michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

うつりゆく景色 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 08     kiyomi様へ

さとう三千魚

 
 

過ぎていったよ
雲のよう

流れていったよ

大切なもの
わたしの

ひと

あじさいの
花のなかに

かたつむり
いるよ

いるよ

 

 

memo.

2022年5月28日(土)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「無一物野郎の詩、乃至 無詩!」で作ったやっつめの詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。

タイトル ”うつりゆく景色”
花の名前 ”あじさい”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

おとうと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 07     kenta様へ

さとう三千魚

 
 

叫びたい

ことが
ある

けど
叫ばない

話したいことが
ある

けど
話さない

おとうとは
レンゲ畑に佇っていた

バットを
振りまわしていた

レンゲの花が
咲いていた

一面に咲いていた

若い
若い

おとうとがいた

 

 

memo.

2022年5月28日(土)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「無一物野郎の詩、乃至 無詩!」で作ったななつめの詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。

タイトル ”おとうと”
花の名前 ”レンゲ草”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

求められているのは

 

駿河昌樹

 
 

やはり
書くということは大きい

文化
というが
あれはやはり
文に化する
ということだろう

文にしてみる
言葉にしてみる
文字にしてみる

ソクラテスのように
イエスのように
ブッダのように
書かなかった賢人もいる
たぶん
そこが理想の到達点ではある

しかし
言葉にしてみる
文字にしてみる
文にしてみる
という径路もある

たぶん
文字や言葉や文そのものが大事なのではない
けれども
そうした物質化の過程で
跳ね返ってくる大きな反作用があって
それは精神を変容させる

求められているのは
そんな変容だ

文字や言葉や文を携えて
次の世界に行こうなどということではない
求められているのは

 

 

 

夜明け前の結婚式 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 06     ryouta様へ

さとう三千魚

 
 

手を
繋いだ

ことがある

夜中に
手を繋いだこと

がある

夜明け前に

きみの花が咲く
のをみた

ほそい首の先に
ピンクの花を咲かせて

いた
エケベリア

夜明け前に

いつまでも
きみをみていたい

 

 

memo.

2022年5月28日(土)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「無一物野郎の詩、乃至 無詩!」で作ったむっつめの詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。

タイトル ”夜明け前の結婚式”
花の名前 ”エケベリア”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ひらく ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 05     sumire様へ

さとう三千魚

 
 

みたことが
ある

みたことが
あった

紅い色の
花が

風に吹かれていた
ゆれていた

紅い花
散っていった

風に
舞った

枝に棘を残して
いった

 

 

memo.

2022年5月28日(土)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「無一物野郎の詩、乃至 無詩!」で作ったいつつめの詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。

タイトル ”ひらく”
花の名前 ”ブーゲンビリア、紅い”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life