野生化した軌道の上を歩く手紙

 

爽生ハム

 
 

酔ったんでしょ電車に
鰆を通夜にだすから
笑われてたよ
まったく

笑われてたなんて
ぶっきらぼうな言葉だわ
小さな笑いを見つける方が
可笑しいよ頭のなか

電車に乗ってどこへ行こうか
海へ行こうか山へ行こうか

酔ったんでしょ電車に
じっくり触診されて
恥ずかしくなってたよね
もう興味ないから
逃げなよ
ここから

菜園と母屋
どちらに行かれるの
はやく返答して

返答として
かたづけたくないから周回する
すぐに靄へ向かうから
ほっといて だから
もう見るな

 

 

 

光の疵 冬のはじまり

 

芦田みゆき

 
 

大きな鳥をつかまえた
鳥はあたしの腕のひとかかえほどあって
嘴を閉じ
荒々しく息をしている
鳥を抱きつづけることは
あたしをひどく弱らせた
鳥の頭内に次々と去来する
空に関する鮮明な妄想が
あたしの汗となり
流れ落ちていく

 

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