広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
雨は
やんだ
庭の金木犀の木立の
下の
カサブランカの
花
落ちていた
一度に落ちたのか
雨に濡れて
花弁は
透明に
土の上に重なっていた
残っていた
花を落として
雌蕊は
残っていた
雌蕊は目覚めていた
育むものがある
* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より
#poetry #no poetry,no life
四角いものの上にひかりのV字の切れ込みが走り
重唱のソナーを主部に這わせて学生刈の背中に聴かせた
初版を手にして衣服を引き裂く感受性の徒花めいて
ノーネクタイの風がロビーを走る
声優たちの巻き起こす棒秤の長短
保険金を喰いつぶしていく夏至の日の果てに
登山口まで21Kという標識があり
一人で尾根を転がり落ちながら
いないほうがましだったかい?
スクエアの切れ込みの意味を考えながら
声をひかりとして
線香花火のしだれ柳のフェーズを
空調の不調で凍ったノズルを吹きながら大声で死に
いないほうがましだったかい?
浮いた浮いた
爆縮して仕舞を舞う
羊羹列車がarbolito灘を進む
yahoo mailはスパムばかりなのでもうあまり使ってない
監督や作家が主人公の隙間リアルはもう仕舞いだ
あとは忘れろ
販売中止予告のしぐさで
#poetry #rock musician
腕の中にいるのは何だ?
ちゅぱちゅぱ
ちゅぱちゅぱ
ひっきりなしに吸っている
目は固く閉じて吸っている
シャツをぎゅっと掴んで吸っている
コミヤミヤ、軽いうなり声あげて甘えたそうだから
抱えあげた途端
ぷっくりした唇が
ちゅぱっ
Tシャツから覗くかずとんパパの二の腕に吸いついた
皮膚の一番薄いトコはどこだ?
ここだ、ここだ
狙って
吸え、吸え、吸い破れ!
破っちまえば精のつくものが出てくる
何かしら濃いもの
ミルクより濃いものが
たぷたぷ出てくる
牙の代わりのぷっくりした唇のねっとりした内側の
鋭いこと鋭いこと
かずとんパパのうっすい皮膚を破って精吸い尽くせば
グングン成長するぞ
今は抱っこされてるけど
成長すれば逆転するぞ
かずとんパパの方が小さくなって
こっちの腕にしがみつくことになるぞ
口動かせ、もっと口動かせ
つむった瞼の奥の奥で
ほら、かずとんパパ、もうこんなに小さい
ちゅぱちゅぱ
ちゅぱちゅぱ
かれこれ20分も一心不乱
そっと剥がしてみるか
げげっ、二の腕にキスマークできちゃってるよ
おっきいのが2つも
キスマーク、つまり内出血、つまり血
こりゃ吸血鬼だな
口動かせば生きる元気が湧いてくる
あんなにちっこく生まれてきたのに
こんなにでっかいキスマークつけるようになっちゃって
ならば吸血鬼コミヤミヤ
吸え、吸え、吸い破れ!
吸われて縮むかずとんパパ
縮んで縮んで
吸血鬼コミヤミヤの腕にしがみつく恰好に
どうしよう
でもこのままじゃ終わらないぞ
コミヤミヤのぷっくりしてきた二の腕
2000gで生まれたとは思えない二の腕
かずとんパパ、ちゅぱちゅぱし返して
いつか復活してやるからな
ちゅぱちゅぱ
ちゅぱちゅぱ