広瀬 勉
志郎康さんに、コメントを頂いて以来、なぜ、
今朝
モコが吠えていた
ウォン
ウォン
ウォーーン
モコの吠える声が聞こえていた
ぼくは
目覚めていた
ハイビスカスの花は揺れていた
淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた
きみはいない
きみは
今朝
モコが吠えていた
ぼくは目覚めていた
庭の片隅にハイビスカスの花が揺れていた
モコは吠えていた
モコは吠えていた
風が吹いていた
風は
背中にハイビスカスの花は揺れていた
背中にハイビスカスの花が揺れていた
きみは
いない
つまりこの世は神が創ったのではなく
モコは
吠えていた
ぼくは目覚めていた
ハイビスカスの花は揺れていた
きみはハイビスカスの花が揺れていた
きみは淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた
※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。
カタバミの花 咲いた
カタバミの花 咲いたの
きみのいない庭のアマリリスの鉢から
咲いた
咲いたの
カタバミの花
咲いたの
細い茎の先の
先に
むらさき色の花のひらいて
むらさき色の小さな花をひらいて
ひとつふたつみっつ
ひらいて
きみの庭のアマリリスの鉢から
いないきみの庭の片隅のアマリリスの鉢から
モコが庭で吠えてる
モコが庭の片隅で吠えてる
ウォン
ウォン
ウォンウォーーン
モコが吠えてる
いないきみの庭の隅の片隅の
モコが吠えてる
モコがウォンウォーーン
吠えてる
いないの
きみはもういないの
きみはもう遠くへ行ってしまったの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
カタバミの花は咲いたの
むらさき色の小さな花ひらいて
消えていったの
消えていくものは
細い茎の先のむらさき色の花ひらいて
細い茎の先の先に小さなむらさき色の花ひらいて
先なるものと
より先なるものと
なってきみは消えていったの
消えていくきみがいたの
いくつも消えていくきみがいたの
いくつもいくつも消えていくきみがいたの
消えていくきみをしずかにささえていたの
消えていくきみをしずかにささえていたかったの
消えていくものは消えていったの
消えていくものは消えていったの
野外に消えていったの
※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。