

 

 

拳闘

 

爽生ハム

 

 

誘導してたら、拳が入ったよ。
骨に、
貧乏ゆすりと違う
明確なスキャット。
影を、ゆんわり切り身に
おもいおもいの覚悟から
奏でる。奏でる、押し花のよう
訓練による、ゆんわり。
音が折れ曲がる。
四角の人。油断してろ

 

 

 

大掃除

 

爽生ハム

 

 

わざとらしく集まって
ぼくらの忘れていた部分など
噛み合っていた
蚊などが するどく飛んでる夏
膨らんだ どんより永い夏の事
近い人間やわ
似てる うんうん
それなりに 嘘つく憑依が
美味しい恥肉
わざとらしく忠実に蚊を掌で挟み
障子をつきやぶり逃がす
蚊も殺したりしない
おおらかな人間ですよ
と 日記にでも書いといてくれ
お婆の冷や汁に また白毛が
混じっとる
美味しいきゅうりの食感が
口の中に貼りつく
お婆の孫たちは きゅうりを障子に
貼りつけて
ぺたぺた 遊びだす
成人した人間は白毛で喉が
詰まっとる
苦しそうに窒息や
けらけら わらって腹抱え
腹を通して繋がっとぉ
美味しいって幸せや
苦しいって幸せや
この家は大きいな 年々膨らむ
蚊に負けるんちゃうか
住み心地で人間は勝てへんよな
あなたの事は 忘れるかもしれへん

殺伐とした軒先

手紙が 会えない人間から届く
遠い場所から商業的な手紙や

開封

山の反対側にAEONが
路地裏にAEONが
可愛い都市の笑顔は
お婆の生活をひろげる

奥の部屋

お婆のひげに砂糖がついている
舐めて その後は
なんにもできない
こしらえた白線に 内緒で
シロナガスクジラ引っ張ってきた
部屋も障子もなぎたおして
自由に飼い馴らすペットやで
喰われて眠る 最後の安眠を
なにか他の生物の粘膜で
泣きながら 涙なんかにしない
餌になって喰われた場所が暗闇
静かに 結いしい哀しみ

洞窟

穴を塞ぐぼくらの粘膜は
障子に住むようになった

野苺

慈母は森のなかにおり
時間の端にいる
あの頃の目線では もう立てない
この落差に本格的な盲目の出現を

 

 

 

再婚、煮てたよね

 

爽生ハム

 

 

あどけない、それはない、
容姿の鶏を煮てたよね
半永久に、出会った鶏は
あの虫を納得させるために
出現した鶏

もうキカナイ、このカタカナ
融通、決まりきっている
錆びついた鍋は離婚の勲章
綺麗な離婚だな、楽器のよう

そういえば、というか
前から、思っていた
夕方のピアノの指は
まるで鶏だった

人さし指は交通事故を起こし

薬指は川の水位をあげた

小指は男を浮気させ

親指は口座の金を増やした

中指だけが痛かった

中指は長いからかな
外側ってかんじ
丘ってかんじ、鶏って容姿は
どこ行ったんだいキタナイなあ、
突然、君主が
目の前の桜に止まった

群青だった、グレーの君主を見ると
あどけなく笑ってみせた
無意味だろう
虫は体に入ってくるから
いい貰い手が来る

 

 

 

泥んこ銀製の夜

 

爽生ハム

 

 

深夜のポテチ、たばこの光が蛍

どこで手に入れる、そんな回路

これが蛍ならぶらさがってみる
これが蛍なら
これが蛍なら誰をおもってみる

蛍光灯の下、数える
夜と昼、でも、なぜか夜は稼げる
街灯に出会わない
とおいとおい街、夜景を見透かす
底辺の夜は、まがる

消費する昼に会いたい
破裂した深夜のポテチ
円盤が街を侵略する

寝ている人を棺桶にそっと移して
花が寝ている、場所へ連れていく

もう少し待て
湧き水が別れて
銀幕のスターが夜を
まわす、まざる、あける