たぶん
意味はなかったろう
多摩川を渡った
多摩川を渡ってきた
そうだろ
渡ってきたのだろ
消えた
きみのペンダコは消えたろ
たいらにひらいて
河は
河はながれていた
今夜
竹田賢一さんは大正琴を抱いて
眼を覆いたくなる
ことばかりだとつぶやいた
たぶん
意味はなかったろう
多摩川を渡った
多摩川を渡ってきた
そうだろ
渡ってきたのだろ
消えた
きみのペンダコは消えたろ
たいらにひらいて
河は
河はながれていた
今夜
竹田賢一さんは大正琴を抱いて
眼を覆いたくなる
ことばかりだとつぶやいた
黒い実を
落としていた
ランタナは可愛い花だね
通勤路の庭に
咲いていた
ピンクの小さな花をあつめて
真ん中に
黄色い花を抱いて
咲いていた
花を終えて
小さな黒い実を落としていた
黒い実が
アスファルトに光っていた
黒い実が光っていた
そこに
いない
むこうに
いる
その
むこうに
いる
光って
いた
たくさん
光っていた
そこに
いて
そこにいない
きみは
死者のむこうにいる
その死者たちのむこうにいる
きのう
浜辺で水面を撮ったよ
光っていた
光っていたよ
若い日
故郷から逃げ出してきた
週末に
海辺の街に帰る
こだまに乗って
帰る
途中いくつかトンネルをぬける
トンネルをぬけると
海辺の街とたいらな海が見える
ヒドリノトキハ
ナミダヲナガシ
そう手帳に書いていた
そうだね
週末に
海辺の街に帰る