本が
積み重なって
いる
机の上にもベットの傍にも
重なっている
壁には
たくさん絵が掛けてある
山田さんから
頂いた絵
桑原くんや千尋さんや
千代さんの絵
広瀬さんや
兼人さんや三俣元さんの写真
だれもいない
なにもない部屋にいる
本が
積み重なって
いる
机の上にもベットの傍にも
重なっている
壁には
たくさん絵が掛けてある
山田さんから
頂いた絵
桑原くんや千尋さんや
千代さんの絵
広瀬さんや
兼人さんや三俣元さんの写真
だれもいない
なにもない部屋にいる
雨の季節には
水を張った田圃に苗を植えていた
若い母の頬が
晴れた日には汗をかいた
庭には白い野バラの花が
咲いていて
祖母が窓から庭を見ていた
ヒトは
花のまえで佇ち尽くす
何も持たずに祖母は逝ったろう
わたしは八代にいたのだった
荒井くんが
64抗議のパフォーマンスをした
我
陳光 李文 朋友
友の名前を胸に刻んだTシャツを着て
荒井くんは警官のいる場所で中指を起てた
中国大使館
自由民主党本部 国会議事堂 皇居 靖国神社
警官が守るべきものは国家だ
国家は見えない
萩原健次郎
は、ね、
ねっ
それは、虫の
それとも鳥の
人の根に響く、蒼空の
雲の根、骨、ね、
迂回して、濃緑の木の根の道を歩いていくと陽は
斜めからさして、匕首になり、陽の匕首は、時刻
によっては、鋭利に光り、錆びて病んだ鈍い面を
見せたり、陰が、その尖りを消したり、それはも
うまたたく刹那で、明滅している。
はようみいひんかったら
光の三角も、滅んでしまう。
数をかぞえる、猫の声
魚の声
草の声
ぴちゃぴちゃにゃあにゃあ、ふうふうと
ね、
恋去り
小唄かよと
ひるがえっている
きれいな舞いすがたに
ね、
からむ脚が、
きゅっきゅっ言う。
白昼を服す飲料に混ぜた羽の音の粉々にあたりの
松もその下の薊も被せられて息できなくなってう
ろつく犬ころも猫撫声もふわふわしている種子も
骨肉のすべてが粉末になって枠どりされるそれも
真実の世と記されているから一旦はああ本当だと
驚いてみるがただ匕首で切り刻まれたただの世の
切れ端にすぎず生きた証と言ったら犠牲になった
犬にも薊にも笑われる
わたしにも
根が焼けると
思うことがあって
すこし冷やしてから
きょうは帰ろうと
思う頭が
は、ね、
根は焼けずに
夕照と音羽の真水に溶かされて
麦の筒で吸われる。
世、根、
吸われて、
どこかの胃にいるのは。
休日には
窓から西の山をみていた
海辺で
波の光るのをみた
雲のなかで
太陽がひかっていた
突堤が
波に洗われていた
友情がゲマインシャフトだと
鶴見俊輔は言っていた
そんな共同体がどこにあるのか
荒井くんには
忘れられない記憶がある
レノンは
邪魔する
レノンは想像を邪魔する
あまり意味のないことを
想像していた
ほとんど意味のないことを考えていた
レノンは
邪魔だ
ジョン・ライドンと
ロバート・スミスとモリッシーを聴いていた
あまり意味が無いな
ほとんど意味が無い
あまいよ
肉さ
肉はあまいさ
脂がのって
いてさ
だれかが殺したわけで
それがスーパーにならんで
いるわけ
肉はあまいよ
あまいさ
みんな喰ってるさ
ヒトなのかい
ヒトじゃないさ
黒いのが黒豚
白いのが白豚
ヒトじゃないさ
天皇が殺したわけじゃないさ
天皇はさ
天皇は豚じゃない
みんな喰ってるさ
みんな喰ってるさ
今朝
電車のなかで
たくさんのヒトの
後姿をみた
たくさんの頭とうなじと背中と
腕と
突進していった
電車は
正面から見つめ合うことは
しなかった
命令されて
号令に従って
引鉄をひいた
ボタンをおした
突進していった
いつだったか
平川典俊の展覧会で
光るアスファルトの写真をみた
ひくい場所で
光っていた
たぶん早朝の路上で
女の子に小水をさせて
それを平川くんは写真に撮った
女のコたちからは
嫌われるだろうな
汚らわしいもののむこうに
ひかるものはある
映画では平原がひろがっていた
水に身を投げて死んだ父の
書斎には本が並んでいた
父は本と煙草と
ウィスキーを手放さなかった
父はインディアンの家政婦にエリオットの
詩集を渡した
オクラホマの平原はどこまでも
ひろがっていた
いま新幹線は熱海を通過しました