広瀬 勉

1484 : 200911 12:45 東京・杉並 阿佐谷南
#photograph #photographer #concrete block wall
詩を書かなかった
クルマで
小坂の
市民農園に行き
農園をみて
満観峰の登山口まで行き
すこし山道を歩いた
それから
マリーナ横で
釣り人たちを見ていた
風は止んでいて
青い水の中を小魚の群れが泳いでいた
こはだの群れなのだという
爺さんと来た男の子がサビキでこはだを釣った
うれしそうだった
その一瞬が
詩に思えてくる
その一瞬をことばで生きたい
帰って
伊豆のbookendに送る本を選んでいた *
自分の本と
読み終えた本と
積んであった本を
ダンボール箱に入れた
こんなに本はたくさんあるのに
いつか手渡すことができるだろうか
胸に沈んだ声を
じぶんと
あの人たちに
いつか
手渡すことができるだろうか
* bookendとは伊豆稲取にオープンしたお茶と本のフリースペースです。
#poetry #no poetry,no life
目が白い穴のようにひかり
ふたつのメダルは皿のように海を分け
いないこどもをいたわることさえしたのだ
ああなんでとうめいな黒い羽根がないんだろう
ガザの美容室で
味蕾は十万種を夢見る
うまくいかない時ほど
しわあせになってほしいと思われているのだ、と••
透明度を自分で選び
画面上を滑る指先で
AI動物動画のような未来が稚拙に描かれ
物も時間も作られた捩れだと逆に知れる
ヘロインがライフでワイフなのと同じだ
脂肪肝を切り分けるナイフ
敵(カタキ)で同志のペイン
敵(カタキ)で同志のワイン
ラジカルミキの敵(カタキ)で同志
敵(カタキ)で同志の
いつだって、最後まで
#poetry #rock musician
僕はさびしいって
んっんっんっ
ぼくは寂しいって
んっんっ
繰り返す人
高田馬場で降りるまで
繰り返し繰り返し
僕はさびしいって
外回りして内回り
外と内を逆に
乗せてみる
(変わんねえな)
ラーメン屋の旗が色を失って
はためいてはためいて
訴えるでも
言い表すでもなく
いろんな人の前で
ぼくは寂しいって
んっんっ
まぁそういうことだよ
ささくれ顔で流す
まとも坂を下ると
虚ろ音に出くわす
「死んだ方がまし」と言われ
病院に行けよで
鏡、砕けた朝
でした