feel 感じる

新幹線のなかで
工藤冬里さんのsummerを聴いてます

さっき
熱海はすぎました

ヒトのいる夏の浜辺を見ていると
感じることもあります

ヒトビトやカモメを見ていると
感じることがあります

過ぎ去ったものが佇っています
高度のあるものが光ったのだと思います

 

 

huge 巨大な

今朝
朝霜のなかで黄色い揺れるものをみました

水仙の花でした

それから海が平らに光るのもみました

雲は形を変えて
ゆっくり流れていました

浜辺で赤い実を結んだみどりの草もみました

夕方
太陽は真っ赤に光って沈んでいきました

巨大なものは見えません

 

 

quarter 4分の1

今日
カモメたちを見ていたんだ

ギーゼキングのパルティータ第2番には
たしかに断崖があり風が吹いてた

でも第3番では
水が流れ水草がゆれていた

君のことは4分の1好きだった

ごめん
あまり意味がないね

カモメたちは何も持たずに空に浮かんでいた

 

 

baby 赤ちゃん

ロシアの大地が見えてくると
以前に書きました

リヒテルが弾く
遺作の第2楽章を聴いていると

ロシアの大地が見えてくるのです

悲しいのではないんです

赤ちゃんが
いるんです

概念ではなく

赤ちゃんなんです
わたしの赤ちゃんがそこにいるんです

 

 

bridge 橋

美しいもののそばを
神は通り過ぎた

美しいヒトのそばを神は通過した

磯ヒヨドリが
鳴いていた

カモメが空に浮かんでいた

橋を架けなさい
橋を架けなさい

ものの消えた場所に橋を架けなさい
ヒトの消えた場所に橋を架けなさい

無い橋を架けなさい

 

 

pond 池

マリア・ユーディナの
平均律クラビーア曲集第22番を聴いている

繰り返し聴いている

与えられたのだった
与えられたいのちを受ける者の歌だった

池に
波紋がひろがっていた

純粋身体の声にならない叫びだった

波紋がひろがっていた
池に波紋がひろがっていった

 

 

point 指さす

昨日は
浅草のしぶやで飲んだ

荒井くんは
白子ポン酢をうまいなといって食べた

それから荒井くんの
駒形の新しいアパートまで歩いた

荒井くんの部屋では
ボーズのスピーカーで戸川純を聴いた

また恋したのよと歌っていた
生きてる意味なんてないのよと歌っていた

 

 

trust 信じる 信用する

磯ヒヨドリは
なにも持たないだろう

カモメも
なにも持たず翼をひらくだろう

流転のなかで
そのヒトは逝った

そのヒトは流転そのものとなった

御影石に
薔薇と秋桜の花を刻ませた

田圃の向こうに生家がみえた
青空にぽかんと白い雲が浮かんでいた