佐々木 眞
自由
ちょぽちょぽ
水撒いて
首をフリッフリッ
前進して
フッキフッキ
いったん止まって
首をフリッフリッ
またスーッと前進して
ちょぽちょぽ
家にお掃除ロボがやって来た!
「クレジットカードのポイント溜まってたから思い切って交換してみたの。」
掃除機は毎週かけるけど拭き掃除まではちょっと億劫
それを問題視したミヤミヤが最新のテクノロジーに目をつけた
「説明書読んで使い方覚えておいてね。」
バッテリー入れて
紙パッドはめて
水さして
ボタン押して
「ラシドレミファ♪」
甲高いトーンで短音階を途中まで奏で
グリーンの光、瞬いた
ちょぽちょぽ
フッキフッキ
動いたぞ
こりゃあ便利
縦15センチ横15センチの角っこ丸い正方形
シンプル極まりない姿だけど
結構きれいになるもんだな
単純に直進しないで
フリッフリッ
頭を20度くらい傾けて
行きつ戻りつお掃除するのがミソ
ちゃあんと進むべき空間を認識してから動くんだ
掃除機との違いはここだな
人間に代わってこなす
「認識」っていうお仕事
あれれ、壁にぶつかった
立ち止まった
ちょっと考えて
キーッ
急旋回
進路を変えて
何事もなかったかのように
フッキフッキ
お見事お見事
止まって考える
そのちょっと困ったような姿がたまらない
お、そろそろぼくが座ってる机の近くだ
机を移動させるのはやめてどんな動きをするのか見てやろう
脚にぶつかったお掃除ロボ
しばし静止
「CLEAN」の文字がピカピカ点滅
うん、止まってるけど休んでるんじゃない
これ、「認識」っていうお仕事をしてますってポーズなんだ
キーッ
方向転換して
フッキフッキ
そのまま直進と思いきや
また戻ってくるぞ
脚の周りをぐるっと回って
もう1つの脚にぶつかった
しばし静止
「CLEAN」がピカピカ
どうやら障害物の位置と形状を把握したみたい
ちょぽちょぽ
水撒いて
フッキフッキ
それから壁まで行ってぶつかってまた戻ってきたりを
ジグザク繰り返し
机の下のスペースは
すっかりって程じゃないけどだいたいきれいになった
まどろっこしく見えるけど
決して休まない
この調子だとあと15分くらいで完了だな
ヤッホー
紅茶でも飲むか
お掃除ロボの何がすごいって
立ち止まって「CLEAN」をピカピカさせながら考えるトコ
迷うことができるってすごいね
試行錯誤できるってすごいね
廉価な君だから
高性能のお仲間たちみたいにはいかないかもしれないけど
この調子だとあと10年くらいで
史上最年少で6段に昇段した藤井聡太さんと将棋を指せるくらいになるかな
難しい局面では
「CLEAN」をピカピカさせながら長考だ
あーでもない
こーでもない
おっ、いい手思いついた
フリッフリッ
頭を20度くらい傾けて
香車を金の真ん前に打つ
うーんと藤井聡太6段が唸った時
あ、お湯沸いた
ティーバッグを引き出す
わぁ、いい香り
ひと口啜って
そうだ、お掃除ロボ
紅茶を味わう
そんなこともできるようになるかな
自分で味を「認識」するんだよ
渋みがある、フルーティー、ちょっとスパイシー
そんな分類するような判断じゃなくてね
「体の芯からほっとリラックスします。」
「コクがあって元気がモリモリ湧いてくるようです。」
お掃除ロボ自身が「じっくりと味わって認識」するんだ
つまりロボットが生産を担うだけでなく
消費も楽しむ
それこそ科学技術の進歩じゃないか
詩も書けるようになるかもよ
誰かが上手にプログラミングしたみたいな詩じゃなくてさ
今日はキッチン周りをお掃除
床を滑る私を迎えてくれたのは
小さな油の池、池、池
私のフッキフッキをぷかぷか潜り抜けていく
かずとん、かずとん
料理する時はもっと気をつけて
なんて
「自分の体験を顧みた認識」をする内容だったらいいなあ
お掃除ロボに詩で注意されるなんて
考えただけでゾクゾクする
でもって一緒に合評会できるかな
ぼくが書いた詩を読んで
感動の余り
ちょぽちょぽ
フリッフリッ
フッキフッキ
故障したわけでもないのに
「思わず」
床をお掃除しちゃったら
こりゃすごいよね
ロボットにおける「認識」の概念が広がるよなあ
ちょぽちょぽ
水撒いて
首をフリッフリッ
前進して
フッキフッキ
いったん止まって
困って
迷って
試行錯誤
そうさ
ぼくも
いまだ奮闘中のお掃除ロボに負けないように頑張るぞ
ミヤミヤに言いつけられたもう1つのミッションである
お洗濯
このシャツ、「乾燥する」モードかなあ、「乾燥しない」モードかなあ
「CLEAN」をピカピカさせながら
困って
迷って
取りかかるのさ
あの夜の月はとても明るかった 真夜中あたりだったろうか あるいは もう未明に近かったろうか あまりの明るさにふと目を覚まして それが月明かりだと知ってとてもおどろいた カメラを持った腕を窓枠に固定して撮ったことを覚えている そのとき外気温は氷点下20°C近かったように思う 吐いた息がエクトプラズマのように漂うので 写り込まぬよう 息を止めてシャッターを切った そんな時々に撮りためた写真たち

NEVER LET ME DOWN
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A TABLE IN THE SPRING LIGHTS
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A TABLE AND CHAIRS IN THE SPRING LIGHTS
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THE LAST ICICLES IN THE SPRING
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今朝
義兄は
この世にもどってきた
猫は
散歩にでかけていった
カタユキの雪原を渡っていった
鳥海山は白く佇っていた
仏壇の母にありがとうといった
さよならとも
いった
ひくく台所で呻いた
姉がだまって聴いてた
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
あなたのチンポは どれですか?
それは あなたの秘密です。
世界の誰にも 明かせない。
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
私のチンポは どのくらい?
それは 私の秘密です。
愛する人にも 明かせない
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
できればチンポは ビッグがいい
大きいだけでは うどの大木
硬くて なかなか しぼまないやつ!
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
男の値打ちは なんでしょう?
男の値打ちは チンポで決まる
顔も 知性も 関係ない
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
大きなチンポが ほしいなあ
硬いチンポが ほしいなあ。
なかなか しぼまぬ チンポは どこだ?
チチンプイプイ チチンポイ
大きいチンポ 小さいチンポ 中くらいのチンポ
大きく 硬く しぼまぬチンポ
これさえあれば 打ち出の小槌
打てば打つほど 女性はよろこぶ
ズズンズンズン ズビズバア
チチンプイプイ チチンポイ
朝の5時まで しあわせさ
その若い男がやくざであることは分かっていたが、実に些細なことで私にいちゃもんをつけてきたので、カッとなった私はそいつをボコボコにのしてしまった。11/1
ゼンちゃんと一緒に、どこか田舎の百貨店へ行こうとするのだが、ゼンちゃんは、いつのまにかどこかへ消えてしまう。久しぶりに会った弟なので、私はあちこち探し回るのだが、見つからないので、途方にくれてしまう。11/2
私は美貌の母娘の依頼を受けて、半年以上も作陶を続けているのだが、彼女たちがひっ切りなしにわが工房を訪れてあれやこれやとちょっかいを出すので、まるで作業が進捗しない。11/3
たいした選挙運動もしないのに、私は、なぜだか市会議員になった。
議場へ初登院しようとすると、入り口でヘルメットと角材を渡された。
「これで敵を思う存分ぶったたけ」と誰かが囁いた。11/4
上空から仁徳天皇の前方後円墳を眺めているうちに、この古墳は、カイコの五齢幼虫の姿を模したことが分かった。11/5
私は谷崎文藝に親しむあまり、文豪と同じように、右手では書けなくなってきたので、文豪に倣ってA嬢を秘書に雇って、口述筆記させていたのだが、彼女がファシスト政権の熱烈な支持者であると判明したので、即解雇した。11/6
私が勝手に広告を作って、いろいろな媒体に出稿するものだから、上司は、何も言わずに私を解雇してしまった。11/7
それまでは女性を抱きしめて押し倒しても、勃起不全に終わることが多かったのだが、その先の行為を、頭の中でシミレーションしているうちに、鬱勃と性器に精力が満ち満ちてきたようなので、これはもしかすると、きっとうまくいくのだろう。11/8
ようやく会社の近くまで戻ってきたら、ヨシダヨシオが、「タクシーに乗せて下さいよお」と甘い声でせがんだのを、私は断固として退け、馴染みの古本屋に入ると、昼寝していた主人が、慌てて飛び起きた。
この店には、なぜか水族館のような大きな水槽があって、アシカやペンギンが泳いでいる。ふと見ると、目の前にペンギンが立っているので驚いたが、おそらくこれは、水槽から飛び出て来たのだろう。
ヨシダヨシオが大声で「ペンギンだあ! ペンギンだあ!」と叫ぶと、ほかのペンギンやらアシカやらトドなんかも、連れだって私たちをぐるりと取り巻いた。
もう夜も更けたので、朝にならないうちに帰宅しようと焦っていると、AとBが「もう一軒行きましょうよ」としつこく誘うのを断り、私は中央駅の階段を全速力で駆けのぼり、どこへ行くのか分からない発車間際の電車に飛び乗った。
昔の私は、己の虚しさを糊塗しようとして、虚飾に満ち満ちた言葉をまき散らしていたのだが、最近は口を閉ざして、おのが空無そのものを、さらけ出すようになったらしい。11/8
自殺船というのは、毎年年1回公募による365名の自殺希望者を乗せて、365日間で世界を一周する。毎日1名の自殺者を予定し、本人も納得しているのだが、いざとなるとひるむ人もいて、およそ3分の1ほどが、死なないで戻って来るそうだ。11/9
大事にしている鞄を、ウンコがいっぱいに盛り上がった河に落としてしまった。しかたなく、ウンコが盛り上がった河の中に、抜き足差し足で入って、鞄を取り戻したが、家に帰って洗ったら、別の鞄だった。11/10
指揮者に憧れて弟子入りした私だったが、師匠が右手を挙げながら、右指を順に追って、曲の終わりを指示しているのを見て、指揮棒を折った。そもそも私は、オタマンジャクシが読めないことを忘れていたのだった。11/12
イマナカ、キムラ両氏が、大論戦を繰り広げている部屋を後にして、ランチに出かけた私が戻って来ると、ムラクモ氏が来客に自分本位に対応していた。60年代最終年のわが社に、果たしてどんな70年代が訪れようとしているのか、私しか知らなかった。11/13
「なんで家に帰って来なかったの?」と聞かれても、よく分かりません。
別に女ができたわけじゃなし、まあ猛烈リーマンですかねえ。
仕事が面白いから夜遅くまで働いても苦にならない。気がつけば電車が無くなっている。それで外泊しているうちに、家で寝るより安ホテル、とりわけカプセルホテルのほうが休めることに気がついた。利用したのは主に新橋、渋谷かな。11/14
洞窟のように狭くて、腰の上あたりに小さなテレビがついている。
そういう独特の空間でないと眠れないような精神と肉体状態になっていたんですね。
それでも時々は自宅に帰っていたんですが、ある日事件が起こった。
夜の渋谷で、格安で車のガソリンを売っている男がいる。ほとんどただのような値段なので喜んで買っていたら、最初はガソリンだけだったのが、ガソリンを餌にして、いろんなものを売るつけるようになった。
それで、「いい加減にしろ」とガツンとやっつけたら、そいつがヤクザだったので、幹部やら親分やらがが絡んできたので、夜の渋谷は鬼門になった。
それでまた家と会社を普通に往復するようになりました。いわば日常を取り戻したわけ。
夫を取り戻した家内も、ほっと一息ついたと思うけど、ある日、洗濯物が4つの場所に離れ離れに置かれていて、この4つの場所が、私がこの4年間に旅行した記念の場所なんだというのです。どうやら勝手に海外旅行をしていたらしい。
猛烈リーマンの私は、てんで知らなかったが、彼女はその4か所でそれぞれ土地を買って、4人の男に留守番をさせているというので、妙に気になって、その4人を日本に呼び寄せたら、口々にその土地を売ってくれと言うので、切り売りしてやりました。11/14
隣国でクーデターが起こり、皇帝が殺されたので、後宮の女性三千人が、我が王国に亡命してきた。毎晩一人としても全員を味見するのにおよそ一〇年間を要すると知った私は、茫然として業務など手がつかなくなった。11/15
私は愛機を低空飛行させながら、地上の人々に「早く逃げろ!」と叫んだのだが、そのうちに、上空から急降下してきた敵機の猛射を浴びて、たちまち火だるまになってしまった。11/16
ウッチャンはじめマンタ一家は、おせいちゃんがお金を持ってくるのをずーと待っていたが、お昼近くになっても彼女の姿が見えないので、イライラは絶頂に達した。お金がないと昼御飯が食べられないのだ。11/17
教室の学生たちが、いつまで経っても私語をやめないので、私はビール瓶を右手で抱えながら「いい加減にしろ!」と怒鳴りつけた。11/17
奥歯にはまだ神経が残っているはずだから、先生お願いだから麻酔をしてくださいね。麻酔なしだと、きっと気絶してしまうでしょうからね。11/18
私がアハハというと、ヨシダ君がアハハと応じる。そんな歌舞伎のような応答を2人でしばらく繰り返していたのだが、突然ヨシダ君が「ウーーウーーウーー」と救急車の真似をしはじめたので狼狽した。11/19
地中海クルーズのリーダーのY嬢に、持参したカセットやデッキを進呈したら、「これで航海中の徒然を慰めることができますわ」と、大喜びされました。11/20
敵の大艦隊が押し寄せてきた。私は1トン爆弾を積んだ改造漁船に乗り込み、先頭の敵艦に突入する決意を固めたが、そんなことは無理だということをよく分かっていたので、Y嬢と、手に手を取って逃げ出したくなった。11/20
わがブランドは、東コレを皮切りにNYコレに進出して地歩を固め、次いでパリコレで大成功した時点で、ピークに達したが、その直後に人気実力ともに急降下して、誰からも忘れ去られた。11/21
「あなたからは、おのれの欲しか感じない。だったら、おのれの欲の海で、立ち泳ぎでもしてな」と夏菜から言われたので、私はひと夏じゅう葉山の海で立ち泳ぎしていた。11/22
2人の子供とセミ公園に行きました。するとセミを追いかけて親子のライオンや白ヒョウが公園中を駆けずり回るので、怖くなって、みんなで脱出しました。11/23
野山を楽しく散歩した後で、私たちは固まってお弁当をつかった。11/24
急に外国からの賓客が来訪することになったので、私は新宿の本社と、長野、飯田工場の3か所を、ヘリに乗ってあわただしく移動せざるを得なかった。11/24
ミチコさんが、「これ以上私に何もしないでください」というので、私は何もしなかった。11/25
道教寺を舞台にして、いつのまにか毎日公演が行われていた。予算はゼロに近いのだが、常設のお神楽をBGMにして演劇やオペラを学んでいる学生を起用すれば、けっこう面白い見世物ができるのである。11/26
裂帛の気合いもろとも、突っ込んでいったが、あっという間に、剣を弾き飛ばされ、喉元に突きが入ったために、仰向けにどうと倒れた私は、両手を彼女にふんづけられ、屈辱的な敗戦を喫した。11/27
ともかく私は、1千万円を取り返さなければならなかった。たとえ来る日も来る日も、タコの足ばかり食べ続けなければならなかったとしても。11/28
つねに一打逆転で勝利を手繰り寄せてきた頼りがいのある男を、私はいつも、私の次の打順に据えてきた。我々がプロの世界から引退したあとも。11/30
義兄が倒れて
秋田に
見舞いに来ている
母の三回忌でもある
泣いた姉に会った
まゆみさん
けいこさん
一平ちゃんに会った
会ってもやがて別れるが
会えてよかった
オトテールのリコーダーを浴室で聴いた
岡 花見さんから教わった
Frog’s Fallopian Tubes
You know? I’m an egg.
Since I was born, I have been connecting with my many siblings. We always talked about the day we would hatch silently. We didn’t know what would happen after that. But we had known our mother was a frog. We remembered mother’s fallopian tube like a slide and ovary or like a warm balloon.
You know? I and my sibling were connected hand in hand with the tube made of jelly. We also talked about what a frog was with each other but nobody knew that sort of thing. Someone said we would be like a spindle shape which we would go thorough and leave beside us. Someone said we would be like swaying green in the water. And someone said we would be something like a flying black shape out of the water. But nobody knew what we would be.
You know? I had been so sad to separate from the fallopian tube and I was so scared to separate from my many siblings. I knew I would be alone. No mother, no tube, no siblings. I was sad sad sad sad sad sad…….we were sad sad sad sad sad sad…….
You know? We were moving in the water together like strange lives. We were laughing with each other seeing ugly strange shapes. We are moving together laughing….laughing…. and we began to swim.
laughing….laughing….laughing…. and we became swimmers.
You know? My siblings had legs and went up out of the water one after another saying good bye ….goodbye….goodbye….goodbye………
good bye…..one after another ….one after another ……..
You know? I know I didn’t go out of the water. You know? I don’t know why I didn’t go out of the water. Here water is warmer ….warmer …warmer…..and very much hotter………hotter ….hotter…..hotter……hotter……hotter……..
You know? At last the water vanished away….yes…vanished away…….
You know? I also vanished away. But I became free. Yes, I’m free.
You know? I’m in the air on the water. Maybe, in the sky.
I am the eye of the sky.
And you know? I’m staying with various forms of lives here.
They are eyes of the sky. Of course I met my siblings here too. And you know?
We will go to the frog’s fallopian tubes as many eyes.
You know? Frog’s eggs are eyes.
You know? Eggs are eyes. Eggs are always looking at you in the water. Be careful if you saw frog’s eggs in spring because they were eyes. And there are many eyes in the world.
You know? Never forget frog’s fallopian tubes.
You know? I’m an egg.
Since I was born, I have been connecting with my many siblings. We always talked about the day we would hatch silently. We didn’t know what would happen after that. But we had known our mother was a frog. We remembered mother’s fallopian tube like a slide and ovary or like a warm balloon.
You know? I and my sibling were connected hand in hand with the tube made of jelly. We also talked about what a frog was with each other but nobody knew that sort of thing. Someone said we would be like a spindle shape which we would go thorough and leave beside us. Someone said we would be like swaying green in the water. And someone said we would be something like a flying black shape out of the water. But nobody knew what we would be.
You know? I had been so sad to separate from the fallopian tube and I was so scared to separate from my many siblings. I knew I would be alone. No mother, no tube, no siblings. I was sad sad sad sad sad sad…….we were sad sad sad sad sad sad…….
You know? We were moving in the water together like strange lives. We were laughing with each other seeing ugly strange shapes. We are moving together laughing….laughing…. and we began to swim.
laughing….laughing….laughing…. and we became swimmers.
You know? My siblings had legs and went up out of the water one after another saying good bye ….goodbye….goodbye….goodbye………
good bye…..one after another ….one after another ……..
You know? I know I didn’t go out of the water. You know? I don’t know why I didn’t go out of the water. Here water is warmer ….warmer …warmer…..and very much hotter………hotter ….hotter…..hotter……hotter……hotter……..
You know? At last the water vanished away….yes…vanished away…….
You know? I also vanished away. But I became free. Yes, I’m free.
You know? I’m in the air on the water. Maybe, in the sky.
I am the eye of the sky.
And you know? I’m staying with various forms of lives here.
They are eyes of the sky. Of course I met my siblings here too. And you know?
We will go to the frog’s fallopian tubes as many eyes.
You know? Frog’s eggs are eyes.
You know? Eggs are eyes. Eggs are always looking at you in the water. Be careful if you saw frog’s eggs in spring because they were eyes. And there are many eyes in the world.
You know? Never forget frog’s fallopian tubes.
You know? I’m an egg.
Since I was born, I have been connecting with my many siblings. We always talked about the day we would hatch silently. We didn’t know what would happen after that. But we had known our mother was a frog. We remembered mother’s fallopian tube like a slide and ovary or like a warm balloon.
You know? I and my sibling were connected hand in hand with the tube made of jelly. We also talked about what a frog was with each other but nobody knew that sort of thing. Someone said we would be like a spindle shape which we would go thorough and leave beside us. Someone said we would be like swaying green in the water. And someone said we would be something like a flying black shape out of the water. But nobody knew what we would be.
You know? I had been so sad to separate from the fallopian tube and I was so scared to separate from my many siblings. I knew I would be alone. No mother, no tube, no siblings. I was sad sad sad sad sad sad…….we were sad sad sad sad sad sad…….
You know? We were moving in the water together like strange lives. We were laughing with each other seeing ugly strange shapes. We are moving together laughing….laughing…. and we began to swim.
laughing….laughing….laughing…. and we became swimmers.
You know? My siblings had legs and went up out of the water one after another saying good bye ….goodbye….goodbye….goodbye………
good bye…..one after another ….one after another ……..
You know? I know I didn’t go out of the water. You know? I don’t know why I didn’t go out of the water. Here water is warmer ….warmer …warmer…..and very much hotter………hotter ….hotter…..hotter……hotter……hotter……..
You know? At last the water vanished away….yes…vanished away…….
You know? I also vanished away. But I became free. Yes, I’m free.
You know? I’m in the air on the water. Maybe, in the sky.
I am the eye of the sky.
And you know? I’m staying with various forms of lives here.
They are eyes of the sky. Of course I met my siblings here too. And you know?
We will go to the frog’s fallopian tubes as many eyes.
You know? Frog’s eggs are eyes.
You know? Eggs are eyes. Eggs are always looking at you in the water. Be careful if you saw frog’s eggs in spring because they were eyes. And there are many eyes in the world.
You know? Never forget frog’s fallopian tubes.
∞ ∞ ∞
frog’s fallopian tubes(蛙の卵管)
フェイスブックに
唐突にポストされた言葉を掬い取る
初めてのエイ語の詩は
タイトルから始まった
そうだった
幼いころ
田圃の隅に
とぐろを巻く透明な卵塊をよく見た
無数の黒い眼を見かけるたびに
ものすごく恐ろしかった
エイ語に四苦八苦して
内容は単純そのもの
卵から孵った蛙の兄弟たちがみな水から出ていき
自分は干からびて空に行く
やがて空で兄弟たちと再会し
春に再びfrog’s fallopian tubesから生まれ出るというお話
循環するお話
きょう
Creative Writingの授業で
マーク先生は
とてもよい詩だ、と褒めた後で
実はまったくわからないのだ
輪廻転生ということが……
キリスト教では
死は完全に終わってしまうことだから
穏やかに微笑みながら言った
I understand you but I believe reincarnation because I’m affected by Buddhism.
(わかります。でも、わたしは仏教の影響を受けており生まれ変わりを信じています)
Really? (ほんとかな)
自分に問い返す
ギンザの
マンションの一室で
占い師から前世の話を聞いたのだった
若い人のようにてきぱき仕事ができなくなって
屈辱感にまみれていた
朝まで眠れない夜が続き
その女性に会いに行ったのだった
藁にもすがる思いで
最後はニューヨークで学校の先生をしていましたよ
突然、アパートの窓から
誰かを待って窓の外を見る女性の姿が頭に浮かんだ
ニューヨークに行った方がいいですよ
たくさんの友達に会えます
前世って存在を
信じてみたい
眠れないほどの屈辱感と恐怖から救われるのなら
百年以上前
ニューヨークで違う人生を生きていた楽しく明るい人生だった
そう思うと気分が晴れ晴れした
ニューヨークに行く計画に
「よくできました」のスタンプをもらった気分だった
そのことを相談しに行ったわけではないのに
とっくに決めていたことなのに
その夜は朝までぐっすり眠った
Really? (ほんとかな)
自分に問い返す
マーク先生はよく言う
自分はエジプト人とポーランド人の
血が混じってると
誇らしげに
田圃で蛙の卵塊を見かけるたびに
怖くなって走って家に帰った
あのころ
急な坂道を登って山の上の町に行き
そこをさらに横切って西に歩き
教会のある幼稚園に通った
礼拝の日は入口で神父様の前でひざまづき
パンを口に入れてもらったのだ
マーク先生
I’m sure you notice them.
(あなたは気が付いている)
百キロ以上はある巨体をジャンプさせながら
物語や単語の説明をするマーク先生
とても尊敬しています
エジプト人とポーランド人の血が混じっているあなただからこそ
たくさんの眼については知っていると思います
By the way, why did you choose frog’s fallopian tubes?
(ところで、なぜあなたは「蛙の卵管」を選んだのですか)
I found the words on the Internet by chance and had inspiration.
(インターネットでこの言葉を偶然に見つけてひらめいたんです)
I think the universe is full of frogspawn, twisted, entangled.
(宇宙はたくさんの捻じれ絡まった蛙の卵塊みたいなものではないでしょうか)
I think frogspawn has a lot of eyes watching me and they are also my eyes
watching myself.
(たくさんの卵塊はわたしを監視する眼です。たくさんの眼はわたし自身をも監視する自分の眼です)
教会の幼稚園の床にひざまづいて
わたしは毎朝毎昼毎夕祈りました胸で十字を切りました
「天にましますわれらの父よみなのとうとまれんことを
みくにのきたらんことを……」
幼稚園に行かない朝は
お仏壇にお線香をあげて拝みました
「きょうも一日お守りください」
I think the universe is filled of frogspawn, twisted, entangled.
(宇宙はたくさんの捻じれ絡まった蛙の卵塊みたいなものではないでしょうか)
I think frogspawn has a lot of eyes watching me and they are also my eyes
watching myself.
(たくさんの卵塊はわたしを監視する眼です。たくさんの眼はわたし自身をも監視する自分の眼です)
マーク先生
あなたはたくさんの眼に気づいているはず
(I’m sure you notice them.)
綺麗は汚い、汚いは綺麗、そんな眼です
(Those eyes are such that fair is foul and foul is fair)
今このニューヨークには
わたしを見るたくさんの眼はどこにもない
I never feel a lot of eyes watching me here.
(わたしを監視する眼をここには感じませんが)
YES, I’M FREE! (わたしは自由なのだ!)
Oh My God! Frog’s fallopian tubes are Chinese dessert ingredients!
(なぁんだ!それはチュウゴクのデザートの食材だよ!)
教室中にどっと笑いが起こった
チュウゴク人もフランス人もカンコク人もイタリア人もニホン人も
みんな笑った
教室が渦になった
Let’s go to China town tomorrow!
(明日はチャイナタウンに行こう)
frog’s fallopian tubesを食べるのだ
チャイナタウンで
わたしの中のたくさんの眼も
いっしょに
食べてしまうのだ
※文中Fair is foul and foul is fair(綺麗は汚い、汚いは綺麗)はシェイクスピアの「マクベス」より引用
耕君ハス好きですか?
好きですお。
耕君は前世でハスの好きなお坊さんだったのね。一生懸命に説教しても誰も聞いてくれなかったのね。
分かりませんお。
お気に入りってなに?
耕君のお気に入りってなに?
ハスですよ。
お母さん、骨髄線維症てなに?
さあ、ガンかなあ。分かりません。
佐々木正美先生、骨髄線維症で亡くなったよ。
お母さん、チョウチョ殺さないようにしますよ。
え、耕君チョウチョ殺したの?
むかし。
どうやって殺したの?えいや、って殺したの?
もう殺しませんよ。
あした何時にカズエちゃん来ますか?
午前中早くに来ると思いますよ。
いいですお。
正美先生、2,3日に死んだの?
2,3日? なに? 2,3日前に、ってこと?
そうだお。
「こころ」のゆうさくさん、死んじゃったの?
死んじゃったね。
死ぬとお葬式だよねえ。
そうねえ。
お父さん、知ってるの英語は?
アイノウだよ。
知ってる、知ってる。
太田胃酸お腹の薬でしょ?
お腹じゃないよ、胃だよ。耕君、胃はどこにありますか?
分かりませんお。分かりませんお。
お父さん、連佛さんの番組、録画した?
しましたよ。だから耕君、安心してお仕事してね。
分かりました、分かりました。
お父さん、ぼくの携帯、なくなりました。
エッ、どこかに落としたの?
分かりませんお。分かりませんお。
お母さん、あいまいってなに?
すっきりしないことよ。
お母さん、非常時てなに?
大変なときよ。
お母さん「こころ」BSに帰ってきましたよ。BSで再放送だよ。
そうね。再放送してるね。