to 〜に 〜へ

深夜バスで北へむかう

北とは
ないふるさとである

一切のカルマを棄却し深夜バスは北へむかう
ないふるさとへむかう

ふるさとの母は語らない
ふるさとの母は観ない

ただ聴いている
ただ聴いている

母はひかりの声をきいている
母はひかりの声をきいている

 

tail 尾 しっぽ

あなたにも
消えたしっぽはありますか

そのしろく
まるいお尻のしたに

消えたしっぽはありますか

小動物だった
ころに

風がすぎるのをみていた

このはが
揺れるのをみていた

こわいとき
脚のあいだにまるまっていた

しっぽを振って
草原をはしった

 

 

month 月 一ヶ月

ひとつきが
過ぎ去ったのだろう

一瞬のように
過ぎ去ったのだろう

一生のように
過ぎ去ったのだろう

過ぎ去らない
ものはないのだろう

すべてが過ぎ去るのだろう

暗やみのなかに
小さな赤い薔薇の花をみてうれしかった

うれしかった一瞬があった

 

はなとゆめ 07

かつて

水色の花をみました

そのヒトの庭に
水色の朝顔の花が咲いていました

でも一日で萎れてしまうのですね

そのヒトはいいました
そのヒトはいいました

わたしには朝顔は遠い母に憶われました

遠い母に

コトバを届けたいとおもいました
無いコトバを届けたいとおもいました

水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました

一度だけ
母を旅行に連れて行ったことがありました

沖縄で死んだ
たくさんの人々の名前のなかに
母の
兄の名が
石に刻まれていました

母はその石の前で崩れてしまいました
母はその沖縄の石の前で泣き崩れてしまいました

でも一日で萎れてしまうのですね
そのヒトはいいました

わたしは一度だけ

水色の朝顔の
無いコトバを届けたいとおもいました