昨日も書かなかった

 

さとう三千魚

 
 

詩を書かなかった

クルマで
小坂の

市民農園に行き
農園をみて

満観峰の登山口まで行き
すこし山道を歩いた

それから
マリーナ横で

釣り人たちを見ていた

風は止んでいて
青い水の中を小魚の群れが泳いでいた

こはだの群れなのだという
爺さんと来た男の子がサビキでこはだを釣った

うれしそうだった
その一瞬が

詩に思えてくる
その一瞬をことばで生きたい

帰って
伊豆のbookendに送る本を選んでいた *

自分の本と

読み終えた本と
積んであった本を

ダンボール箱に入れた

こんなに本はたくさんあるのに
いつか手渡すことができるだろうか

胸に沈んだ声を
じぶんと

あの人たちに
いつか

手渡すことができるだろうか

 

 

* bookendとは伊豆稲取にオープンしたお茶と本のフリースペースです。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

enemy but comrade, at all times, down to the last

 

工藤冬里

 
 

目が白い穴のようにひかり
ふたつのメダルは皿のように海を分け
いないこどもをいたわることさえしたのだ

ああなんでとうめいな黒い羽根がないんだろう
ガザの美容室で
味蕾は十万種を夢見る

うまくいかない時ほど
しわあせになってほしいと思われているのだ、と••

透明度を自分で選び
画面上を滑る指先で
AI動物動画のような未来が稚拙に描かれ
物も時間も作られた捩れだと逆に知れる
ヘロインがライフでワイフなのと同じだ
脂肪肝を切り分けるナイフ
敵(カタキ)で同志のペイン
敵(カタキ)で同志のワイン
ラジカルミキの敵(カタキ)で同志
敵(カタキ)で同志の
いつだって、最後まで

 

 

 

#poetry #rock musician

僕は寂しい

 

道 ケージ

 

僕はさびしいって
んっんっんっ
ぼくは寂しいって
んっんっ

繰り返す人
高田馬場で降りるまで
繰り返し繰り返し
僕はさびしいって

外回りして内回り
外と内を逆に
乗せてみる
(変わんねえな)

ラーメン屋の旗が色を失って
はためいてはためいて

訴えるでも
言い表すでもなく
いろんな人の前で
ぼくは寂しいって
んっんっ

まぁそういうことだよ
ささくれ顔で流す

まとも坂を下ると
虚ろ音に出くわす

「死んだ方がまし」と言われ
病院に行けよで
鏡、砕けた朝
でした