貿易

 

爽生ハム

 

 

生乾きの胴体が二年後にやっと乾く。

わたしの焼身はスケッチされて終わる。

(心配だ、信用するべきか、慣れたから許せるのか。)

快音響く鳩のぱたぱたを追いかけ、羽の細やかさに目を疑う。

突然に襲われた。後頭部への打撃、むせる口もと、
茶番に興じる。休日の人

茶番と判断する人は、永久に鳴りやまない訪問者に褒められ続ける。
そして、また褒められる為に功績が欲しくなる。

わたしは
悲惨でなおかつ、暇だから、唾で日本酒をはねかえして、人の淵を温めて過ごす事にした。

 

 

 

作業着の殿様

 

爽生ハム

 

 

坂道を照らす
ココはナンセンスな高台。
ダンスキューブのなかに凡ゆる人格が入っていく

人狼の遠吠えをかき消す為に採取した雨の搾り汁を
唐揚げにかけて階下に運ぶ。
スロープの重厚な手ほどき
の末、
唐揚げは再度、揚がった。
実に香ばしい

シャネルの包みに唐揚げを入れ姉は紅をぬりたぐり
そっと。
一階の南東に配置された窓 に手をあて、磨りガラスのぬめりを手のひらに記憶させた。
知った
形状よ
スルリとうららか
欠けた問題に染み入る。知ってる。この記憶

黄色の粘土状の塊にしか見えないイチョウの木
庭先の木
磨りガラスが眼球にはりついたかしら?

白ける午前中の介護に負けた。
情けないほど転ぶ妹
裁きやすい妹を持つと勿体無いから、姉は満足だった。
幾度となく負けた

膝の紅、包むシャネル

二人 姉妹が撒いた
水のうえをスカーフが走り去った
「反復せよ」と跳ねた水が姉を貫通し、その後、姉は住宅街を練り歩く。
使命感に歩かされていた。
人間を登場させるのを一旦やめて、姉妹の企みに身を委ねる

サーカスから逃げだした姉は
連続して射殺されて以降
声をださなくなった
帰ってこなかった

 

 

 

家族としよう

 

爽生ハム

 

 

ひどいひどい人間の仕草
命を産むのは女性の体だけ
この気味の悪さに努力を感じます

あの教会が日本に帰ってきてから
母の体は美しくなりました

美しい
けど、きどってんな
重ならない地平がつづく
思いだすことで無理やり関わろうかな
遠くまで歩かない私たちは知りにくいとか、決定づけんな

車輌に対するイタズラをやめて
線路の鶏肉は鍋で煮込もう
熱い鍋で立ち姿を和らげたら、モンシロチョウが目から零れる
息を吹き返したよ

母の吹替が女にも聞こえた
「辞めてほしい」

太陽を浴びる河原のボール
鏡に溶けこむ緩みのある顔
休日の水の鮮度がまして
口に含めば暴君も溺れる

健康な倦怠期が猛スピードで走るサンライズ出雲とぶつかった

「これはどこで繋がっているんですか」
「Hotel行けばいいじゃん」
「病院いけばいいじゃん」

淡いスープに片足つっこんで、彼は彼らに靴磨きをされてる気分だった

 

 

 

ガラスばりに改装されたレーン

 

爽生ハム

 

 

どうでもいい 人格を降ろしては、振る舞いに諦めが伝わって時間から絶たれる時間がきたようだ。既にここにはいない、出発したが失敗してまた帰ってくる。その頃にはもう、君の役目は誰かがやってる。会わないでくれ、あざといよ。君の役目はあの時の選択の反対をやることでした。
時間はとびとびで、既にもう過ぎた。再度、振り返るのは残された人の悲しくもない曖昧な、なぜ、私がこんなことやってるんだろう?そこを強調しないで、
他人なのに家族なのに、私の子じゃないのに、神話的なクラッシュで君はもういない。そんな時、ipodのねシャッフルに頼る、けど、ほんと、そんなもんだいたい電池切れで音楽とかそんなもん、調子よすぎ。
過ぎてくドラマチック、覚えていない方が容易い。そう見えろ、そう見えてほしい、覚えてない訳ないだろ、描写しないだけ。
既にもう、だいたい、いない。
刑務所があるなら、入らなきゃいけない。
刑務所から出てこれるなら、出てこなきゃいけない。
刑務所には1年いた。
回想のその先、とっくに老いた。
あそこで寝なきゃいけない。
あらゆる不在の
長いはずだった時間を忘れる、忘れたかのように、とってかわったかのように。
糊付けした背中と肩が、懺悔した時に利用したコンクリートの感触を持ったまま外へ。そんな人間が見る映画はシネコンじゃいけない。
季節はかわった、雪
子供は5歳、君は黒髪、就職おめでとう、
海外行かないの?
行ったかな。そしてかわった。
雪が過ぎてゆく、子供は離れ、親は老け、
どうせ誰かが死ぬんだろう?
大丈夫、踊り暴れたい。
どうせ出逢うから、けど、話は進んでるから、もう過ぎた。
出逢っても別れる、というか
もういない。なぜか新しい命や環境へ。とびとびだったから。
そして、現在、
飛んできた。
もう現在も
終わろうとしている。

 

 

 

失跡、着火、失踪、蒸発、神隠し

 

爽生ハム

 

 

没後、足りない色彩があるなら
黄土色の秋を足そう

爪にのったラインストーンは豚の脂身みたい
皺を数えながら、思わず
私の爪にも
新しい堤防だね

千切って、添え契る

火、羽織りそびれたみたい
君の手に飼いならされるなら
君が寝た布団で私も寝ていいですか

応えろ
喉仏つよく、よわく
泥を塗って暮れようか、君がいた手

埋没に搾られて純情で酒が飲める

木々の繊維と配達人

線がふくらみ、手を入れる
私は寝たあとの事を考えない
脱水、脱水、脱水、
疾く、疾く、疾、疾、疾走

君のせいで照らす
人跡が眩しい、痒い、腹立たしい

 

 

 

ドクス

 

爽生ハム

 

 

話術にたけた人と帰り道が一緒になり、SONYのイヤフォンを外す。
狐になりたいと思いますかって聞いてくる奴だったので、小指切り落とすぞって返す。
笑いながら、その人は加工された肉を頬張り、頬骨を鋭角に発達させ外国人になりました。
最近、如何ですかとか言うな。近況報告は此の世でいちばん嫌いな文字の並びだ。それがはじまりなのも許せないが、頭切り落として平謝りで金銭を得るだけの理由は私にもある。
二人のはじまりをはじめる為に、実在しない近況を語る。
白い狗が私の中に入ってきた一夜の事を伝えます。それを今、振り返る。

色彩が窮屈になってきたのを感じ珊瑚を食べていましたら、実装した軍人が海から歩いてきて、私に、
「いつ終わるんですかね。辻褄あわせは。」
と聞いてくる、何処から来たのかもわからない軍人に話を合わせようと口を動かしても、ノイズしかでてこず、恐る恐る海の水にうつりそうな顔を見れば、私は白眼の御影に化けていた。化けた私は軍人の骨をしゃぶり続け、軍人の口を封じた。そして、お互いの残された毛が波に飲まれ、吐くほど飲まれていったのを裏側にあった黒眼で、小さな穴から覗いていた。
思い出せる時点までを話し終え、少し安堵する。あの頃の私。

「カヌーが水を切ってゆくのは、よくある方向への眼の置き方ですね。」
「そうですね。」
「だいたいの人は見開いたページを求めますから。」
「似てますね。」

指定修理工場に向かうバスの中で、納得のできない作業員が水に浸かって錆びつくのを待ってる。けど、そんなもんは坂道に負けて、後方の窓硝子から大量の水を街角まで流すし、街の最後の角に辿り着くまでに乾いて斑点になっちゃう。
それはもう気持ち悪い斑点で、虫がいるって想像しやすい感じ。
虫がいる人はほんと不幸だね。虫を飼って体に植えつけている、虫がいなくなるのは何年後か、わからないまま整える。
バスが坂道を登る度に傾斜を削り塔を造る。塔のくびれに見惚れる行きはいいが、帰りは落下するだけ。
過ちを繰り返す、繰り返しては偏狭な姿に私を寄せて近況を遺そうとする、そうだろ、私の話術は今日も。そして明日も、健全に違いない。

 

 

 

仲良くできないわ。結構、頑張ってきたけど頑張った結果

 

爽生ハム

 

 

時計が遅れていたら
時間をとり戻すのにとり憑かれる

ほっぽりだして、対岸へむかう
アキレス腱がシナリオ通りに躍動する
いつもながら、私は借りれる
暴れる映像になった私を、川が挟んで騒がしい

サラダ、泣く、蓋…
昼食を川にとられた

私はこっち、
スカートは緞帳でエラく膝にのしかかる、真面目に言っています

真面目ついでに
ビル群の片面の清掃は私に任して下さい
傘をさして台風でもお天気をお伝えする演技をしますから

自動木馬に白い布が被さる
餅のように膨れ風が殻を破る
酢のきいたおかずで動いている私は
時計を外して絵画をかけました

眺めてたって溝はうまれる
見つからないように目で追ったのに、口惜しい

マイクロフォンにぶちまける
胎内仏が私でいいよね

そして、アラームを止める
アラームを聴く

曇の下まで落ちた
目は池に沈む
それは共にある、0メートルの沈殿
エコーが閉園を告げ、スカートの緞帳が曇を片づける

私は
気のきいた神殿で寝ることにした
恥かもしれないが、
この缶詰は流れやすい

 

 

 

閉じたエレベーターガール

 

爽生ハム

 

 

アルバイトして、鳥
してバイトしたら鳥に見られる
砂糖の大群にも見られる
詰めよられる

鳥、雪山にもいる
車を動かし続けて写経していく

撮れ、形在る自然におかれた
念頭にない頭

地図で見られても全然うごいてない
指さした甲に積もる雪を感じることが大事になってきた
砕けた石を見てるにすぎないことに負けていました

旗、やっぱ、旗なら届く
ドロップ舐めて仮装する舌に個の往来が生じる
生じたつもりか

暴力的すぎない?君の家はどこ?

夜な夜な、かけあう声は
きっと
雪山に繋がるはず
そこへ、かけこむ動物が形成していく土俵
を踏んでカメラをかまえる

どこいっても王冠

もう夜か…
動物の日当を見てる

 

 

 

自死を免れろ

 

爽生ハム

 

 

濡れた灰に固まる露な手
怪奇と呼べるだろうか
眠るように安らぎを実践する
未だ見ぬ乖離を諦めた手に
添える手が在るだろうか
暴挙を振りかざす
結果が死に際のサンセットでも
死んだ肩を抱く蛆虫に綺麗な絵付けをする事ができるだろうか
私が悪いということをおおっぴらな態度で
寝ることを実生活で実践し始めた人の呼応と呼べない口から漏れたオイルを
舐めて居らしてからだかたちすとーんと乳房を吸うように
幻滅しないで目の前の歩みに声を殺して口をすぼむことができるだろうか
含んだ口を圧迫する貴方の皮膚は私の堕れた皮膚感覚を無惨に剥く
産まれいれた欲望は人を殺めてしまう程の強度はないのか
思いがけない年齢で死んだ物に
私は物と言ってしまう
世を離れた偽善者を物と言ってしまう
物を語る事を問われた残された人型にとって
語ることは辛い
辛いことは回収され新たな飯盒で炊かれる
私は物を語ることと喪失してしまった人の汗で米を炊く

 

 

 

腕の頑ななもぬけっぷり

 

爽生ハム

 

 

腕の褐色が剥がれ抜けおちるだけの繰り返しがある
実現できない程の淋しい奥地で
木目のモアレに癒されてる背中のみ
皮膚への媒介を許す
誰に許された
園児 汚い手をひく砂の虫
目落としがちな内部に過疎ぶく熱い塊
ねっとりとした回復を園児は
混ざりけのない砂場で見つけた
水場で見つけた
墓場で見つけた
園児よ手を広げ 砂をきらきらと蹴落としてくれ
そこで起こるモアレを
誰かが見ている
もぬけ 頑なな四足の動物
思わず笑みがこぼれ涙も溢れる
誰かが摩っていた
こんなところでも
こんなところでも
虫は溶けた
許すなら ここに窓を作って痩身していた背中をうずめ一杯にしたい