広瀬 勉
千葉・勝浦。
寝てたので
出かける時間に
気づかなかった
知っていれば
しませんでした
新しいシャンプーを使った。
ダークグリーンのチューブタイプの入れ物。
白いジェル状のものが中には入っている。。
黒くて長い髪の先まで丁寧に洗った。
何度も何度も指をとおす。
少し熱いと感じるお湯で流す。
つやつや、きらきら、つるつる。
髪が生き返るように潤いをもつようになる。
ぱんぱんと軽くたたきながらバスタオルでふく。
柔軟剤でふわっふわになっている布。
風量が強すぎるほどのドライヤーで髪を靡かせて乾かす。
水分がだんだんなくなって軽くなる。
少し持ち上げるとなんの抵抗もなくすとんと落ちるようになる。
分け目をいつもの場所と変えてみる。
でもやっぱり気に入らないからもとのようにセンターに戻す。
いつまでもいつまでも鼻をくすぐるようないい香り。
自分の鼻に近付けていい気分になる。
そのいい気持ちのままするんとベッドに入る。
眠る。
いい夢を見られるはずだ。
自分専用の急須を戸棚から出す。
お湯を沸かす。
通販で取り寄せた京都で有名な茶葉を用意する。
陶芸教室で自分で焼いた湯呑をテーブルの上におく。
沸いたお湯で湯呑を温める。
茶葉を急須に入れてお湯を注ぐ。
数分してから湯呑に投入する。
きれいな淡い緑 色の液体。
じっと見る。
上から覗き込むようにじっと見る。
口にふくんでみる。
苦味成分のカテキンがいい仕事をしているなと感じる。
美味い。
心が不思議と落ち着く。
昔住んでいた田舎町の茶畑をふと思い出す。
あの時汗を流して茶摘みをしていたおばあさんは元気だろうか。
歩く。
ひたすら歩く。
川沿いまで着てみると高架下で若者たちが楽しそうにバーベキューをしている。
黒いタンクトップ、花柄のロングスカート、厚底のサンダル、蛍光グリーンの小さめの鞄、肉肉肉肉肉野菜。
あのクーラーボックスにはよーく冷えたコーラが入っているに違いない。
さらに歩く。
新しい建売の住宅が並んでいる。
広い庭がついた洋風の家が目立つ。
よそものの集まりなんだろうけれど、そこからきっと新しい組織ができていくにちがいない。
どの家も日当たりはよさそうだ。
雪が多くて寒い地域だからだろうか。
窓が厚くできているような気がする。
近い将来この辺一帯の家々には色んな名字の表札がかかるのだろう。
それぞれの人生がそこにはある。
普段のなんともないことや想像の世界をを文字にしてみる。
それをつなげて文章にしてみる。
ただそれだけのことがものすごく楽しい。
さらに幸せなのはそれを多くの人が見てくれるところ 。
「見て、聞いて、触れて、感じたこと、想像したことをこれからも文章にしたい」
と思う。