俺っちは化石詩人になっちまったか。

 

鈴木志郎康

 

 

チャカチャカ、
チャカチャカ、
チャっ。
テレビCMで
わんさか
出て来て、
歌ったり踊ったりしてる
あの女の子どもは、
なんじゃい。
流し目なんか送りやがっって。
チャカチャカ、
チャッ。

突然ですが、
俺っちは、
生きながらに、
詩人の化石になっちまってるのかね。
なんとかせにゃ。
チャカチャッ。
そういえば、
あの詩人は生きながらにして、
もう化石になっちまったね。
いや、
あの詩人も、
まだ若いのに、化石化してるぜ。
いや、
いや、
あの高名な詩人も
まだ生きてるけど、
既に化石詩人になっちまったよ。
俺っち、
バカ詩人やって、
なんとか、かんとか、
生きてるってわけさ。
チャカチャカ、
チャカチャカ、
チャっ。

 

 

 

晩春の日が暮れていく。

 

鈴木志郎康

 

 

晩春の日が暮れて行く。
雨に打たれて、
山吹の黄色い花びらが散って、
ヒョロヒョロメッチャン、
ウンチャッチャア。

俺っちが死んだら、
家人は
先ずは、
誰に電話するかって、
思っちゃって、
眠っちゃって、
ヒョロヒョロメッチャン、
ウンチャッチャア。

晩春の一日、
今日も暮れたっす。
ウンチャッチャア。
ウンチャッチャア。