狩野雅之
アマリリスの花も萎れてしまった
一つ目の花は萎れてしまった
四つ目の花は
まだ
咲いている
萎れた花を
ヒトは買わないだろう
咲いている花も
萎れてしまった花も
アマリリスのピンク色の花だが
萎れてしまった
萎れている
萎れた花をヒトは買わない
日野の駅で
雪の降るのを見てた
ゆらゆら
雪は
降りてきた
ゆらゆら
ゆらゆら
雪は
降りてきました
買わないだろう
ヒトは
雪を買わないだろう
ゆらゆらゆらゆらと降りてきた
アマリリスの花も萎れてしまった
萎れた花も
ヒトは買わないだろう
「どんど晴れ」のねーちゃん、比嘉愛未でしょ。
そうだったね。
お母さん、すまなかったってどういうこと?
ごめんなさい、のことよ。
すまなかった。すまなかった。
お父さん、ハクションは風邪でしょ。
そうだよ。
ねえお母さん、蓮佛さんと中井貴一、両方好きですよ。
そうなの。
耕君、インフルエンザなんだから、食器を片付けないでね。
分かりました。分かりました。
耕君のインフルエンザがお母さんにうつったら、どうなるの?
分かりませんよ。
お母さんも同じ病気になるのよ。
分かりました。分かりました。
小田急に湘南急行あったお。
へえ、どこからどこまで?
新宿から藤沢までだお。
へえ、いまでもあるの?
ないお。
守ってください。
はい、守ってあげますよ。
イナズミさんに「そんなときは話しちゃだめ」っていわれたの。
そうなんだ。
ぼは、ほにてんてん、ポはほに○でしょう?
そうだね。
つけっぱなしは、つけたままのことでしょ?
そうだよ。
黒木メイサ、柳沢さんとかでしょ?
なんだ、ドラマの話か。
お母さん、ぼく二酸化炭素好きなの。
へええ、驚いた。
おたっしゃで、ってなに?
元気でね、のことでしょう。
おたっしゃで、おたっしゃで。
きらめくってなに?
キラキラすることよ。
はいポーズ、ってなに?
いい格好することよ。
薬が効けば、直るでしょ?
はい、早く効きますよ。
お母さん、ぼく「国鉄最終章」好きだよ。
そう、良かったね。
お母さん、アルプスってなに?
高い山のことよ。
ぼく、「アルプス1万尺」好きだお。
(2人で歌う)♪小槍の上でアルペン踊りを踊りましょラララララ
しばし呆然とその場に佇んでいた私が気を取り直して「ね、清水君、で、このスピーカーいくらするの?」と尋ねると、「中古とはいってもまだ比較的新しいですから、ま新品の半額の五万円ですね」という返事が返ってきました。
今だってそうですが、70年代のはじめの五万円は相当な物入りです。
私は3日間悩みに悩んだすえに、この欲しくて欲しくてたまらなかったスピーカーを涙を呑んで諦めたのでした。
あの運命の夜から幾星霜、2017年の1月に入ったある寒い夜、何気なくヤフオクをチエックした私は、なんとあの曰くつきの名器KEF104abが競売に付されているのを見つけたのです。
横浜のリサイクルショップが出品していたそのスピーカーは、もちろん年代物の中古品です。70年代にクラシックファンから好評を博したKEF104abは、しばらくすると製造中止になり、今ではこういう形でしか入手できなくなったのです。
今や棺桶に片足をっ込んでいる後期老齢者の私に、突然あのスピーカーから迸り出る朗々たるチャイコスキーの弦の奔流、そして管弦楽に抗して連打されるティンパニーの猛虎のごとき咆哮が生々しく甦りました。
「よおし、この千載一遇の機会を逃してなるのものか」
私は万難を配して、この幻の逸品をものにするぞ、と決意しました。
しかし気になるのは財布の中身です。
リーマンを止め、フリーライターを止め、大学の教師を辞め、年金生活に入った私が自由にできる金額は、ほんのわずかなものです。
1000円から始まった競合入札が、どこまで高みにせり上がるのか。
私は毎晩ネットでその金額が上がるのを、はらはらどきどきしながら見詰めていました。
ラッキーなことにこの物件は、横浜保土ヶ谷区にあるその会社での「現物手渡し」が条件になっていました。
通例では全国から殺到する競合者と張り合わなければなりませんが、これだと恐らく横浜市内か神奈川県下に在住している人に限られてくるでしょう。
私は車を運転できないので、その会社まで電車で行き、横浜市のタクシー会社に予約して決められた日時に現地で待ち合わせ、トランクの中に2台のスピーカーを入れて自宅のある鎌倉に向かえば、八千円ほどの費用で賄えることが分かりました。
交通費込みで3万円ならなんとかいけるな、と私は踏みました。
そして、いよいよその決戦の夜がやってきました。
ライバルは6人くらいに絞られ、締め切り寸前の値段は、1万7000円と思いのほか低い。これなら楽勝と思い、私はあと締め切りまであと1分の段階で2万2000円を張り込み、「見事落札おめでとう!」の知らせを心待ちにしていたのです。
ところが、ところがです。なんと、なんと落札終了時間が過ぎた後で2万2500円をつけ、最後に笑った奴がいたのです。
2人のライバルがデッドヒートを繰り広げているのを知った出品者が、終了時間を延長して落札価格の引き上げを図ったに違いありません。
ああ、なんということだ!
ヤフオクで煮え湯を飲まされたことは、これまでも何度かありましたが、今月今夜の敗北はじつに手痛い。
かくて幻の銘器KEF104abで、ムラビンスキー&とレニングラードフィルハーモニー管弦楽団の交響曲第5番を半世紀ぶりに耳にして涙にむせぶ奇跡は、うたかたの夢まぼろしと消え去ったのでした。
ご無沙汰しております。すっかり本格的な冬を迎えて、こちらはどかっとした雪が何度か降りました。
ちらちらと降る雪はなんだか可愛らしいですが、山のように降る雪には少し嫌気がさしてしまいます。
わたしの住む町は以前にも何度かお伝えしたかもしれませんがとても田舎で、一面に山や田んぼ、お茶畑が広がっています。そんな中にもいくつかご飯屋さんがあって、わたしの大好きな場所があります。今日は少しだけ紹介したいと思います。
メイン道路から外れたところにあるそのお店は深い緑を基調とした外観で、注意して見ていないと通り越してしまうほど背景に馴染んでいます。決して派手ではなくひっそりとたたずんでます。そこに初めて入ったきっかけは通勤の途中の道にあったからというなんともない理由でした。よく見るとそこの駐車場はお客さんの車でいっぱいでした。恐る恐る扉を開けてみると、天井は高く窓も適度にあり日の光がいい感じでさしこんでいます。木材で作られた4人掛のテーブルと椅子、カウンター、座敷にテーブルがそれぞれいくつかありゆったりと時間を過ごせるつくり。お店の至るところにその季節の植物の写真、地元で採れる野菜やお菓子の陳列、手作りの飾り物。たくさん飾ってあるのに各々の自己主張が強くないせいかほどよいかんじでそこに在るのです。なんとも言えない幸福な気分になれます。
メニューは豊富で定食や飲み物の種類は20を越えています。魚や揚げ物お野菜と好き嫌いが多い人でも必ず欲しいものを食べられます。モーニングもあり1日中楽しめます。始めに何を頼んだかはすっかり忘れてしまいましたがその味に感動したことは今でもはっきりと覚えています。味噌汁はよく出汁がとってあり、小皿の煮物を優しい味で、もちろんメインも素晴らしく美味しい。店内がお客さんでたくさんなのもうなずけます。店員さんは皆黒のエプロンをつけていて若い人から年配の人まで生き生きと働いてみえます。土日だけ顔を見る若い男の子が少し恥ずかしそうにお膳を運ぶ姿は微笑ましい。家族経営なのかな、親族かなと勝手に想像を巡らせています。
すっかり虜になったわたしはここ数年、月に数回仕事帰りに寄るようになりました。メニューはほぼ制覇したのではないかなと思っています。つい先日はお会計の際に「いつもありがとうございます。」と優しい笑顔で声をかけていただき温かい気持ちになりました。こちらこそいつもいい時間を過ごさせてもらって感謝したいくらいなのに。馴染みのお客さんにもそれ以上根掘り葉掘り聞いてこない姿勢にも配慮が感じられます。
社会に出るということ、生きていくということ、いろんな世代の人と関わっていくこと。いいことばかりではなく、不快な気持ちになったり腹立たしく相手を憎んでしまうこともあります。自分が情けなくて情けなくて涙を流す日もあります。そんなどんなときもいつも同じ場所にひっそりとたたずむそのお店に癒されたくてまた足を運びます。そんな場所がみんなにあればいいなと思うのです。
ご無沙汰しております。すっかり本格的な冬を迎えて、こちらはどかっとした雪が何度か降りました。
ちらちらと降る雪はなんだか可愛らしいですが、山のように降る雪には少し嫌気がさしてしまいます。
わたしの住む町は以前にも何度かお伝えしたかもしれませんがとても田舎で、一面に山や田んぼ、お茶畑が広がっています。そんな中にもいくつかご飯屋さんがあって、わたしの大好きな場所があります。今日は少しだけ紹介したいと思います。
メイン道路から外れたところにあるそのお店は深い緑を基調とした外観で、注意して見ていないと通り越してしまうほど背景に馴染んでいます。決して派手ではなくひっそりとたたずんでます。そこに初めて入ったきっかけは通勤の途中の道にあったからというなんともない理由でした。よく見るとそこの駐車場はお客さんの車でいっぱいでした。恐る恐る扉を開けてみると、天井は高く窓も適度にあり日の光がいい感じでさしこんでいます。木材で作られた4人掛のテーブルと椅子、カウンター、座敷にテーブルがそれぞれいくつかありゆったりと時間を過ごせるつくり。お店の至るところにその季節の植物の写真、地元で採れる野菜やお菓子の陳列、手作りの飾り物。たくさん飾ってあるのに各々の自己主張が強く
ないせいかほどよいかんじでそこに在るのです。なんとも言えない幸福な気分になれます。
メニューは豊富で定食や飲み物の種類は20を越えています。魚や揚げ物お野菜と好き嫌いが多い人でも必ず欲しいものを食べられます。モーニングもあり1日中楽しめます。始めに何を頼んだかはすっかり忘れてしまいましたがその味に感動したことは今でもはっきりと覚えています。味噌汁はよく出汁がとってあり、小皿の煮物を優しい味で、もちろんメインも素晴らしく美味しい。店内がお客さんでたくさんなのもうなずけます。店員さんは皆黒のエプロンをつけていて若い人から年配の人まで生き生きと働いてみえます。土日だけ顔を見る若い男の子が少し恥ずかしそうにお膳を運ぶ姿は微笑ましい。家族経営なのかな、親族かなと勝手に想像を巡らせています。
すっかり虜になったわたしはここ数年、月に数回仕事帰りに寄るようになりました。メニューはほぼ制覇したのではないかなと思っています。つい先日はお会計の際に「いつもありがとうございます。」と優しい笑顔で声をかけていただき温かい気持ちになりました。こちらこそいつもいい時間を過ごさせてもらって感謝したいくらいなのに。馴染みのお客さんにもそれ以上根掘り葉掘り聞いてこない姿勢にも配慮が感じられます。
社会に出るということ、生きていくということ、いろんな世代の人と関わっていくこと。いいことばかりではなく、不快な気持ちになったり腹立たしく相手を憎んでしまうこともあります。自分が情けなくて情けなくて涙を流す日もあります。そんなどんなときもいつも同じ場所にひっそりとたたずむそのお店に癒されたくてまた足を運びます。そんな場所がみんなにあればいいなと思うのです。
昨日も
長い電車に乗って帰ってきた
暗い
多摩川を渡った
新丸子の
夜道を帰ってきた
ペルトを聴いてた
佇ちどまる
佇ちどまっていた
いつだったのか
日野の駅で
雪の降るのを見ていた
朝まで
見ていた
雪はゆらゆらと降りてきた
いくつも
今日も
新丸子の
夜道を帰ってきた
老いた姉妹のいるウィンドウのまえで
佇ちどまる
貨幣は
この老女たちを買うことができるのか?
特別な者たちを
貨幣は低い場所に引き摺り落とす
無い言葉を抱け
亡き者たちを抱け
貨幣は亡き者を買うことができない
捨てられました
ごみでした
わたしはごみでした
くびちょんぱ
くびちょんぱ
めじろが
かわづざくらの
はなくびに
黒いくちばしを突き刺し
蜜をすっていきます
かわづざくらは
ちるまえに
はなくびごと
落ちていきます
捨てられます
くびちょんぱ
くびちょんぱ
しぬしぬしぬしぬ
しぬしぬしぬしぬ
わたしは
捨てられました
わたしはごみでした
はなくびは
かれくさのうえで
濃いピンク色のくちを
大きく
あけて
ああああああああ
しぬしぬしぬしぬ
ああああああああ
いいいいいいいい
ししししししししてしてしてして
るるるるるるるる
かわづざくらは
あおそらを見上げます
きょうは
とても
はるめいて
おひさまきらきら
ああああああああ
しぬしぬしぬしぬ
くびちょんぱ
ごみはしぬの
ああああああ
いいいいいい
ししししししてててててててて
るるるるるる
あのひとを
あいしている
きょうは
とても
はるめいて
おひさまきらきら
かれくさの
うえ
に
くびちょんぱ
捨てられました
ごみでした
わたしはごみでした
くびちょんぱ
ごみはしぬの
めじろは
翡翠色の羽根をふくらませて
さぁっと
つぎの木に飛んでいきました
しろい眼の淵を
もっと もっと
しろくしろくし
て
きょうは
とても
はるめいて
おひさまきらきら
あいしている にくたらしい
にくたらしい あいしている
しぬしぬしぬしぬ
しぬしぬしぬしぬ
しぬしねしぬしね
そらを 呪う
そらを 呪わない
ああああああああ
がががががががが
DADADADADADADADA
GAGAGAGAGAGAGAGA
おひさまきらきらきら
“Rejoice and love yourself today” (今のあなたを受け入れて愛してあげて)
“I was born to survive”(生き抜くために生まれてきたのよ)
ががががががががだだだだだだだだ
GAGAGAGAGAGAGAGA
“Be a queen”(女王でいてよ)
“Whether you’re broke or evergreen”(破産してようが富があろうが)
“You’re black, white, beige, chola descent”
(黒人だろうが白人だろうがベージュだろうがメキシコ系の混血だろうが)
わたしごみだろうがおひさまきらきらはなびらきらきら
“You’re Lebanese, you’re Orient”(レバノン人だろうが東洋人だろうが)
“Whether life’s disabilities”(障害があって)
“Left you outcast, bullied or teased”(のけものにされ、いじめられ、からかわれても)
“I was born to survive”(生き抜くために生まれてきたのよ)
ああああああああ
おうおうおうおう
そそそそそそそそ
らららららららら
“No matter gay, straight, or bi”
(ゲイだろうがストレートだろうがバイだろうが関係ない)
“Lesbian, transgendered life”(レズだろうがトランスジェンダーだろうが)
わたしごみだろうがおひさまきらきらはなびらきらきらきら
“I’m on the right track baby”(それが正しい道だよベイビー)
“I was born to survive”(生き抜くために生まれてきたのよ)
DADADADADADADADA
GAGAGAGAGAGAGAGA
はなびらきらきらはなびらきらきら
ああああああああ
おうおうおうおう
そそそそそそそそ
らららららららら
あのひとを
あいしている
そらを
呪わない
空白空白空白空白※英文はすべてLady GAGA “Born This Way”より引用