michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

津軽

 

工藤冬里

 
 

2週間の檻を待ち望む
その間に殺される
フェンネルを植える
祈れないことさえ知られてしまった
一瞬で喜びを奪われる
朝忘れている間だけ
咳で破られる
それから
青森ACACに行ったのはそれからだった
波打つ行線のデザインや丸ゴシックが伝えようとする身振りは
放棄と冒険のオデッセイア(グリークヨーグルトの腐敗した記憶)であり意味ではなかった
親がないので自分で名前を付けた
伝えようとするのは名前の意味であった
原付でリンゴ畑を周った
自分が賢いとは思わないというのは大切だ
水屋にリンゴがあり
逆流する用水路の警めがあった
強制され、逆さになってソファからずり落ちている
もう半袖の大人の季節だな
逆戻りも成長である
青森は思ったより白い
道路脇の斜面に続く紫の花々はショウジョウバカマというらしかった
(じょんがらは寒いから早弾きになったそうだ)
(中嶋 幸治さんのリンゴとツバメの墓の作品は良かった)
それから
松山に戻ってきて雨粒が腕に当たったのはそれからだった
酸ヶ湯で鏡を見たら石膏デッサンのラオコーンみたいに寸胴になってた(腹筋はないけど)
どうせやめるんだからもう止めた方がいい
そう思った
あと、詩は時系列じゃないといけないのか?
そうだよ
あと、詩のために電気風呂を犠牲にしてもいいのか?
そうだよ
そう思った
いやそうでもないか
そう思った

 

 

#poetry #rock musician

その町は

 

工藤冬里

 
 

その町は
青シャツで警備する
建物の周囲を一通り周ると
中に消える

与えられないし
受けてはいけない
鬱金に染まった石油由来の

思ってもみなかった嬉しい経験

毀れたロボットは枇杷色をしており
青梅はもう無かった
2種類あるcosmosの
敵対する方を工場としたので
蛍は消えた
太陽は闇に月は血に
雨は真っ直ぐ振り下ろされ
無数のバットが地を打ち叩いた
いつまでもジュラ紀の泰山木と
枇杷色ロボットは
透明なスライドショーによってラファに到達している
この黄色い手帳には
不作だった梅のみどりい記憶が書かれている

そして
雨が止むこと
空に手書き文字
泣き喚く危機

 

 

#poetry #rock musician

あたたかい海 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 77     kiko さんへ

さとう三千魚

 
 

道端に

咲いてた


咲いていた

可愛いね
青い花だね

海は
空を映して

青いよ


きみを映す花だね

 
 

***memo.

2024年5月25日(土)、
静岡一箱古本市の日に水曜文庫での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第二十五回で作った77個めの詩です。

タイトル ”あたたかい海”
好きな花 ”すみれ(紫色の)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

わたし ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 76     akiko さんへ

さとう三千魚

 
 

派手かしら
わたし

ガーベラが好き

ピンクや
イエローや

オレンジ色の
ガーベラがある

わたしは真紅のガーベラが好き

わたしはわたし
わたしガーベラ

 
 

***memo.

2024年5月25日(土)、
静岡一箱古本市の日に水曜文庫での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第二十五回で作った76個めの詩です。

タイトル ”わたし”
好きな花 ”ガーベラ(真紅の)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life