michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

Turn out the light before you go to bed.
寝る前に明かりを消しなさい。 *

 

さとう三千魚

 
 

in the evening
go home

update on the beach wind

I had a curry made by the woman
And then I fell asleep?

on the sofa

midnight
wake up

I took a shower

Moco is sleeping with the woman

at the desk
I’m calling off

I’ll go near the sleep

Turn out the light before you go to bed *

 

 

夕方に
帰って

浜風を更新した

女の作ったカレーを食べた
それで眠ったのか

ソファーにいた

深夜に
目覚めて

シャワーを浴びた

モコは
女と眠っている

机の前で
エポケーを中止する

眠りの傍にいく

寝る前に明かりを消しなさい *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

すすり泣く曇り空のバラード

 

工藤冬里

 
 

ababbcbC
ababbcbC
ababbcbC
bcbC

暑いが曇っている
夏も終わりだ
事物は震えている
きっと冷房のせいだ
木々の緑は殆ど黒だ
花もなく
道といえば獣道だけだ
曇り空の下ですすり泣く

うす青い峰々が白濁している
病院から見える景色はみな同じだ
車は車道を走る
薬もあの時と一緒だ
死ぬ元気が出るほど元気だ
今は夏だけが往く
夏だけが終わりだ
曇り空の下ですすり泣く

来ないまま死ぬと思っている
のはだめだ
生きているうちに来る
と思っているのもだめだ
いつ来てもいいと思っていなければだめだ
病気も死もなく
トラウマを思い出すこともなくなるのだ
曇り空の下ですすり泣く

いつ来てもいいように待っていなければだめだ
恐れもなく
思い出すこともなくなるのだ
曇り空の下ですすり泣く

 

 

 

#poetry #rock musician

夢素描 05

 

西島一洋

 

飛び転死

 
 

今回は飛ぶ夢について書こうと思っていた。最近は飛ぶ夢をあまり見ない。もしくは見ていても思い出せない。とはいえ、昔たくさん見たので、それらをのんびり思い出しながら書こうと思っていた。もちろん、書けないことはない。

しかし昨日見た夢が、特に鮮明だとか強烈だとかではないけれど、妙に心の奥底に引っかかっていて、やっぱり吐露した方がよいかとおもう。

これは夢ではないのだが、一回りほど年下の友人が、ある時ある集まりの中である出来事を述懐した。というより告白か。十人くらい居合わせたと思う。

子供の頃の体験談である。しかし、この日まで人に言ったことはなく、ずっと苦しんでいた。話したことで癒されるわけでもないが、この話は、もちろん本人にとっては切羽詰まった現実そのものなので、奇異とか面白いという類のことではない。

ただ僕は面白かった。何が面白いかというと、僕にはその情景がくっきりとイメージできたからだった。おそらくは、現実のイメージとは違うのだろうが、そんなことはどうでもよい。

薄暗い。水が流れている。勢いよく。溜まりもある。濁ってはいないが透き通ってはいない。流れてきた。少女だ。小さい少女だ。3歳ぐらいだろうか。最初はゆっくりと、そして、目の前に来た時は異様に早い。手は出せた。だが、怖くて動けない。少女はそのまま流されて、そして、死んだ。

さて、昨日見た夢だが、ここまで書き進んでいるうちに、なんだか、書く必要もないのかなあとも思えてきた。

ただ、どうしても気になるので、書いておこう。おそらく今書かなければ、きっと忘れてしまう。いや、書くことによって忘れてしまうということもあるので、記憶を留めるためには文字化しない方が良いのかなあ。

労働と死という夢であった。

この国では、死も労働として認められており、貨幣経済も認知されている。したがって、死ぬことによって労働の対価が支払われる。死ぬことに宗教とか哲学とか思想とかもちろん芸術とか一切の共同幻想は介在しない。死ぬことの大義名分も無い。

ただ、死ぬのである。なぜか、淀んだ水の中に飛び込んでそれでおしまいなのだ。死への労働志願者は途切れることなくどんどんやってくる。気になるのはその労働への対価は誰に支払われるのだろう。

夢だから情景は、くっきりというかもやもやというか、ただ、あっさりと死んでいく人たち、僕はまだこちら側にいたが、ああそういうもんだなあ、と、特に悲しくもなく、苦しくもなく、罪の意識も無く、ああ、いずれ、こんな感じで死んでいくのかなあという感じか。

でも夢のリアリティから離れてみれば、やっぱり死にたくは無いなあ。

 

 

 

A bat is not a bird but an animal.
こうもりは鳥ではなく獣だ。 *

 

さとう三千魚

 
 

already
It’s time to sleep

just now
I got a call from Arai-kun

Midnight
Moco is barking

Moco is in the bedroom with the woman

Maybe it’s because I’m not going
Moco is barking

She’s barking

There is meaning in the barking

Moco’s thoughts are

there

A bat is not a bird but an animal *

Moco is not a bird but an animal

 

 

もう
眠る

時間なのだ

さっき
荒井くんから電話があった

深夜に

モコが
吠えている

モコは女と寝室にいる

わたしが行かないからか
モコは吠えている

吠えている

吠えることのなかに
意味がある

思いが
ある

モコの思いがそこに

ある

こうもりは鳥ではなく獣だ *

モコは鳥ではなく獣だ

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

さらぬ別れ

 

工藤冬里

 
 

むかし、男ありけり。よしがありやられこし野菜を誰にも知らせで一人食ひ、滑らかなる黒の石の板を夜の奥にずらししゆく心地して、人に、

ひとり泣きしほたれネカフェに無農薬野菜を食ひしためしやあらむ

 
昔男が居た。事情があって送られてきた野菜を誰にも知らせずに一人で食べ、滑らかな黒の石の板を夜の奥にスライドしていく心地がして、人に、

泣きながら野菜を食べたことがあるだろうか

 

 

 

#poetry #rock musician

The accident happened under his nose.
その事件は彼の目の前で起こった。 *

 

さとう三千魚

 
 

It’s been hot as hell these days

Is it called a heat wave?
Is it called a intense heat?

Burning is the right word

Summer daytime
Moco doesn’t go for a walk

Moco’s barefooted feet never walked down an asphalt road on a summer afternoon

In the evening
I’m going for a walk with Moco

At the corner of Nonaka-san’s house, turn left, to the right
There’s a warehouse at the plastics factory

On a wooden pallet there

The stray cats is out there
He is always there

He won’t deal with Moco

Just stare

“I’m a stray.”

That’s what he say
Then he lies down and turns his back

The accident happened under his nose *

 

 

ここのところ
暑さ

すごい

猛暑というのか
酷暑というのか

灼熱という言葉が当たっている

夏の昼間
モコは散歩しない

モコの裸足の足が昼のアスファルト道を歩くことはない

夕方
モコと散歩に出かけた

野中さんちの角を左に曲がった右のところにプラスチック工場の倉庫がある

そこの木製のパレットの
上に

野良はいる
いつもいる

野良はモコを相手にしない

じっと
睨んで

“俺は野良だ”

そう言っている

それからゴロリと寝転んで背中をむける

その事件は彼の目の前で起こった *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life