夢は第2の人生である 第61回

西暦2017年師走蝶人酔生夢死幾百夜

 

佐々木 眞

 
 

 

これからは超高速ジーゼル車の時代に突入するので、私はいち早くその免許を取得し、国産1号機にまたがって県道21号線を激走した。12/1

久しぶりに麻雀をしていたら、天和(テンホウ)か、あと1牌で上がれるという最高の手がきているのに、いつまでたってもアガれない。よく見ると最初から牌が1枚欠けているのだ。12/1

今日は非番の日なので、赤、白、青、黒の4つの製造部門の生産状況の進捗を観察することにした。たまにはこーゆー、ゆとりのある時間もいいものだ。12/1

老いたるA教授は、ガンを患って、この世に残された時間がほとんどないことを知っていたので、後輩のBに、会得した秘法のすべてを伝授しようとしていた。12/2

彼は自分をボブ・ディランに擬しているようだが、似ているのは、ハモニカを銜えた外観だけ。早口で唱える歌詞は拙劣そのもので、むしろ無内容というても過言ではなかった。12/2

「先生、わたし、何かイケナイことでもしてしまったのでしょうか?」とおずおず尋ねると、オクムラ師はニコリともせずに、「晴天の霹靂なるぞゴロスケホーゴロスケホッホゴロスケホー」とお答えになった。12/3

葡萄色の阪急電車に乗って、谷崎夫妻ご一行と一緒に海水浴にいくことになったが、なにせなうての我儘な人たちなので、「須磨明石がええわ」とか「いっそ和歌山に飛びたい」とかの声が入り乱れ、なかなか意見がまとまらない。12/3

金球が、痒くて痒くて仕方がない。朝から晩まで1日中掻きまくっていると、真っ赤に腫れあがってきたので、これはまるでマントヒヒの金球みたいだなと思って、風呂場の鏡を見ると、私は全身マントヒヒに変身していた。12/4

一張羅のスーツがよれよれになったので、スーパーに行ったら、一着2万円以上もする。「北朝鮮で縫製した超格安1万円の奴があるはずだ」というと、「北朝鮮なんて大声を出さないでください。非国民扱いされますから」といいながら、内緒で倉庫に案内してくれた。12/4

なまくらな歌を詠んでは、益子焼の小皿に乗せて、海に流していた。「三角形の上にもうひとつの歌を乗せてみよ」、と誰かが言うので、困りはてていたら、そいつは「こうすればいいのじゃ」と、殺してぐにゃぐにゃになった歌を、三角の上に乗せた。12/5

Ⅹmasツリーの飾り付けをしていたら、脊の高い革マルのフランケンシュタインが、私の背中の方で悪戯するので、「こらあ、なにをするんじゃあ!」と叱るつけると、たちまちシュンとなってしまった。12/6

人には所有権があり、厳然たる人格所有権もあることが理解されてきたので、それらを無視して、傍若無人に振る舞ってきた独裁者は、人々の反乱を抑え込もうと躍起になった。12/7

いくら急流が次々に押し寄せてきても、人里離れたこの渓流に、誰かが落とした瑠璃も玻璃も、いささかも微動だにしなかった。12/8

開戦前夜になったせいか、ハセガワプロパン屋がやってきて、「おたくのプロパンを、回収させて頂きます」というのだが、その代用品はあるのだろうか。12/9

祖父と祖母が、2階の高窓から首を揃えて、「早くここから出しておくれ」と道行く人々に呼びかけるので、わたしら家族はとても困っている。12/9

あの男、10.8闘争の英雄とかいわれているが、それってなんだろう? 俺の誕生日は10.16だし、もしかして10.28の間違いでは? ともかく、10月は戦いの季節だった。12/10

サントリーが製作した鳥の映画の試写会に行ったら、隣の席の学生が、うす暗闇の中で私が三文雑誌の要請ででっち上げたあほばかエッセイを熱心に読んでいるので、それが気になって映画に集中できなかった。12/10

今年採用した男女2人の新人が、港に浮かんだ船の上で、これからの航海について、あれやこれや熱心に論じ合っている姿をかいま見て、私は、これなら未来もまんざら暗くはないな、と安堵した。12/11

将棋盤を飛び出した桂馬は、樹上で猿になり、森に入ってオランウータンになり、草原のただなかで、ホモサピエンスになったが、やがて猛烈な殺し合いをはじめて、すぐに絶滅してしまった。12/12

妻君がいち早く起きだしたのか、台所で物音がする。「もう朝なのか。全然寝ていないのに」、と思って時計を見ると、すでに12時半になっていたので、急いで飛び起きたのだが、実際はまだ6時前だった。12/13

彼女は、J.CREWのヤマモトとかいう男に酷い目に遭わされたというて、縷々あれやこれやの話をするので、私はじっと辛抱しながら聞いてやった。12/14

無人島の周囲には、たくさんの貝殻が捨ててあったが、それらの一つひとつに数字が記されていて、その数字は、貝を捨てた男の旅情の重さを現わしているのだった。12/14

横須賀にある「確かめ教室」では、どんな複雑怪奇な数式も細かいパーツに分解して、何回も確かめながら学習させるので、周辺の子弟から、圧倒的な人気と好評を博していた。12/15

我々は、帆船フランクフルト号の奪還に成功したのだが、「奥入り河」に乗り入れたところで、船縁から転落したケンちゃんが、岩に足を挟まれて溺れそうになったので、みんなで河に飛び込んで、やっと救出することができました。12/16

主筆の私が夢遊病になってしまい、連日訳の分からない社説の原稿を書き殴っているのに、肝心の校正係は、ろくろく読みもしないで、合格印のスタンプをペタペタ押しまくるのだった。12/17

電車に乗っていた黒い狼が飛び出したので、私もその後を追って白い球を投げると、狼は球を追って駆けだす。また投げると、後を追う。しばらくそんな遊びをしてから、狼も私も、また電車に飛び乗った。12/18

バリストは半年以上続いていたが、私にはもう1年前の権力闘争への情熱も、そんな新たな自己を発見した喜びも、全世界を敵にまわしての反抗の気概も、すっかり失せてしまい、まるでセミの抜け殻のような状態になってしまった。12/18

私は理由なく再三暴漢に襲われたので、覚悟をきめて、護身用に紫色の鞘に収めた正宗の短刀を買い求め、肌身離さず持ち歩くことにした。12/19

ボタンプッシュ・キャンペーンが終了したので、私は「いいね」ボタンを押してくれた人たちに、いちいちお礼を言って回ることにしたが、その間も人世の無常を感じていた。12/20

基地内には、10か所の特定地点が指定されており、その地点に立つと、眼下に奥深い冬眠用の竪穴が掘られていることが分かった。12/21

訪問したイタリアの小さな町が地震に遭って、北側から崩落していくので、私らは、南へ南へと逃げに逃げまくったのだが、南からは、亡霊の群れが逃げてくるので、先頭のポチが狂ったように吠えたてた。12/22

千トンの象と千トンの犀が、まるで力士のように真正面からぶつかって、押しくら饅頭をして長い間死んだように動かなかったのだが、突然全力を振り絞った象が、犀を押し倒した。12/23

珍しく車で出勤した日の午後に、第2次関東大震災が来襲した。幸い私の会社がある高層ビルは倒壊しなかったので、最高層にある駐車場の最高部にひっかかっていた私のアクアを、なんとか地面に下ろそうと焦るのだが、その間にもどんどん時間が経つ。果たして我が家の家族は無事なのだろうか。12/24

私が子供だった頃、家の隣を流れている河の石を取ってきては裏庭に捨てていたら、巨大な石の山になった。その話を聞きつけて石屋がやってきて、「全部買い取りたい」というので、一山いくらで売ったのだが、かなりの儲けになった。12/25

大阪支店に出張して、明日の打ち合わせの場所と時間を尋ねたが、答えが妙な発音で最後まで意味不明だった。不安なまま大食堂で定食を頼んだが、最初にコーヒーが来ただけで、後がなにも来ないので、ねえちゃんに文句を言うと、間違えてほかの客が食べてしまったという。12/26

最近睡眠不足で悩む患者が、「先生、麻酔してください」というて、大勢やって来る。なかには「わたし部分麻酔では効かないから、全身麻酔をお願いします」という人もいたので、「そうかい、そうかい」と言いながら、親切に要望に応えてやった。12/26

五味家は、京の北白川仕伏町に3軒も別荘を持っていたので、私たちは、「右から左にどんぐりころころ、どんぶりごろごろ」、と唄いながら、朝から晩まで転がりながら眠った。12/26

17歳の僕は、京の都で六条の御息所に抱かれ、はじめて番って童貞を失ったが、それっきり二度と彼女に会うことはなかった。12/27

私は超高層ビルの最上階から、外壁の周囲に螺旋状に張り巡らした階段をつたって地表まで命懸けで降りてから、「このビルにはどうしてエレベーターがないのだろう?」と訝った。12/28

私たちは、強権的な独裁者にちょん切られた首を、おのおの両手で持ちながら、黄泉の国に向ってトボトボ歩いていた。12/29

彼は、東京磁器センターの一介の皿職人だったが、ふと思いついて自由に作った皿の出来栄えが素晴らしかったので、人間国宝に指定されたが、それだけでは食べていけないので、相変わらず規格通りの皿を製造している。12/30

「あんたったら、日曜日には家事を手伝ってほしいのに、なんでまたCMの撮影だといって丸の内まで飛び出して、夜になっても帰ってこないの」と、うちの妻君はぷんぷん、かんかんだった。12/31

 

 

 

あい(ゆびさき、の)

 

長田典子

 
 

しんじている
あなたを
いっしんに

あさ いっしょに
めざめる

ふいに だきあう
そおっと ひとつになる

あなたの ほそい
ゆびさき、の
せいあい が すきです
ふれあう かさなる ひとつになる
あなたの はりつめた ふともも
だんりょくが
すきです

しんじている あなたを 心から
じんじている わたしを 心から

ドアをでたら
じゃあね、って
べつの方向にあるいていく

ことばがなくても
わかる わかっている

もう戻らない
会わない

それでも
いつくしみあう
しんじあう
えいきゅうに

とてもシンプルな
かんけい

そういうの
あい、って
よぶのではないかしら

そういう
せいあい、って
あるのではないかしら

 

 

 

あい(青いお空の流れるところ)

 

長田典子

 
 

ささのは
さらさら

かわに
流してしまいましょう

あいした
きずつけた
きずつけあった
あいしあった
いたかった
ことば たち

ごめんね

ぜんぶうらがえし
わたしだけ を
あいして
いいたかったのは
それだけだった
のに

ねじれてねじれてうらがえってねじれて
ぞうきんみたいに
なきました
ぼろぼろに汚してしまいました

ごめんね

ささのは
さらさら

かわに
流してしまいましょう

わたし
流れていくでしょう
青いお空の流れる落ちる
さきのさきの
そのさきまで

明るい光さす森のなか
ゆっくり
ゆっくり
ゆれる椅子で わたし
ながいながいマフラー編んでいるでしょう

うまれかわったら
あなたの猫になれたらいいな
それなら ゆるしてくれる
たぶん
 
 
ゆるしてください

 

 

 

あい(鉱物)

 

長田典子

 
 

ささのは
さらさら

きずついたこと
きずつけあったこと
ののしったこと
ののしりあったこと
みんな
流してしまいましょう

きょう
ラッパズイセンがさきました
シュンランのつぼみを見つけました
となりの猫は
ガールフレンドぼしゅうちゅうです
さっき庭をよこぎっていきました

わたしたちの
あいは
まだだれにも発見されてない
川の底の底の底にうずもれている
鉱物
だから

ささのは
さらさら

きずついたこと
きずつけあったこと
ののしったこと
ののしりあったこと
みんな
流してしまいましょう

あしたは
おはよう! って
ちがう何かになって
会いましょう

たとえば
カワウソ
岸辺にせっせと積みあげていく
川床をただよう みどりの葉っぱたち
魚の骨たち
くだけたガラスたち
お日様にあたれば
とつぜん
きらきら光りだす
鉱物たち

ささのは
さらさら

積みあげましょう
たしざん
しましょう

しあわせの
鉱物
たち

 

 

 

曇り空

 

石川順一

 
 

唱える唱える
牝鶏の真言が
一杯のお茶だ
アップルを
二個食べる今朝
牝鶏ではなくて
曇り空から
晴れ上がって行く
空が印象深い
パピヨンを今年初めて見た
昼餉の赤飯、ラーメン
塩のかけすぎには御注意
老いたくない気持ちが郷を呼ぶ
さぼる知恵(レイズィーナック?)(自信なし)
グレの歌を聞きたい
虎の群れを見て惰眠を貪る
居酒屋の鳥が襟足に止まって
ハンガーが凶器に変わる瞬間を恐れる
私はすばしっこさだけが
頼みの綱だと思った

 

 

 

帰郷

 

道 ケージ

 
 

陽水の『断絶』では
「母は今年九月で六十四
空0子供だけのために年とった」

ウチの母は今年十一月に八十七
全て忘れてしまいそうだから
米寿の祝いを早めに
だから博多に帰る

「早く家に帰りたか」
圧迫骨折で入院中
一人住まいの自宅で転ぶ

「この病院は入ったら二度と戻られんって
空0言いよったよ」
誰がね
(後見申立書に捺印)
そげなこと言うわけなかろうもん

「あんたの兄貴たい
空0バスん中で独り言のように言ったことがあったと」

宗像の小さな家で正月に
庭でバトミントンしたな
物干し竿がネット代わり

父は和服に脛毛出し
母のわりと正確なサービス
欺しあいだな

かあさん、血ぃ出とうよ。怪我したと?
ズックを洗う母に駆け寄った
「ケガやなかとよ」

そんなこと もう覚えてないか
玄海灘 黒く
友泉亭如水庵に夕陽、近づく

必死の思いで故郷に帰る

 

 

 

由良川狂詩曲~連載第22回

第7章 由良川漁族大戦争~くたばれ悪党!

 

佐々木 眞

 
 

 

戦いの火蓋が切られて、はや1時間。
さしも若さとスピード、そして美貌を誇る若鮎特攻隊も、多勢に無勢、すでに隊員の半分を失ってしまいました。

これ以上の戦闘は無意味、と判断したケンちゃんは、さびたナイフを振って若鮎たちを自分のまわりに集め、かねて用意の第2作戦に突入しました。

まず生き残った250匹の若鮎たちを、再びライギョ軍団の最前線に配置し、さんざんミニスカートで挑発して、ライギョおじさんたちの突撃を右に左にいなしておいてから、全速力で下流に向います。

そして、あと2メートル、あと1メートルで、今朝ケンちゃんが一生懸命に張っておいた漁網にたどりつくというギリギリのところで、取り舵いっぱい!
ケンチャンは若鮎特攻隊と一緒に左折して、柳の木の根方に緊急避難し、アユたちを先導しながら、漁網の少しまくれたところから、例の地下の大広間へとこっそり逃げたのでした。

雷魚ハルマゲドン
「くそお、ケンめ! アユめ! いったいどこへ消えやがったんだ。おれたちをサンザンおちょくりやがって。ちくしょう、1匹だって逃すもんか」
雷魚タイフーン
「おい,兄弟。あれは何だ? 何なんだ!」

ハルマゲドンとタイフーンの前方に、なんだか怪しい水煙が見えます。
それは昨夜の打ち合わせ通り、準備万端てぐすねひいて待ち伏せしていた、由良川じゅうのすべての淡水魚たちとその同盟軍でした。

少し具体的に書き記せば、その構成メンバーとは、以下の通りです。

ハヤ70648匹、アユカケ452匹、イワナ25匹、ウグイ9589匹、アカザ715匹、ムギツク514匹、オヤニラミ17匹、カマズカ569匹、ドンコ5789匹、カワムツ3657匹、オイカワ2679匹、フナ6459匹、コイ3685匹、スナヤツメ25匹、カワヤツメ16匹、アユ715匹、ヤマメ98匹、モロコ8671匹、ニゴイ578匹、ウグイ258匹、ドジョウ1023匹、シマドジョウ124匹、ホトケドジョウ269匹、モツゴ498匹、ワカサギ534匹、ナマズ867匹、ギギ558匹、ウナギ1364匹、オオウナギ268匹、タウナギ25匹、メダカ9046匹、ヨシノボリ6245匹、カジカ502匹などなどの総勢に、無数のトビケラ、カワゲラ、カゲロウ、ヤゴ、カメ、ミズカマキリ、イモリ、スッポン、カエル、カジカ、カワエビ、カニ、タガメ、タイコウチ、モクズガニ、ミズスマシ、マツモムシ、ゲンゴロウ、アメンボウ、ガガンボ、タニシ、カワニナたちを加えた全由良川防衛軍の面々たちが、時速60キロで殺到するライギョたちに向って、大胆不敵に陣営を組んで勢ぞろいしたかと思うと、三三五五次のような歌を、大声でうたいはじめました。

夕空晴れたら 秋風吹いた
ごはんがたけたら 晩めしたべよ

ごはんのおかずは ライギョの天ぷら
天ぷら食べたら パンツを脱ぐよ

パンツを脱いだら ポコチン出るよ
ポコチン出たら ションベンするよ

ションベンしたなら 水びたしだよ
水が出たなら ライギョがよろこぶ

お前がほんとの ライギョなら
雨ふりどしゃ降り かみなり鳴らせ

お前がにせもの ライギョなら
ドクダミつんで お茶飲まそ

そらそらおいで ここまでおいで
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ

そらそらおいで ここまでおいで
大陸生まれの らんぼうライギョ

それを聴いて、怒り心頭に発したライギョたち。
いつのまのやら姿を消したケンちゃんや若鮎特攻隊のことなどすっかり忘れて、目の前でヤンヤ、ヤンヤと口々にはやし立てるもろもろの魚たちに向って、歯槽膿漏の臭い息を吹きかけ吐きかけ、大きな口をさらに大きくひらいて、ものすごく長い背びれをまるでトビウオのようにバタバタと上下動させながらもんどり打って、なだれのように襲いかかったからたまりません。

ライギョたちと由良川の魚たちとの間に、ひそかに張り巡らされていたネットのために、総勢216匹のライギョ軍団は、全員しっかりからめとられて、もはや身動きひとつできなくなってしまいました。

一網打尽とは、このことです。
しかも彼らは普通の魚と違って空気呼吸が必要なために、時間が経つに従ってアップアップ。その日の夕方までには、全員があっけなく息絶えてしまいました。

 

 

つづく

 

 

 

家族の肖像~親子の対話その28

 

佐々木 眞

 
 

 

落語ってなに?
面白い話をすることだよ。

お父さん、安いって割引のことでしょ?
うむ、まあそうだね。

おばあちゃん、寝られなかったね。
うん。
おばあちゃん、亡くなったよね。
うん。
ドクターゴン、ドクターゴンよ。

お母さん、ぼくはムクゲ好きですよ。
お母さんもよ。
お父さんも好きだよ。

焼き芋、焼き芋ですよ。

お母さん、就職活動ってなに?
お仕事を探すことよ。

古川さん、むかし「お変わりありませんか」っていったよ。
そう。
お変わりありませんか。お変わりありませんか。エアコンいじっちゃだめ。お変わりありませんか。

お母さん、コウブ君亡くなったの?
亡くなっちゃったね。
こうぶ君、なんで亡くなったの?
病気だと思うけど。

虫は、セミとか?
そうだよ。
お父さん、ぼく、アブラゼミ好きだよ。
そうか。お父さんも好きだよ。

お母さん、疑問てなに?
さてどういうことかなあ?っていうことよ。

お母さん、申すと甲違うでしょ?
違うね。
申し上げるってなに? 言うことでしょ?
そうよ。

お母さん、別にってなに?
別なことよ。

ネギシさん、浜松に住んでたの?
え、さうなの?
そうだお。

お母さん、旅行でおみやげ買いますよ。
そう、買ってくださいな。
お父さん、先輩の英語は?
wwwww

お父さん、ウエダさんが「汚れとりましたので」とおっしゃったよ。
そう。じゃあ、また汚れ取りに行こうね。
いやですお。

岸本先生、ユキオっていったよ?
耕君、先生に名前聞いたの?
そうだよ。ユキオ、ユキオ。

お母さん、ぼくシダックス好きだったんですお。
シダックス、なくなっちゃったねえ。
なくなりましたよ。

お父さん、しりとりしよ。戸塚。
カメ。耕君、カメだよ。逃げないでよ。

お母さん、デートってなに?
会ってお話したりすることよ。

おばばちゃんちに、オクラ植えた?
植えたよ。見てね。
見ますよ。

「気をつけて飲んでください」っていったよ。
何を?
お茶だお。
誰が?
おばあちゃんが。
そうなんだ。

お母さん、待ちぼうけってなに?
誰かをずーと待っていることよ。

お母さん、エイエイオオってなに?
がんばるぞお。
エイエイオオ、エイエイオオ。

お母さん、それぞれってなに?
ひとつひとつ、ってことよ。

お母さん、身軽ってなに?
身のこなしが軽いってことよ。

お母さん、いらつく、ってなに?
いらいらすることよ。

お母さん、ファイトってなに?
がんばることよ。
ファイト、ファイト、ファイト!