広瀬 勉

1615 : 201016 14:30 東京・足立 千住仲町
#photograph #photographer #concrete block wall
帰った
西馬音内から
帰ってきた
秋田では
姉と
鳥海山の鉾立まで登った
鉾立から人びとのいる地上を見た
花巻の賢治記念館では
照井良平先生にお会いした
賢治記念館に手帳の複製はなかった
珈琲の後に
羅須地人協会と
賢治の墓を見せていただいた
照井先生にはやわらかい笑顔があった
西馬音内では盆踊りを見た
西馬音内の盆踊りは亡霊の踊りだろう
笠を被り
頭巾を着け
顔を無くし
亡き者の傍らで踊る
幻影だろう
亡き者たちを抱いている
鳥海山も
手帳も
姉も
義兄も
幻影だろう
母も父も兄も祖父母も
沖縄の戦争で死んだ叔父も
幻影だろう
ウクライナもパレスチナも幻影だろう
奥羽本線で
山形に抜けるとき
電車の中から
やわらかなみどりの山々を見ていた
やわらかな懐かしい山たちを見ていた
畑のなかのトタン板の小屋も見た
山形新幹線は地上を走った
月山と羽黒山を遠く見て走った
埼玉では激しい雨のなかを走った
新幹線は激しい雨のなかを走っていった
#poetry #no poetry,no life
首を傾げて
塗り固めた本能を
屡々強く糺される必要があった
一方的な推論の矢が
耳を吐く戦場では矛盾していない
転がした石が戻って来て潰される
食べるのも億劫
Am not I in sport? 悪戯をしてはいけません
仙台育英がモーニングの目玉焼
羽のインスタが駐車場契約を吐く
9月になれば
新しい言語が始まる
食糧難は陣痛のはじまり
飽和状態で推移する暮らしは終わる
地震の規模ではなく苦しみの多寡で判断される
4355年前
売り場に豆腐が並んでいる
切り分けられて服している柔らかさ
紋章は狼のよう
チャラチャラしたバリエーションはあるけれども汚名を晴らすことが中国ショートムービーの王道となっている以上
誰が上帝かという法廷は必ず開かれなければならない
青い嘘としての球
二の腕の弛み
#poetry #rock musician
昨日か
朝
嵐の朝か
雨のなかを河口まで歩いてきた
小川沿いの歩道には
蛞蝓や
蝸牛が
いた
角のような眼をのばしていた
ゆっくり
歩いていた
時折
雨が地上を叩いた
蛞蝓も
蝸牛も
地上に
いた
人もいた
午後に女と
映画「国宝」を観に街に出かけた
女は
よかった
三時間眠らずに観れた
そう言った
満席の映画館は
夏休みのアニメ映画のようだ
エンターテインメントなんだ
面白ければいいのか
我を忘れるほどにか
昨日か
嵐の朝か
いつもの朝にか *
激しい雨に打たれて *
いた
歩いていた
角のような眼をのばして
ゆっくり歩いていった
* ボブ・ディランのアルバムのタイトル”HARD RAIN “と歌のタイトル「One Too Many Morning」を引用しました
#poetry #no poetry,no life