広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
新兵器の投入だ
顔真っ赤手足バタバタの魔の7時
ギャン泣き声に挟まれて危機に陥ったかずとんパパ
だが今日は新兵器があるぞ
両端に膨らみを持つ赤い棒状のものが
コミヤミヤとこかずとんの頭上を駆け抜けた
西松屋で1000円で買った
マラカス型のガラガラ玩具
ジュカジュカジュカジュカジュッ
かずとんパパが強気で振ると
強気の羽ばたきの
ムクドリの急降下
コミヤミヤの声ぱたりと止む
こかずとんの声ぱたりと止む
撓んだ曲線の航跡から
にゅっと嘴生え出て
空気を鋭く切っていく
あっけ
に取られた
2つの口をまあるくする
お次はアゲハチョウ
かずとんパパが人差し指と中指を使って弱気に振ると
ながーい触覚もそっと動かし
ゆらゆら舞い上がる
小刻みに上下
小刻みに羽震わせ
シュカシュカシュカシュカシュッ
描き出されるゆるーい八の字に従って
2×2の目
きゅっきゅきゅ動く
さっきまでのギャン泣きが噓のよう
かずとんパパの魔法の手の力で
両端が膨らんだ赤い棒の中から
突如出現した
ムクドリとアゲハチョウ
奇襲成功だ
よし、またムクドリいくぞ
次のミルクまでの1時間持ちこたえるぞ
ジュカジュカッシュカシュカッ
夜が
あけて
空には
青空
ひろがっている
モコ
吠えている
肉が
欲しいのか
モコモコ
女が
呼んでいる
モコの走る音が聴こえる
走ってる
ぶらんこが揺れる
遠い
誰も
いない
* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より
#poetry #no poetry,no life
この夏に終わってしまう中野サンプラザ
そこでの最後のブックイベントに出店した
会場に溢れる沢山のマニアックな本の中に堀ちえみのアイドル本があった
1981年、写真学生だった僕はホリプロのファン会報紙のカメラマンのアルバイトをしていた
その年、中野サンプラザで開催されたホリプロスカウトキャラバンで優勝したのが堀ちえみ
なので僕は会報誌のために楽屋で、誰よりも早く彼女を撮ったのだ
中野サンプラザ、そして堀ちえみ、これは運命だろう
なのに結局買わなかった、なんども手に取ったのに
レジに出すのが恥ずかしかったから
どうせ本人が書いたわけではないしと言い聞かせ
たった600円だったのに
まだ後悔している
2023年5月3日 中野サンプラザにて