michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

サボテンの花

 

有田誠司

 
 

珈琲飲みながら 煙草吹かして 
部屋のサボテンの棘の数 数えてる

棘で武装した小さなサボテン
そんなに構えるなよ
世の中 悪い奴ばかりだけどさ

また嫌な事 眠れない夜
悪いのは全部アイツのせい それでいいじゃん

お前が救われるなら
棘だらけのお前にも花は咲くんだろ
見た事無いけど

見せてくれよ いつかきっと

あれこれ探し回るより
目の前にあるものから
良いもの選びなよ
ちゃんと目を開けて

悪い奴ばかりじゃないかもしれないよ

そう 咲かせなきゃ 
もう直ぐ春がくるってのに 咲かせなきゃ

 

 

 

また旅だより 44

 

尾仲浩二

 
 

桜を追って妻と北へ行った。
昨年の四月に泊まった温泉宿の桜が見事だったので早くから予約をしていたのだ。
ところが開花予報はいつまでも蕾のままで半分諦めていた。
それが月曜からの異常な気温で蕾は一気に開き、夜でも半袖で桜を楽しむことができた。
翌日、妻は留守番させた猫をすこし心配しながら東京へ戻った。
そして今日は気候が一転、ひとり凍えながら今年最後の桜を見て歩いた。

2022年4月14日 山形市内にて

 

 

 

 

 

松田朋春

 
 

名刺をうんざりするほど捨てた
すっかり捨てても
まだ出てきた
シュレッダーに通す
意外なくらい
顔を思い出した
もう
思い出さないだろう

すずめのひな
すて犬
かめ
魚たち
くわがたとかなへび
逃げていったひよどり
大切な犬と猫
これですべて
忘れない

後ろで扉が閉まる
ひとりだ
深呼吸をひとつ
そしてほほえむ

 

 

 


在る

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

我敗
我旗
我病
⋯⋯骨
⋯⋯滿飲!
我夜晚
我街磚
我哭號
我吻你

⋯⋯

 
    .
 

我敗
 私は敗れ
我旗
 私は旗を巻き
我病
 私は病む
⋯⋯骨
 ⋯⋯骨よ
⋯⋯滿飲!
 ⋯⋯たらふく飲もう!
我夜晚
 私は夜中の
我街磚
 私は街路の煉瓦に
我哭號
 私は泣き叫び
我吻你
 私は君に口づける

 私は
⋯⋯

 かく在る

 

日本語訳:ぐるーぷ・とりつ

 

 

 

 

あそびましょう *

 

さとう三千魚

 
 

窓を開けて

餌を
やる

今朝も

窓を開けて
小鳥に餌をやる

西の山を見る
西の山を見ている

山桜が盛りあがって咲いている

川岸を
老人たちが歩いている

若い人が
走っている

どうなんだろう

横たわってた

道端に
そのまま

動かなかった

そこに花は咲くだろうか
そこに道はあるだろうか

あそびましょう *
あそびましょう *

子どもたちはそう言った

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”(犬のための)本当のだらだらとした前奏曲” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life