工藤冬里
殺されるとは初耳です
話さなかったのは一緒にいたからです
今日、過去を明け渡したので
開戦前夜のドブの上澄みみたいに清々しい。
フルートを持って上って行く祭りの夜の歌に似た歌
あれは駆除される浣熊
雨なので車から出られません
決戦投票前にすでに世を征服しました
J-popがおれの屋根に当たる
ヘルパーは来ません
#poetry #rock musician
殺されるとは初耳です
話さなかったのは一緒にいたからです
今日、過去を明け渡したので
開戦前夜のドブの上澄みみたいに清々しい。
フルートを持って上って行く祭りの夜の歌に似た歌
あれは駆除される浣熊
雨なので車から出られません
決戦投票前にすでに世を征服しました
J-popがおれの屋根に当たる
ヘルパーは来ません
#poetry #rock musician
ブラックダイヤモンド
眩しく輝く
魔法の肌
綺麗
ほしい
のに
なぜ
I can’t breathe.
ブラックダイヤモンド
息は止められた
20ドル紙幣のために
I can’t breathe.
8分46秒のチョークホールドで
殺された
息ができない ※1
むかしむかし
先祖は
アフリカから船で連れて来られた
家畜のように
それからずっとずっとずっと
息ができない
息を止められたまま
ずっとずっとずっと
We are human beings!
We can’t breathe!
人間なのに
ブラックダイヤモンド
闇が世界中を覆っている
息ができない
息を止められた
もうたくさんだよ
ブラックダイヤモンド
風邪をひかないように
帽子とスキーマスクをしていた
帰宅を急いで
歩いていた
怪しまれた
I can’t breathe.
殺された ※2
ブラックダイヤモンド
恋人と部屋で眠っていた
それだけ
ノックもなくドアを開けられ
撃たれた殺された
一瞬で
I can’t breathe.
それさえ言えなかった ※3
ブラックダイヤモンド
フードを被ってジョギングをしていた
ポケットから携帯を出そうとした
怪しまれた
撃たれた殺された
17歳だった
I can’t breathe.
それさえ言えなかった ※4
息ができない
息ができない
Mama. Mama.
数え切れないブラックダイヤモンドが
殺され続けてきた
獲物のように
もうたくさんだよ
Mama. Mama.
どれだけ殺されたら
この闇は終わるのだろう
Black Lives Matter!
ブラックダイヤモンド
なぜ生まれた
闇を輝かせるために生まれた
お母さん!
ブラックダイヤモンド
闇の中でも眩しく輝く
魔法の肌
肌理の細かい綺麗な肌を
わたしは
ほしい
ブラックダイヤモンドは美しい
ブラックダイヤモンド
闇を照らせ!
Black Lives Matter!
Black Lives Matter!
闇を照らせ!
ブラックダイヤモンド
眩しく輝く
魔法の肌は
美しい
わたしは叫ぶ
Black Lives Matter!
Black Lives Matter!
※1.ジョージ・フロイドさん
2020年5月25日ミネソタ州ミネアポリス近郊で20ドル札使用容疑で手錠をかけられ、8分46秒間、途中意識を失っているにも関わらず首を膝で圧迫されて死亡。享年46歳。
※2. ブレオナ・テイラーさん
2020年3月13日ケンタッキー州ルイビルの自宅で恋人と就寝中にノックもなく警官が押し入り8か所撃たれて死亡。
享年26歳
※3 トレイバン・マーチンさん
2012年2月26日フロリダ州サンフォードでコンビニから帰る途中、容疑者と疑われ撃たれて死亡。享年17歳。
※4 アリージャ・マクレイン
2019年8月24日コロラド州オーロラでアイスティーを買って帰宅途中、警官に怪しまれ殺害された。貧血症のため風邪をひかないように帽子とスキーマスクをしていた。享年23歳。
※5 上記4名は氷山の一角であり、400年以上に渡って数え切れない黒人が理不尽に殺され続けてきた。2016年にトランプがアメリカ大統領に就任後、白人至上主義者による黒人への憎悪犯罪が増加傾向にある。
国々のまだあるうちに私たちに卵子が与えられる
当然のものではない死が価値を持つ
not all deaths matter
むしけらの初物を買い取る
天井には鼬鼠
納屋には土蛙
初めてのおつかい
かれならできる
途中で雨が降っても
袋が破れても
持ち場のモチベーション
机に乗りたがる大群衆
市民となるために分断されるので
新言語を学ばなければならない
うちの八割れは味覚がないようだ
コロナかもしれない
走れヘイトマン疾風(ルビ振るならカゼ)よりも速く
カネのことを語りなさい
福岡さんは野菜食べてるんだろうか
今日は礼子は歌ってるんだろうか
今月はコニーちゃんは儲かってるんだろうか
チャバネゴキブリはいつもいた
にゃんつーは外に行けよもう
誰かと親しくなるには
時間を共にする必要があります
距離はそんなに障害ではありません
会ったことはありませんが愛しています
最近みんな背景を白にしてる
#poetry #rock musician
右の卵巣が死んだ
お赤飯を炊いたのは12歳の初夏だったか
それともあれは春の終わり
長いお付き合いだけれど
知ったのは意外に最近
交互に排卵してるって
西の魔女が死んだ?
いつもきまって痛む卵巣があった
右だったかそれともあれは左だったのか
長いお付き合いだけれど
始まったのは意外に最近
排卵痛は断末魔の叫びだったのです
かたや左の卵巣はまだ血を流し続けてる
周期は2倍になり
PMSも2倍になる
流すための血をつくるために
ため込むさまざまなものたちも
夏至の新月の夜
わたしはまた血を流した
あと55日でわたしは50歳になる
からっぽの右の卵巣のなかで
風の吹く音だけがひゅるると鳴っていた
数字はゴーゴーゴーというけれど
いったいどこへ行くのか
泣いていたのは
わたしのなかの女の子
道がごった返して迷子になっている
いつでも先に行きたがるあたしたちや
いつでも後ろが気になるあたしたち
今この瞬間のたったひとりのわたくしが
それら亡霊たちのあいだで
蜃気楼みたいにゆらゆらとゆれながら
女の子をあやそうとあたふたしてる
夏至の新月の夜
わたしはまた血を流した
陰と陽 逆転の瞬間に
からっぽの空は真っ暗で
そして闇は湿気で満たされていた
女の子の泣く声は遠くでか細くつづいてた
愛憎どちらもいとおしいと
友はいう
素直な気持ちに胸がすく
わたしはそうなることはできないだろう
憎しみとかなしみが寄り添って
いとおしくいる気がしてはっとする
人類史上稀にみようと
今日もわたしは息をして
明日もまた息をしていると思いこんでいるのだ
そうやってつないできた日々は
いつまでも続くはずもないというのに
果てしなく絶望することもないのはなぜか
考える
そしてまた途方にくれる
愛がいつもみちみちていることは
どれだけ大切なことか知っている
つもりだ
溢れてしまえと思う
ひとりひとりに溢れる愛が
どうかありますようにと
しんとした夜に
はりつめる朝がくるまえに
目を瞑り祈る
ズボンを穿いてない会議のように
膨張は外部の侵入に勝り
飼い主の序列は明らかになる
実を触っていたら寝てしまった
掟を食べていたら虫に刺された
そして断たれた
譫妄の中で一瞬生きた
#poetry #rock musician