工藤冬里
羽根が生えて困るが
声は出ない
終わりが進むにつれ
部隊はやまだかつてない記号と意味の乖離を経験していた
戸口の血を踏まないようにアモンラーメンの暖簾を潜り
年老いた長男を殺る
恩寵はサブスク
押韻矢の如し
黒い板を更新し
物語に加わる
無理解もミッションである
犬の顔たち
朝はかなかなはなかなかなかない
〽︎ばかだねばかだねばかのくせに
ら抜きうどんで生き残れると思っていたなんて
#poetry #rock musician
羽根が生えて困るが
声は出ない
終わりが進むにつれ
部隊はやまだかつてない記号と意味の乖離を経験していた
戸口の血を踏まないようにアモンラーメンの暖簾を潜り
年老いた長男を殺る
恩寵はサブスク
押韻矢の如し
黒い板を更新し
物語に加わる
無理解もミッションである
犬の顔たち
朝はかなかなはなかなかなかない
〽︎ばかだねばかだねばかのくせに
ら抜きうどんで生き残れると思っていたなんて
#poetry #rock musician
気の滅入る情報は最小限に
落ちた胡瓜を可能性として料理する
蝉の腹から伝わっていく梅雨明け
<接触しようとしている>
遠い近所のパン
集落は一族の陰謀なので
ヴォネガットが政体を同姓クラブに変えても
変わりようのない未来に変わる
#poetry #rock musician
子供の頃から知ってるが
天才だった
でも今は商売の邪魔になるから消す
奴が消えることで
すべてうまくいく
everything’s gonna be alright
生き返られちゃ困る
腕白でもいい
たくましく育ってほしい
でも生き返られちゃ困る
生き返られちゃ困る
あったかーいお部屋で
つめたーいカルピス
ぶん殴れ
唾をかけろ
違法裁判でもいい
生き返られちゃ困る
#poetry #rock musician
*
すっからかん
すっからかん
ジャックラカンも すっからかん
五百羅漢も すっからかん
三月四月 すっからかん
五月六月 すっからかん
七月八月 すっからかん
数年後でも すっからかん
吸うからいけん すっからかん
吸わなきゃいいのか すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
(振付:肘タッチ)
橋の欄干 手を腰に
はるか向こうを 眺むれば
十七八の 姉さんが
アニス羅漢果はバンド名
姉さん姉さん どこ行くの
スリランカカレー 食らわんか
私は九州 鹿児島の
西郷すっからかんの 娘です
薩摩焼なら 沈壽官
鞍馬天狗の アラカンが
かんらかんらと 観覧車
*
ワイン安けりゃ あっけらかん
楽観的な 約款も
TPPで すっからかん
あきらかなのは すっからかん
シーラカンスも すっからかん
乱獲されて すっからかん
*
アキラも明菜も すっからかん
ランタンパレードも すっからかん
キップ・ハンラハンも すっからかん
バート・ランカスターも すっからかん
ピンカラトリオも すっからかん
からゆきさんも すっからかん
スカラーシップ返せず すっからかん
夜間高校 すっからかん
*
ずらかんないと すっからかん
使えぬ薬缶と 水道管
餡から食べて 実を枯らす
*
すっからかん
すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
etc
#poetry #rock musician
暖かな家族だったと信じて
生きてきた
いまではその幻想も冷えきってしまった
ほんとうのことを思い出すというのも
それを認めるというのも
とてもおそろしいことだった
置き換えてすり替えてそのひとらを擁護したくても
もうできない
もうしなくていいんだ
子どものじぶんには罪がなかったと言ってほしいと何度も願った
父の前では笑顔になる母に
なにか些細な代表に他のきょうだいではなくわたしが選ばれたことに憤慨する母に
お前が選ばれて嬉しいと
そういってほしかった
ただそれだけだった
一般的ではないということは
共感を得づらいということなのか
家族の話は
幻想としてしか他者には話しづらいのは
老いと病を得たとき
近づいてくるそのひとの
こころにある凶器は変わらないことを
もう認めようか
振りかざされてからでは
遅すぎるのだ
もう戻らない
何度もよみがえると
こころが壊れてしまうから
母の存在を意識のなかでは消してしまわなければと思う
誰の迷惑にもならぬよう
誰かより目立たず誰かより褒められないことが
生き残る術だったなんて誰が信じようか
小さな家の箱のなか
もう二度と足を踏み入れたくない箱のなか
あの箱のなかなにがあったのかを
あのひとがどれほど飾りたてようとも
閉じる
セミの波状の侵入が
卓上のディスプレイに混ざる
邪魔するのに飽いて人語を話す猫は
人生の削りかすを睡眠剤に変える
あゝ皿ヶ嶺の進化論の障害
燐寸箱のデザインの家が建ち並び
龍は天麩羅にされている
地球が人間にフィットしたのであって
人間が地球にフィットしたからではないので
十日の旅をする水に
胸の筋肉で話しかけなければならない
柿の木の刺蛾と蟷螂の戦いをじっくり考えた洗濯物は軒下で首を吊る
刺蛾の食う実のない言の葉の
雨のような音
と雨
#poetry #rock musician