千年ブギー

 

工藤冬里

 
 

音楽には失敗がある
失敗してもご愛敬なのは音楽だけである
この詩とかはだめなのか
失敗といっても大抵は音響的にであって
逃げたな
接続の不具合に加えてPAの意地悪や
嫌われるようなことするからだよ
ストラップが急に外れたり
それな
再生においても針飛びディスクの傷wifiやbruetoothの強度等による切断は度々のことである
笑顔でなければならない
ボランが最後に出演したTVショーにはボウイも出てヒーローズを歌った
番組の終わりにボランはさよならデイヴィッドもみんなもありがとうこれは新曲ですと言って演奏を始めた
ボウイもギターを弾いた
ヒーローズっぽいテイストも入っていて乗り遅れまいとする良い出だしだった
しばらくしてボウイがこれからどうすんだいと叫んだ
理由は分からないがボランはタイミングを外されてそれに和することが出来ず曲は唐突に中断され
一瞬彼の笑顔が画面右下に垣間見えた
その九日後に彼は死んだ
不当に扱われても笑っていたい
雇い主から解放されて笑いたい
いつもなんとなくうれしそうでありたい
雇い主が以前と同じ顔ではなくなっても笑っていたい
婚約から二十年待たされても笑っていたい
夜逃げしても笑っていたい
朗読の名手のように声色を使って
ゴキブリは這うので可笑しい
安心できる世の中が内臓に迫ってきて不思議だ
花が飾られて遠い
日本人は演奏で照れ笑いするとデレク・ベイリーから指摘された
恐れから来る笑いほど真面目なものはない
失敗のトラウマの強烈なフラッシュバックが堰を切らないように
完璧なTVの画面を観て公園に逃走する
可能なんだ
ゴキブリのように一人躍り出る
できる限りのことをして
内臓を顔に昇らせる
弱い人には弱い人になり
手紙の唐突や電話の夢物語のトーンを避ける
return visit to rock mass
政治家は私たち個人個人を知らない
個人対個人の関係のみが重要なので
どうか戻れるようにしてください
いなくなったボランを捜し
はぐれたボランを連れ戻し
けがをしたボランに包帯をし
弱いボランを力づける
終わりは極端には悪くはならない
どの家にも食物がなくなり
どの家からも病人が出るわけではない
時間的余裕がないまま突如として生じる
絵も声も必死で語る
海は荒海で向こうはモノクロの佐渡
白いコーンが並ぶ直島の船着場
物の凝集による薄明かり
城壁を崩す音
こんなに医学が発達したと思っていたのに
できることが家から出ないことだけということに絶望する
とある医者は言った
それでも
失われた写真を探し求める
迷った仔羊を探す勢いで
家と家族の違いを分からせてやる
間違った慰め
千年ブギー
音楽には失敗がある
失敗してもいいのは音楽だけである
取り返しがつかないことが分かっているからだ
その代わりに
迷った仔羊を探す勢いで失われた写真を探し求める
もしかしたらデータを復旧できるかもしれないからだ
そのようにして死んだ写真が見つかることもある
笑顔でなければならない
さよなら、デイヴィッドもみんなもありがとう
これからどうすんだい
失われた写真を探し求めている
失う家と失う家族を探す
間違った慰め
千年ソニック
音楽には失敗がある
失敗すると星が爆発するのは音楽だけである
笑顔でなければならない
最後にボランはTV画面の右下隅で笑っていた
失敗といってもソニックに成功も失敗もなく
笑顔は音楽以外のところから来る
笑顔でいなければならない
恐れが免疫系を弱め感染率を高める
とある漢方医は言った
終わりは極端には悪くはならない
どの家にも食物がなくなり
どの家からも感染者が出るわけではない
笑顔でなければならない
間違った慰め
千年ガンクラブ
ガン・イーデンは家として失われている
傾けて斜めから或いは仰け反って斜め上から正面を向くのなら
たまに首は真っ直ぐに立てなければならない
スピーチに関してアドバイスされたのだろう
言いづらいことを向正面から言って隔離される
自信がないと目が泳ぐ
本気で噬む
のっぺりした富士絵
空は木版
これからどうすんだい
その行節を読むのは今ではない
根拠はない
もっと考え詰めよ
ももクロはいいモノクロにしてくれ
長細く地に貼りついた図絵の春霞
桃色の帯は二点透視に垂直
鶉の卵型を噬む
自然に傾いている
首が据わっている
画竜点睛的に同色を隅に置く
山崎朋子は森崎和江から失われた家に招かれなければサンダカン八番娼館を書けなかった
澄ました鶉
家主に怖いと感じていると伝える
蛍光黄緑
家と家族は違う
再び得るのはもとの家ではない
目に見えないから惑わされない
諸天体に何が起きるのか分からない
マスクして
気を失いつつ
頭を上げる
まったく突然に
このスーパー全部
泥棒
そのあと任命する
取り返しのつかない喪失

 

 

 
#poetry #rock musician

並んだ、走った

 

辻 和人

 
 

並んだ、並んだ
麒麟が並んだ
3頭、いや、ぼくのも入れて4頭
かんぱーい
金色のアルミの表面を
走った、走った
麒麟が走った
ぼくのも入れて4頭
ガハハッ

40歳から楽器始めて今やセッションに引っ張りだこのベースの佐藤さん(女性)
大学で数学を学びながらジャズ研でしごかれてるピアノの姫川くん(男性)
ロックやってたけどエルヴィン聞いてジャズに転向したドラムスの小谷さん(女性)
帰宅して消音器つき30分の練習が命のリーマンラッパ吹きのぼく(男性)
セッションで知り合った仲間だけどコロナのせいで演奏も飲み会もできない

ってことで今流行りのオンライン飲み会
画面を挟んでじゃ今イチ一緒にいるような気がしないから
ってことで
飲み物は統一
一番搾り<超芳醇>
「やっぱ日本酒の方が好きだけど、みんなで飲むとビールもおいしいね」
メガネを直しながら佐藤さんが笑うと
提案者の小谷さん
「あたし元々ビール好きだけど、この麒麟のイラストかわいくて好きなんだよね」
「あ、ぼくもですよ。よく見るとちょっとおマヌケでいい感じ」
同調する姫川くん
「ほんとはいない動物だから遠慮なくデザインできるよね」とぼく

ガハハッ
ほんとは、いる
4頭もいるよ
みんないつもはバラバラな酒注文するくせに
パソコンの画面に収まれば
おマヌケな顔が並びやがって
おマヌケなカッコで走りやがって
ガハッ
統一感を醸し出してくれるぜ
ガハッ
場の共有を意識させてくれるぜ
ガハッ
同じ曲演奏してるって気にさせてくれるぜ

並んだ、並んだ
走った、走った
金色のアルミの中を
かんぱーい
ガハハッ
ほんとはいないのに、いる
4頭の麒麟と
4人の人間が

 
 

*飲み物統一のオンライン飲み会のアイディアはhmさんよりいただきました

 

 

 

resound・鳴り響く こだまする

 

さとう三千魚

 
 


降ってる

今朝

鐘の音

聴いた

汽笛の

音も
聴いた

長崎で聴いた
坂の街を

聴いた

四谷で

鳴り響いてた
教会の鐘が鳴るのを聴いた

きみの

歌うのを
聴いたよ

水平線を縦に並べて滝にしてみる *1

今朝

墜ちたよ

空から
墜ちたよ

鳴り響いている
光ってる

いまも

鳴り響いている
鳴り響いている

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
*1 工藤冬里の歌「2020」より引用しました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年コロナ

 

工藤冬里

 
 

コロナは私の所為で興った
私を再び独りにならせるために興った
私の為に店は潰れた
私の所為で空は墜ちた
私が生きるためにコロナは興った

私の益の為にコロナは興った
私がカドカワにならない為に興った
私の所為で人が死んだ
人の所為で私も死んだ
私が死ぬためにコロナは興った

 

 

 
#poetry #rock musician

ALMOST YELLOW~雲古蘊蓄譚

 

佐々木 眞

 
 

その1 ウンチを我慢する

宇治拾遺物語の第76段に「仮名暦誂えたる事」という短いコラムがある。

そこには3日連続で「雲古すべからず」と書き込まれた偽カレンダーを信じた生女房が、
「左右の手して、尻をかかへて、いかにせん、いかにせん、と、よぢりすじりするほどに、物も覚えず、してありけるとか。」
団鬼六のロマンポルノではないけれど、我慢に我慢した挙句に、とうとうしてしまったんだあ。
可哀想に。

 

その2 ウンチを見る

むかしむかし、京の北白川にあった重度の障害児(者)施設で、黄色い風呂を見たことがある。
黄色と映ったものは利用者が排泄した雲古で、それは冷めた風呂水と上から下まで完全に混ざり合って、微動だにせず午前10時の太陽に浮かんでいた。

そのとき私は、福祉の仕事というのは、このウンチがいっぱい浮かんだ風呂に飛び込んで、障害者の体を洗ってあげることなんだ、と思った。

 

その3 ウンチを踏む

私はうっかりしていて、(恐らく石ころの上にとまっている小型の茶色いチョウがテングチョウかヒメアカタテハかを確認しようとしていて)道端のウンチを、ムギュっと踏んだことがある。

運動靴がズヌっとぬめって、明後日の方角にずれてしまって、相当不気味だった。

義姉のエイコさんは、蛇を何回か踏んだことがある、そうだ(今度会ったら確かめてみよう)。

私はまだ蛇を踏んだことはないが、あの明後日の方角にズヌっとぬめっていく感じは、限りなくそれに近いのではないかと、密かに考えている次第である。

ウンチを踏んだズックは、洗っても、洗っても、臭かった。

 

その4 ウンチを掴む

むかしむかしのそのむかし、丹波の綾部の上野の丘に小学校があって、私は放課後に、同級生と便所掃除をしなければならなかった。

便所は汚れている時と、そうでない時があったが、汚れている時には、おおかたでぶでぶのオオツキマサト君が、率先してキレイにしてくれるので、僕らは、ほとんど何もする必要がなかった。

するとある日、突然そのことに気づいたように、オオツキマサト君が「お前らあ、いっつも、いっつも、ずるいやないか。わいらあ、今日はなんもせえへんさかい、お前らあで、しっかりやらんかいな」と怒鳴って、ぷいと校庭に出ていった。

オオツキマサト君が去ったあと、便器の傍には、プリプリの巨大なウンチが、ぐんにゃりと横たわっていて、微かに湯気が立ち上っていた。ついさっき誰かがやらかした出来たてのホヤホヤ、ちゅうやっちゃ。

アカオ君やキタハラ君やカワギタ君と一緒に、僕はしばらくその黄色いプリプリの巨大なウンチを眺めていたが、いつまでたっても誰も手を出さないので、これはもう僕がやるしかないと思って、僕は恐る恐る、その臭い立つ巨大なやつに両手を伸ばして、ぐウンとつかんだ。

えいやっと、つかみとって持ち上げたら、そいつは結構重くて生温かで、「これはいったい、どこのどいつが垂れたんだろう」と、不思議な気がした。

その日、僕はこの世の「実在」という奴に、初めて触れたのだった。

 

その5 ウンチを垂れる*

毎日トイレで便器に跨るたびに、私は遠い親戚の言葉を思い浮かべる。

「人間はトイレに入る時には生まれたままの姿で、本音も建前もない。これこそ人間の真の姿である」

「大事なのは、ウンコを垂れるあの気持ちだ。堅からず、柔らかからず、ロクロの廻るにまかせて、なんの技巧もなく生まれてくるのが、ほんとうの茶碗だな」

この「ウンコ哲学」を唱えたのが、ほかならぬ私の伯祖父、上口作次郎(1892-1970)である。

彼は明治25年に谷中に生まれ、小学卆業後、宮内省御用の大谷洋服店に弟子入りし、大正末期に「超流行上口中等洋服店」を開店した。

最高級オーダーメイドスーツでしこたま儲けた金で、江戸時代の大名時計や長谷川利行の作品を収集したり、東京の土を捏ねて陶器を焼いたり、ぐるぐる廻る茶室「眩暈庵」や樹上の茶室「巣寝る庵」を作ったり、「雲谷斎愚朗」と称して、いつも裸で過ごしたこの破天荒の野人を、私は好きである。

 

その6 ウンチを忘れる

それからおよそ半世紀の歳月が流れた。と思いねえ。

私は今ではそんじょそこらの三等リーマンになりおおせていて、ある日大阪支店に出張して取引先の営業マンに会って名刺を交換したら、すっかり「難波のアキンド」になった、でも昔と同じようにでぶでぶの、オオツキマサト君だった。

私は彼の顔を見た瞬間、黄色いウンチのことを思い出し、2人だけの密かな西田哲学的な体験!?について語り合いたいと思ったのだが、彼はそんな私の胸中をいささかも忖度することなく、破顔一笑うれしそうに叫んだ。

「おやまあ、綾部のてらこのマコちゃんやないか! これはこれは、粗末に扱う訳にはいきまへんな。あんじょう勉強させてもらいまっせ!」

 
 

ホカホカのウンチを入れたマッチ箱振り回しつつ学校へ行く 蝶人

 
 

*参考文献 片山和男編・「闘う茶碗~野人・上口愚朗ものがたり」

 

 

 

フレア

 

原田淳子

 
 

 

百年か
千年か
以前、以降、が生まれた夜明け

胸に宿る黒い炎
蘇生する白い炎

ガーゼは吊るされ
光を濾過して、わたしの衣服となった
窓辺のフレアスカート

輪郭を失くした軒先で
主人は煙草をふかしてる
わたしは罹災の地図を舐めて歩く

有線だけは威勢がよくて
プラットホームで空回って
乗客の肩に乗る
涙でピアスが痒い

“動くな、死ね、蘇れ”

ひとびとは触れられない細胞壁のむこう
戻れない世界、はじめまして。
きみの名は?

わたしの胸に燃えたぎるフレア
みえないから、きっとグレー
慈しむべき、まるごとの身体

試練と観察は愛を発明する
つまづいた石のうえに物語がある
希望は石の下に、密やかにある
( 死なないために )
まだ、ことばは地面のなか
詩なんて時じゃないだろう

潔癖と寛容の天秤座は泣き顔の雨
謝らないで、
あなたごと抱きしめてあげる
わたしに腕があれば

死と生の双子座は風花
春を謳う
築いた城は朽ちる
いつか観た、『王と鳥』ね

完膚なきまでに
打ちひしがれ打ちのめされ
約束は、脆く、淡く

オンラインは苦手
カメラは怖いから回さない
夢であえたら

夢がなければ、千年のあとに

夜の大学通りのベンチにて
心臓で電報を打つ
珈琲に滲んで文字は消えた

遺されたのは周波しかないなんて
文明の墓です

太陽の審判

粥をつくる
香草を刻む
いちにちの身体
まだ生かされている

命は器に盛られている

糸は切れ切れに、波を縫う

 

 

 

家族の肖像~親子の対話 その46

 

佐々木 眞

 
 

 

タカハシ先生、傘貸してくれたお。
そう、良かったね。どこの先生?
鎌養の。

赤羽線、埼京線になったよ。
へええ、そうなんだあ。

ジュンサイ、美味しかったですよ、お母さん。
そう、良かったね。

今日、比嘉さん、見ます。
見てね。

解消って、なに?
元に戻すことよ。
停電、解消したってよ。
良かったね。

クイズ・タイムショック、好きでしたお。
そうなんだ。

お母さん、ぼくムクゲ好きですよ。
ムクゲ、お庭にありますよ。
咲いてないでしょ?
今はね。

おめおめって、なに?
仕方なく、よ。

お母さん、無条件て、なに?
何も条件をつけないで、よ。

おばあさん、車いすに乗ってるねえ。リハビリしてるの?
そうよ。

モリタ先生、バカたれと言ったんだよ。
いつ?
昔。

お母さん、ぼく「わろてんか」好きですお。
そう。お母さんもよ。

部分って、なに?
全体の反対。
なに?
全体の中の一部だよ。
なに?

さっさと、早くして、でしょ?
そうだね。

ぼく、アサザ好きですお。
そうなんだ。

お母さん、4千円になりましたよ。千円下ろしてね。
分かりました。

ミエコさーーん、お母さん、ぼくジュース1本にしましたよ。
そうしてね。

お父さん、トオルさん、おうちでお仕事してるの?
そうなの? しらないけど。

このへんで、ってなに?
ここらへんで、よ。

お母さん、もろいって、なに?
壊れやすいことよ。

お正月、みんな来るから大丈夫?
大丈夫よ。

縁起でもないって、なんのこと?
良くないことよ。
ちっとも知らなかった。

検出って、なに?
なんかが出てくることだよ。

げんに、って、なに?
実際に、よ。

こまめに、って、なに?
細かく、よ。

お母さん、証明ってなに?
ハッキリさせること。

圧倒的って、なに?
ともかく物凄いことよ。
圧倒的、圧倒的。

お母さん、言いつけるって、なに?
言いつけるはね、言いつけるよ。

なんてチエ先生、注意したの?
さあね。

―石原さとみのテレビ番組をみて
お母さん、ボク、ずっとさとみと遊びましたよ。
そうなの。良かったね。

図書館で本借りてえ、藤沢で定期買ってえ、東急でケーキとお弁当買いますよ。
分かりましたあ。

お母さん、農作業って、なに?
畑でお野菜なんか作ったりすることよ。

お別れ、悲しいですね?
悲しいね。

モロ難しいって、なに?
ほんとに難しいことよ。
誰が言ったの?
ケンちゃんが。「エキサイト・バイク」で。
そんな難しいゲームだったんだ。
そうなんですお。

ご褒美って、なに?
頑張ったお礼よ。

イケダ先生、介護しているの?
そうよ。

一同って、なに?
みんな一緒よ。
一同の同は、おなじ、でしょう?
そうよ。

うるわしいって、なに?
とても素敵なことよ。

オオタヒロシさん、ひげがあったんだよねえ?
あったねえ。

家元って、なに?
お花やお茶の先生よ。
イエモト、イエモト、イエモト。

ドはトに点点でしょ?
そうだよ。

お母さん、切りのいいところでって、なに?
ちょうどいいところで、よ。

お母さん、ぼくはマリオ好きだよ。
お母さんも好き。

お母さん、悔しいってなに?
残念、残念よ。
比嘉さん悔しくて泣いていたよ。
そうなの。

体調不良って、なに?
体調が悪いことよ。

意外に難しいって、なに?
思ったより難しいことよ。

パブリカって、なに?
ピーマンみたいなものよ。

「ごめんなさい」入るときでしょう?
そうだね。

十字架って、なに?
人を張りつけにするものよ。

「竹やさお竹ー」ってなに?
竹買いませんか、よ。

お父さん、「ばか!」「嫌い!」って言いましたよ。
いつ?
昔。
そうか。もう、言わないからね。

病院って、ケガしたときでしょ?
そうだね。

難しいって、難波の難でしょ?
そうだよ。
難波って、大阪でしょ?
そうだよ。良く知ってるね。
ナンバ、ナンバ、ナンバ

プロは専門家のことでしょう?
そうよ。
コウ君は、何のプロ?
ふきのとう舎のキャップのお仕事の。
そうだよね。コウ君偉いぞ!

お父さん、よっぱらっちゃダメでしょう・
ダメだよ。コウ君よっぱらったの?
よっぱらわないよ。

 

 

 

hypothesis・仮説

 

さとう三千魚

 
 

ちょっと
休むだけと

ベッドに横になったら

眠って
いました

いま目覚めた

仮説(かせつ、英: hypothesis)とは
仮に設けたもの

向こうに

橋を
架ける

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年パース

 

工藤冬里

 
 

消失点が一つの時
原理主義者が月夜の廃墟の大通りを歩いている
消失点が二つの時
死んだことのない善人と生き返って憑物の落ちた悪人が辻で鉢合わせする
消失点が三つの時
俯瞰した宮の外に犬を探す
消失点がそれ以上の時
苦い現実にパンを浸す
〈それを見ている〉〈それを見ている〉の視線のメタ連鎖が
まなこが二つ、太陽が一つの遠近法を振り出しに戻す
安息はカメラの中で反転している
雨戸の穴から障子に映った逆さの映像
あれが原点だった
そこから無数の消失点が生え出て
一葉の花の写真にさえ到達できなくなって

 

 

 
#poetry #rock musician

tribe・種族

 

さとう三千魚

 
 

以前

高円寺にある

バーに
通っていた

店の主人が
写真家で

壁に写真が掛かっている

店には
写真家たちが集まる

写真家たちは
鳥の種族だと思ったことがある

舞踏家や
詩人も

その部類かもしれない

見えない
翅で

羽ばたいてる

1mmも
浮かばないが

羽ばたいてる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life