原田淳子
きみの体温
ぼくの体温
ことばが生まれるまえに
きょうも生きている
春風は
水を青くした
葉が歌うように
五月にきえた歌人のように
春の水を祖国と呼ぼう
きみの朝の泉を
新兵器の投入だ
顔真っ赤手足バタバタの魔の7時
ギャン泣き声に挟まれて危機に陥ったかずとんパパ
だが今日は新兵器があるぞ
両端に膨らみを持つ赤い棒状のものが
コミヤミヤとこかずとんの頭上を駆け抜けた
西松屋で1000円で買った
マラカス型のガラガラ玩具
ジュカジュカジュカジュカジュッ
かずとんパパが強気で振ると
強気の羽ばたきの
ムクドリの急降下
コミヤミヤの声ぱたりと止む
こかずとんの声ぱたりと止む
撓んだ曲線の航跡から
にゅっと嘴生え出て
空気を鋭く切っていく
あっけ
に取られた
2つの口をまあるくする
お次はアゲハチョウ
かずとんパパが人差し指と中指を使って弱気に振ると
ながーい触覚もそっと動かし
ゆらゆら舞い上がる
小刻みに上下
小刻みに羽震わせ
シュカシュカシュカシュカシュッ
描き出されるゆるーい八の字に従って
2×2の目
きゅっきゅきゅ動く
さっきまでのギャン泣きが噓のよう
かずとんパパの魔法の手の力で
両端が膨らんだ赤い棒の中から
突如出現した
ムクドリとアゲハチョウ
奇襲成功だ
よし、またムクドリいくぞ
次のミルクまでの1時間持ちこたえるぞ
ジュカジュカッシュカシュカッ
この夏に終わってしまう中野サンプラザ
そこでの最後のブックイベントに出店した
会場に溢れる沢山のマニアックな本の中に堀ちえみのアイドル本があった
1981年、写真学生だった僕はホリプロのファン会報紙のカメラマンのアルバイトをしていた
その年、中野サンプラザで開催されたホリプロスカウトキャラバンで優勝したのが堀ちえみ
なので僕は会報誌のために楽屋で、誰よりも早く彼女を撮ったのだ
中野サンプラザ、そして堀ちえみ、これは運命だろう
なのに結局買わなかった、なんども手に取ったのに
レジに出すのが恥ずかしかったから
どうせ本人が書いたわけではないしと言い聞かせ
たった600円だったのに
まだ後悔している
2023年5月3日 中野サンプラザにて
雲很遠,海岸線
準備讀詩的人
站在站前的廣場,等
人群來去,而我
岩塊的流域,再來
一節。空無
物,同時打開每一
無。思緒,我響應風
流水,響應Bach
激流中的磐石。
一和所有,都先於我
而我只是復述。
西貢,五月的雨中
.
雲很遠,海岸線
雲の遙かな、海岸線に
準備讀詩的人
詩を読もうとしている人
站在站前的廣場,等
駅前広場に立って、
人群來去,而我
人々の往来を待ち受けている、そして私は、
岩塊的流域,再來
岩の流域から、
一節。空無
もうちょっといってみるか。すっからかんな
物,同時打開每一
もの、それを同時に開いていけばまたまた
無。思緒,我響應風
無だ。思うに、私は風と響き合い、
流水,響應Bach
流れる水と、Bach この
激流中的磐石。
激流にも流されぬ巨石と響き合う。
一和所有,都先於我
一そしてすべて、みんな私に先立つもので
而我只是復述。
ただ私は繰り返して述べるのみだ。
西貢,五月的雨中
サイクンにて、五月の雨の中で
日本語訳:ぐるーぷ・とりつ
まっしぐら
まっしぐらだ
しぐらって何だ
なんだなんだ
くじらかな
くじらのしんせき
しぐれてまっしぐら
海雪分けいる
よけいに白い
らくだだろ くろらくだ
だらくしたんだ
ぐらぐらしてさ
こぶ、重いってさ
グラだよグラだクリグラだ
でっかいケーキを落としてさ
まっ、しんでしまったという話だな