window 窓 窓ガラス

 

夕方
浜辺の車の

窓の

人性の美と品位とに対する内面的な深い感情性、
及び普遍的の根拠としてのこの感情性の上に、その全体の行為を関連づける心情の
持ち方と強さとは、厳粛であり、

窓の
外に

カントの

しろい尻をみた
綺麗だ

儚い

 

 

※イマヌエル・カント「美と崇高との感情性に関する観察」より一部引用しました。

 

 

 

大掃除

 

爽生ハム

 

 

わざとらしく集まって
ぼくらの忘れていた部分など
噛み合っていた
蚊などが するどく飛んでる夏
膨らんだ どんより永い夏の事
近い人間やわ
似てる うんうん
それなりに 嘘つく憑依が
美味しい恥肉
わざとらしく忠実に蚊を掌で挟み
障子をつきやぶり逃がす
蚊も殺したりしない
おおらかな人間ですよ
と 日記にでも書いといてくれ
お婆の冷や汁に また白毛が
混じっとる
美味しいきゅうりの食感が
口の中に貼りつく
お婆の孫たちは きゅうりを障子に
貼りつけて
ぺたぺた 遊びだす
成人した人間は白毛で喉が
詰まっとる
苦しそうに窒息や
けらけら わらって腹抱え
腹を通して繋がっとぉ
美味しいって幸せや
苦しいって幸せや
この家は大きいな 年々膨らむ
蚊に負けるんちゃうか
住み心地で人間は勝てへんよな
あなたの事は 忘れるかもしれへん

殺伐とした軒先

手紙が 会えない人間から届く
遠い場所から商業的な手紙や

開封

山の反対側にAEONが
路地裏にAEONが
可愛い都市の笑顔は
お婆の生活をひろげる

奥の部屋

お婆のひげに砂糖がついている
舐めて その後は
なんにもできない
こしらえた白線に 内緒で
シロナガスクジラ引っ張ってきた
部屋も障子もなぎたおして
自由に飼い馴らすペットやで
喰われて眠る 最後の安眠を
なにか他の生物の粘膜で
泣きながら 涙なんかにしない
餌になって喰われた場所が暗闇
静かに 結いしい哀しみ

洞窟

穴を塞ぐぼくらの粘膜は
障子に住むようになった

野苺

慈母は森のなかにおり
時間の端にいる
あの頃の目線では もう立てない
この落差に本格的な盲目の出現を

 

 

 

make 作る

 

どうだろう

つくる
のかな

どうだろう
どうかな

モコは今朝早く
吠えた

おしっこに
行きたかったんだ

窓を開けてやると
玉砂利のうえでにしゃがんだ

それから
モコと海を見にいった

むこうから
やってくるのを待ってる

そういう感じ
作るのではなく

 

 

 

moment 瞬間

 

浅草橋で
荒井くんと

飲んだ

昨日は
荒井くんの

誕生日だったのだろう

荒井くんは
母を見舞って

富山から帰ってきた

蛍烏賊の
沖漬けをくれた

それから
深夜に

薬師丸ひろ子を聴いた

すきよ でもね たぶん
きっと

そう歌っていた

 

 

 

幸福な時間

 

みわ はるか

 
 

給食をかきこむように口に運んで、時計を気にしながらいそいでトレイを片づけた水曜日の午後。
一番に到着したと思った図書室にはもう大勢の下級生の姿が。
いつもは均等に配置されている4人掛けの机は隅においやられ、椅子だけが同じ方向をむくように列をなしてきれいに並べられている。
その先にはちょっとしたカウンターがあり、みんなを少しだけ上からみおろせるようになっている。
これから始まる有志の保護者による「お話玉手箱」、本の読み聞かせの会をみんな心待ちにしている。
小学校6学年のほとんどが集うこの時間、図書室は満杯になる。

図書委員長のわたしははじめに簡単なあいさつをすませ、いつものポジション、一番後ろの壁にもたれかかる。
すぐ後ろの窓からはさわやかな風が舞い込んでくる。
不思議なのは普段そんなに図書室で見かけないような顔がたくさんあること。
毎週この時間だけは広い運動場がいつもより寂しく見える。
みんなが同じ方向を食い入るように見ている。
少しも聞き逃さないようにと耳を傾けている。
そんなみんなの頭を後ろから眺める自分。
感じることは違っても、同じ時間、同じ場所、同じものを共有する。
こんな時間が大好きだった。

トイレの中にも本をもちこんで長い間籠ることがあった。
一度読み始めると食事や睡眠の時間でさえも惜しいと感じた。
卒業文集の友達への一言の欄には「もっと外で遊んだほうがいい。」と書かれたのはいい思い出だ。
そのせいかどうかはもう覚えていないが中学生時代テニス部に所属している。
図書室にある本は全部読んでやると本気で思っていた。
自分の好きな作家の新刊が出続ける限り生きていく。
大袈裟かもしれないけれどそう心から強く誓ったのもあのときだ。
小説、エッセイ、詩、伝記、専門書・・・・・あらゆる分野の本に目を通した。
田舎の小さな町で育ったわたしにとって、色々な世界を見せてくれる図書室はまるで宝石箱のようだった。

成長して、ふと母校に立ち寄ることがある。
自然と足がむくのは決まって図書室だ。
そこには配置こそ変わっているが、ところせましと本がぎっしり並べられている。
少し黄ばんだページを見つけるとなぜだか妙に懐かしい気分になった。
あのとき読んだ本を、あのときの自分と同じくらいの年の子が手にとっていると思うと無性にうれしかった。
残念なのは当時あった「お話玉手箱」の時間がなくなってしまったこと。
いつか復活することを願っている。

雲ひとつない青空が広がるとある日。
こんな日でも無意識に本に手がのびる。
「こらっ、たまには外で体でも動かさないと!」
旧友の声がどこかから聞こえたきがした。

 

 

 

幸福な時間

 

みわ はるか

 

 

給食をかきこむように口に運んで、時計を気にしながらいそいでトレイを片づけた水曜日の午後。
一番に到着したと思った図書室にはもう大勢の下級生の姿が。
いつもは均等に配置されている4人掛けの机は隅においやられ、椅子だけが同じ方向をむくように列をなしてきれいに並べられている。
その先にはちょっとしたカウンターがあり、みんなを少しだけ上からみおろせるようになっている。
これから始まる有志の保護者による「お話玉手箱」、本の読み聞かせの会をみんな心待ちにしている。
小学校6学年のほとんどが集うこの時間、図書室は満杯になる。

図書委員長のわたしははじめに 簡単なあいさつをすませ、いつものポジション、一番後ろの壁にもたれかかる。
すぐ後ろの窓からはさわやかな風が舞い込んでくる。
不思議なのは普段そんなに図書室で見かけないような顔がたくさんあること。
毎週この時間だけは広い運動場がいつもより寂しく見える。
みんなが同じ方向を食い入るように見ている。
少しも聞き逃さないようにと耳を傾けている。
そんなみんなの頭を後ろから眺める自分。
感じることは違っても、同じ時間、同じ場所、同じものを共有する。
こんな時間が大好きだった。

トイレの中にも本をもちこんで長い間籠ることがあった。
一度読み始めると食事や睡眠の時間でさえも惜しいと感じた 。
卒業文集の友達への一言の欄には「もっと外で遊んだほうがいい。」と書かれたのはいい思い出だ。
そのせいかどうかはもう覚えていないが中学生時代テニス部に所属している。
図書室にある本は全部読んでやると本気で思っていた。
自分の好きな作家の新刊が出続ける限り生きていく。
大袈裟かもしれないけれどそう心から強く誓ったのもあのときだ。
小説、エッセイ、詩、伝記、専門書・・・・・あらゆる分野の本に目を通した。
田舎の小さな町で育ったわたしにとって、色々な世界を見せてくれる図書室はまるで宝石箱のようだった。

成長して、ふと母校に立ち寄ることがある。
自然と足がむくのは決まって図書室だ。
そこには配置こそ変わっているが、ところせましと本がぎっしり並べられている。
少し黄ばんだページを見つけるとなぜだか妙に懐かしい気分になった。
あのとき読んだ本を、あのときの自分と同じくらいの年の子が手にとっていると思うと無性にうれしかった。
残念なのは当時あった「お話玉手箱」の時間がなくなってしまったこと。
いつか復活することを願っている。

雲ひとつない青空が広がるとある日。
こんな日でも無意識に本に手がのびる。
「こらっ、たまには外で体でも動かさないと!」
旧友の声がどこかから聞こえたきがした。

 

 

 

一族再会  ~短歌詩の試み

 

佐々木 眞

 

 

もうええわ、わたしおとうちゃんとこいきたいわというて母身罷りき 蝶人

 

 

祖父、小太郎は、「主イエスよ」といいながら琵琶湖ホテルで亡くなった。

祖母、静子は、急を知らせるベルを押しながら亡くなった。

父、精三郎は、お向かいの堤さんに頼まれた反物を運びながら、駅前の病院で亡くなった。

母、愛子は、寒い冬の夜、自宅で風呂上りに櫛梳りながら亡くなった。

愛犬ムクは、自分を山で拾ってくれた私の次男に、「WANG!」と叫んで亡くなった。

さて恐らく、次は私の番だ。

私は、どんな風にして死んでいくのだろう?

それを思えば、そら恐ろしい。ほんまに恐ろしい。

私は最後の審判にかけられたら、いったいどんなところへ行くんだろう?

人殺しこそやってないけど、人さまには口が裂けても言えないこともやってきた私。

天国になんか、到底行けそうにない。

絶対に行けそうにない。

では地獄か? 地獄に落とされるのか?

地獄の沸騰した釜の中で、生きたままグツグツ煮られて、閻魔さんだか大天使ミカエルだかに、ヤットコで、えいやっと舌を引っこ抜かれるのか?

それを思えば、そら恐ろしい。ほんまに恐ろしい。

ほんまに恐ろしいが、ちょいと面白くもある。

ワクワクするところもある。

あっちへ行ったら、お母ちゃんやお父ちゃんやおじいちゃんやおばあちゃんやムクに、ほんまに会えるんやろうか?

先に亡くなったお母ちゃんは、またお父ちゃんと一緒に下駄の鼻緒をすげているんやろうか?

おじいちゃんやおばあちゃんは、中庭の奥の八畳の間で、「十年連用日記」をつけたり、裁縫をしたりしているんやろうか?

ムクはムクゲの根方で、朝寝して宵寝するまで昼寝して、時々起きてWANGWANG吠えているんやろうか?

そこへ私が「ただ今」なんて、もにょもにょ言いながら姿を現すと、
みんなびっくりしたような顔をして、
「なんや、まこちゃんやないか。よう戻ったなあ!」
と、口々に声を上げるんやろうか?

ムクはWANGWANG鳴きながら、私に飛びついてくるんやろか?

そうだと、いいな。

そうだと、いいな。

ああ、ほんまにそうなら、ええな。

 

 

 

光の疵  ふたつの川

 

芦田みゆき

 

 

あたしは橋のうえに立っている。
光が欲しくて、
光が欲しくて、光を欲して、
皮フに切れ目を入れる。
眼前の川から、
色分けされていない
大量の光線がなだれこむ。
その時、
皮フの裏側で
川が開始する。
頭部から爪先へ、
ゆるゆると、
あたたかな川は流れて…

 

R0007091-1

 

R0003276-2

 

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FH040023-5

 

FH020019-6

 

R0008156-7

 

 

 

 

yard 庭 中庭

 

今朝は
ぼんやりと日射しが

降っていた

西の山も
霞んでいた

そのヒトの庭にも
日射しは

届いているだろう

もう
君子蘭も

小手毬の花の色も

濁って
しまった

花も
いつか

腐って
落ちるだろう

日を
浴びて

いつか
中庭の地面に落ちる