それならいっそ足を食っちまいなって

 

鈴木志郎康

 
 

それならいっそ
右足を切って食っちまったらどうかね。
ウッワハッハ、ワハハ
またひとり、
成功したら論文に書かせてもらうよ。
ウッワハッハ、ワハハ。
なんという医者どもだ。
蛸じゃあるまいし、
そう思っても、
患者の俺っちはひたすら拝聴。
脳内は蛸足配線、
こん畜生ッ。
ハッと目が覚めた。

真夜中の二時、
二本杖でよろよろと
ベッドから
立ち上がって、
トイレに行く。

四時過ぎに目覚めて、
よろよろと
テーブルの椅子に座って、
明るくなって行く、
庭の
アジサイの花たちを見る。
思いを、
抑えよ。

 

 

 

bank 銀行

 

仕事で遅くなり
昨夜は

蒲田まで京浜東北できて
行列にならんだ

タクシーで
新丸子まで帰った

多摩川の
土手の傍を走り

橋を
渡った

車は橋を渡った
鉄の欄干がならんでた

世の中は
マイナス金利で

お金が溢れているそうだ

夢のようだ
ほんとなのか