core・核心 芯

 

Michio Sato

 
 

why
Am i sad

do not know

Satie’s
Elegy

listen

Many times
listen

You’re dead

Nothing left
To me

Coral tree’s flowers are blooming in the seaside park

Swaying in the wind

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

corona will tear us apart again

 

工藤冬里

 
 

ハーモロディクスによってそれぞれの五線譜に従った全音
或いは半音ずれた平行移動は食料不足によるものではない
食糧はエジプトのネズミ返しの倉庫に余っている
犠牲にしたのはルート音である
食器と布巾を別にし喜びを平行移動の隔たりへ分断する
歌唱を刻々と構成する厳密な数値展開はいかにも大切である
外側の二つの抓みを五秒かけて左右逆に戻す認トレ
梅雨空の裏側は炎天である
未納めた筈の最後の平家蛍が二つ
寒くはないけど死にたい
zoomのユニゾンの不可避のタイムラグは後期ルネサンスに始まったチェンバーミュージックが私たちから永久に分断されたことを示す
それぞれ自分の録画ボタンを押し自分を蔵に入れる
新しいコマンドメントがジグザグの線の平行移動に分割される
ライブは二度と行えない
台所のマリンバが蛞蝓返しになっているので食器はそこで乾かす
食器は
別々に置く
 

動かなくなる独楽に力をねじ込むのは至難の技で
太陽自身にもどうにもなりませんでした
自分のアルシーヴのための時間を捨てないと
回してもらえません
でも捨てるものがはっきりしてないと捨てられませんよね
それが命だと気付いて
死ぬまでに命を捨てないといけません
そうしないと回りません

私たちは予想することができなかったので死にます
私たちはこの飢饉を予想することができなかったのでこのままでは肥満で餓死します
種籾も食べてしまったのでもう個人情報と自分の体しか売るものがありません
全て売り物にして奴隷になりますから
命に破産法を適用してください
事業にではなく命に持続化給付金をください
エジプトの奴隷にはなりたくないので
貨幣にその額をチャージしてください
貨幣の概念そのものに持続化給付金を振り込んでください
この国家が大きな顔をするからです
恥知らずな国家が増長します
キャンディをくれたのはタヴァーリシチ(同志)スターリンと言わせたように

 

 

 

#poetry #rock musician

harsh・過酷な (手触りなどが)不快な

 

Michio Sato

 
 

Midnight

Rain
Hitting the window glass

Window glass
Rain drops

There is darkness
I can’t see outside the window

Wind shakes the window frame

I was just looking for texture

The feel of the world
I feel you

this morning
Cloth mask reached the post

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

体の梅雨

 

工藤冬里

 
 

ハイバーネットは地下鉄ノーザンラインの終点である
バーネット村は二軒に一軒がパブだった
とオリバーツイストにあった
ような気がする
多くのパブには未だにクラス別に二つの入り口がある
僕は両階級以下らしく
通っていたカレッジの
ハイロードを隔てたYe Old Mitre Inneという
ディケンズよりさらに二世紀は古いパブのカウンターで
よくいるエイミーワインハウス(実際近くに住んでいた)みたいな子の
あなたは入ることは出来ない
という聞き取れない労働者階級訛りの早口を
無視してまた注文すると
no way
と言われた
陶芸科の先生に話すと怒って
信じられない今から一緒に行こうと言いだすが
そういうカウンターの熱量も
バランスが良すぎて怖い
ニック・ドレイクにノーザンラインという歌詞があった
のでしばらく住んだのだったが(俺は町の寄生虫という曲)
車から水鉄砲で水をかけられた時は酔っ払っていたので笑ってしまった
一緒に歩いていた人(人種と階級忘れた)に
よく怒らないねと呆れられたが
ニューヨークで銃で脅されるほうが確かに
分かりやすいし生きてるって感じがするよね
と応えたのは覚えている
思い出すことは奮い起こさせることである
知っていることを校長先生が繰り返すのはそのためだ
教え諭すとは思い出させることと同義で
忘れるから繰り返さなければならない
取り乱さないためにも思い出させる必要がある
世界の情況は二週間単位で劇的に推移しているから
以前のreminderがいまやっと時宜に適うものになっているということもよくある
詩の万古不易にも今は体の梅雨を通さねばならないのだ
そのreminderを自分と同期させる必要がある
ヒゲの未亡人みたいに自分と結婚してはいけないが
自分で自分に思い出させる必要がある
鶴橋でヘイトスピーチをする中学生みたいな追い込まれ方をしているエイミーワインハウス似の女の子
扇形の狭い勾配の棚田を世界とするデジタル・ハードコアの少年たち
罪の中で遠くへ航行する寄生虫がノーザンラインの階段を下りていく(Nick Drake “Parasite”)
アルシーブは記録ではなく諭しなのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

六月的俳 九首

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 


所有的音節
在你名字的季節
我駐足不前


回聲,再一次
等奧登詩中的鹿
靜靜地入雲……


零碎的殘骸
關於未來的懷念
如指骨一般


輕微的痛楚
昏暗的光陰動刀
折斷了寂寥


一再地潦草
詩爲你心跡賦格
擦傷了薑花


猶豫的樂譜
莫扎特降E大調
麋鹿,我的心


餘下的緘默
在深處風暴深處
最暗涌,不期。


萋萋失芳草
第二個天空,忽焉!
忽焉萬千劫。


堅硬的淚水
……這些日後的硝煙
敲打著金鐘!

.

 

・翻訳はこちらで
https://www.deepl.com/translator

 

 

 

drift・漂流 吹き溜まり

 

Michio Sato

 
 

Morning
The woman went out

today

Almost
In the house

The flower of Nandin by the window have begun to bloom

Lots of white small flowers
Has begun to bloom

It bloomed in the foliage

When i was young

I have read the novel “The Old Man and the Sea”

A cat was walking
in front of the fallen old man

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

social distance

 

工藤冬里

 
 

遠く離れた人もいるけど
自分の体の足と目の痛点はそれよりもっと離れている
だから距離は問題ではない
行替えの段差のみが隔たりを形作る
covid-19 sentenceの行替えには二メートル必要だ
行替え療法はアマビエなんかよりも効く
ではやってみよう
刑は一行に対して一センチ、一行に対して一センチとする
ここで本当に赤塚不二夫とか筒井康隆みたいに二百行空けてもいいが
世の中は田植えである
朝五時に池の水門を開いて放流するので今日を逃したら水を確保できない
詩の実験などやっている暇はない
それより
放流によって流された亀が必ず道を歩いているから
彼らを池に戻さねばならない
大家は家賃よりそのことを気にしているのだ
蛍には昨日さよならした
田植えが始まれば居なくなるのだ
すっからかんワインを持ってきてくれたカメラ君と海野君とサキちゃんと橋の上から見た
今はそういう季節なのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

戦車に攀じ登る

 

佐々木 眞

 
 

西暦1989年6月5日の正午、
君は、天安門広場に通じる大通りの傍にいた。
 

近所の北京中央病院4階のガン病棟で入院している、ステージ4の妹の見舞いにやってきた君は、天安門広場に通じる大通りを驀進する59式戦車の隊列をみた。
 

昨夜から今朝まで、天安門広場で虐殺された無数の学友と共にいた君には、
この戦車隊が、いったい何をするためにここまでやってきたのか、よく分かっていた。
 

その次の瞬間、君は鼻緒のちびた下駄をその場に脱ぎ捨て、歩道のガードレールを跨いで長安大通りの中央に進み出た。
 

そしてグララアガアと騒音をまき散らしながら走行する戦車の先頭に立ち、両手をパッと広げた。右手には上着、左手にはビニール袋をぶら下げて。
 

使い古した袋の中には、さっき北京飯店で買った、彼女の好物のシウマイ弁当とお茶が入っている。
 

戦車を操縦しているのは、君よりかなり若い兵士だった。
兵士の後ろには中年の指揮官がいて、若者に「なぜ止まるのだ。直進せよ」と命じた。
 

若者はしばらくためらっていたが、黙って戦車を右に曲げたので、君は右に移動して、大きく両手を広げた。
 

すると戦車はまた止まり、今度は左に曲がったので、君も同じように左に移動して、通せん坊をした。
 

指揮官は自分の命令を素直に実行しない部下に怒り狂っているが、どうやら若い兵士は君をひき殺すつもりはないらしい。
 

君は、恐らく田舎から上京してきたばかりの朴訥な若者の両目をしっかり見据えながら、大きな声で「ニイハオ」と言う。
 

すると若者も、唇だけで「ニイハオ」と言った。
 

そこで力を得た君は、戦車の上に軽々と攀じ登り、「昨夜のような同胞が血を血で洗う悲劇を繰り返してはいけない。諸君は、このまま元来た道を引き返し給え」
と懸命に説く。
 

しかし、軍隊がそう簡単に「分かりました」と、引き返すわけがない。
戦車はまた左に移動すると、彼も左に、右に移ると、また右に。
また左に移動すると、彼も左に、右に移ると、また右に。
傍から見ると、お互いにふざけて遊んでいるような不思議な動作が、何回繰り返されたことだろう。
 

やがて、そんな繰り返しを強引に断ち切るように、指揮官が戦車の直進を命じたが、若い兵士はまたしても命令に逆らい、大胆に戦車をUターンさせると、後続の戦車隊もその動きに従った。
 

長安街道路の彼方に消えた59式戦車隊を見送った君は、歩道に脱ぎ捨てた下駄を履くと、何事もなかったような顔をして、妹が待つ北京中央病院に向かった。
右手には上着、左手にはシウマイ弁当とお茶が入ったビニール袋をぶら下げて。

 
 

反歌~百、千、万のタンクマン

 

枇杷が一つ生れば、一匹のホタルが飛び立つ。
 

一頭の蝶が羽ばたくと、地球の裏で嵐が起こる。
 

一匹のウイルスが逃げ出せば、世界の町が中世になる。
 

全米がジョージ・フロイドを追悼すれば、赤鬼トランプも真っ黒になる。
 

名犬ムクが Wangと吼えれば、ジョージが泣き止む。
 

一人が戦車に攀じ登れば、タンクマンが生まれる。
 

百、千、万のタンクマンが。
 

 

 

 

chaotic・こんとんとした

 

Michio Sato

 
 

today
It was tuesday

Morning
With dog moco

I went to throw away the trash

Hydrangea flowers were
blooming

Hydrangea
There are flowers of various colors

I have a white
hydrangea flower

Moco was sniffing the scent of flowers

 
Morning
I never saw the stars
I saw a flower on the roadside

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

This Is Just to Say

 

工藤冬里

 
 

移動図書館車のドライバーを続けているのは、ジョン・ケージが生涯スクールバスの運転手のバイトをしていて、有名になってからも全く止める気配なく続けていた、という話を聞いていたからなのだが、直接のきっかけは、アダム・ドライバーがバス運転手をしながら詩を書いているというだけの映画を観た後、市報で欠員募集を見つけたからだった。ニュージャージー州パタソンに住むバス運転手パタソン(アダム・ドライバー)の入れ込んでいるのはエリオットと並び称される同郷の詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズである。広く愛誦されているThis Is Just to Sayは、吉本芸人がネタに使っても通じるくらいには知られている。
 

This Is Just to Say

I have eaten
the plums
that were in
the icebox

and which
you were probably
saving
for breakfast

Forgive me
they were delicious
so sweet
and so cold

 
アダム・ドライバーはこういう詩を書きたいと思っている。毎朝バスを発車させる前の数分間に書きつける手帳を詩の場所にしている。けれどもその手帳を飼い犬が噛んで細片にしてしまう。フォースも使えずがっかりするドライバー。犬を連れずに散歩に出るが、そこにウィリアムズを偲んでパタソン観光に来た鮎川ぽい風采の永瀬正敏が現れる。「I breath poetry」と臆面なく言う鮎川ぽい風采の永瀬正敏はアダム・ドライバーに新しい詩のノートをプレゼントする。それだけである。前に三歳年上の平田俊子さんにこの話をしたら、それは若い世代向けのリップ・サービスでしょう、自分はパターソンのようなものには諍っている、と言う。それはたぶん世代的な問題で、フォークの神様がヴェンダースからジャームッシュに移ったジャンボリー会場に居なかったからではないかと思う。恐らくヤング・マーブル・ジャイアンツとかから始まっている自分より少し若い世代に対して持つ感覚と似ているのだ。個人的には、口語自由詩This Is Just to Sayは、森川義信の言う、勾配に根を支えた雑草の陰から広がっているいくつかの道のひとつだったと思っている。詩を書かない詩人が詩を浮き彫りにするのを利用して詩は書かれるのであって、詩は、詩を書く詩人にはそんなに用はないのだ。自宅待機の日々、また映画館で観たいと思うベストワンは、アダム・ドライバーの拗ねて不貞腐れたような頬っぺただった。ミスター・リモートワーク。

 

 

 

#poetry #rock musician