michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

ひとに会いにいく

 

さとう三千魚

 
 

昨日は

伊豆稲取の詩野さん* に
会いに

いってきた

片道134kmをクルマで走った

沼津から
天城峠を越えて

うねうねと山道を走った

詩野さんは稲取の丘の上のガソリンスタンドを改装している
無骨な棟梁さんが壁をぶち抜いて窓を作ったのだという

そこから
海が見えた

” bookend “という人が集える場所を作ろうとしている

ひとは何故つどうのか
ひとは何故生きるのか

ひとは何故死ぬのか

詩野さんの笑顔をみた
少女のようだった

しあわせなんだなと思えた
わたしも

いつか
いなくなるが

会えてよかった

 

* 詩野さんは、子鹿社の社長、詩野さんのことです.
 

 

 

#poetry #no poetry,no life

百条

 

工藤冬里

 
 

私とは私の父祖
忘れた忘れたを繰り返し彳む鷺
質問されても価値を見出せない
父祖だけに
暈けた要点が立ち尽す
辿り着け耳鳴りの水源地に

弁当箱の内側に平がる月
カレンダーには散布の予定が青魚のように沈んで
無関係だった鷺だけでやっていこうとして
百条
夜中には人が居なかったが
今はどの顔も斜光の角度が一致して白く光っている

 

 

 

#poetry #rock musician

自分ファースト:人類ファースト:地球ファースト

 

一条美由紀

 
 


やる気だけはあったの
ショウガは萎びて
キュウリは溶けた
本はオブジェとなり
録画はたまる
引き出しの中にねむってるのはパスポート
やる気だけはあったの

 


スズナリの柿に守られし荒屋の
  まとい遊べる生きすだま

 


大きなロゴを身につけて
曖昧な自尊心を身に纏う
社会で生き抜くために ハッタリも必要
でも見えてくる真理に必要なものは
自分の中で芽吹く素朴な喜びだけ

 

 

 

温泉にはいる

 

さとう三千魚

 
 

クルマで
きた

275km
クルマできた

かつて更埴市といった
千曲にやってきた

根石さんと
蕎麦を食べた

きのこ鍋でビールを飲んだ

福寿の温泉にはいる

二本の脚を伸ばす
首まで湯に浸かる

詩は”結果”なのかなあ

湯舟で
根石さん*はいう

“仮定”でしょ
“結果”だとしたら

酷すぎる
湯舟でわたしいう

根石さんの問いには”仮定”があり”過程”がある

深夜に
根石さんとコンビニまで歩く

根石さんはおむすびを買う
わたしは赤いリンゴを買う

 

* 根石さんは、詩人の根石吉久さんのことです.
 

 

 

#poetry #no poetry,no life

反歌

 

工藤冬里

 
 

河南を与える
ひとつ豫州は松山の
二人に子供はいなかった
今では六ヶ月
匂いさえダメだった
二日酔いから推察するしかない
トランスの子らに約束
譲歩せよ
丁髷の額が白い陶器、鷺の白
夫はminer、アメジストを掘り
より貴重でさえあるものとして出てくる
金属団地の移民に天からパンがシラスの白
自分の国民を憎むようにと教えたベレア人会

調和の取れた色彩
農薬塗れの幸福塗れのな
澱粉主体の完全食のな
紛い物と被った法とな
師匠の汚れのな
布を巻いた水鉄砲におんなじ薬剤
転校したら教科書が替わっていて
特攻を待っていたら別の神の風が吹いて
引換券を飛ばした
岩肌に柔らかい部分があると又聞きした宮司
上からの光で瞼と頬骨が白い
声に合わせて身体を密着させる蜈蚣ニンゲン
調和などしていないが種は一致している
目を覚ませ!何故?
脳の指示に応えていないヒトであり続ける

棒状のがしっとした四角い柱が見える
ロ・ルハマとロ・アミがよさこいを踊っている
達しなかった夢が反歌として現れる
要約できない人生は反歌として経験される

 

 

 

#poetry #rock musician