michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

真珠層のまち

 

原田淳子

 
 

 

降りつづける雨に
時を刻む針も溶けて
振り子は揺れるのをやめた
街は蝋でかためられ
眠れぬ遺跡となった

あぁいつか
あなたと
あの境界のうえを歩きましたね

数えてはならない時間のなかで
わたしは青林檎を石に乗せて
あなたは赤林檎を頭に乗せた

ちいさな芽にすら笑いながら
樹の名をつけた

わたしは時間を手にしたくて
林檎に口づけして追放された

いまは
淡水魚たちがとおりすぎてゆきます

ここまでは
波はとどきません
あなたが線を引いたから

流れは蝋で息をとめ
雨滴すら真珠のよう

このはわたしの粒
なにの粒でしたか
記憶を失いましたが
ひかるまで
待ちます

時間をやめた
距離のなかで

 

 

 

あきれて物も言えない 14

 

ピコ・大東洋ミランドラ

 
 


作画 ピコ・大東洋ミランドラ画伯

 
 

西の山が雲に隠れている

 

ここのところ、毎日、詩を書いている。
毎日、詩を書いて、浜風文庫にアップしている。
土曜日と、日曜日は、休んで、
月曜から金曜まで、毎日、詩をアップしている。

「浜辺にて」というわたしの詩集に収められた詩も2013年6月から約2年間ほぼ毎日書いて浜風文庫にアップした詩を纏めてもらった詩集だった。全部の詩ではなく550篇くらいの詩が掲載されていて、索引まであり、分厚く辞書のように立ち倒れない、自立できる詩集です。 * 1

今回は、写真家の広瀬勉とミュージシャンの工藤冬里が伴走者だ。
広瀬勉のブロック塀の写真と工藤冬里の詩も、毎日、アップしている。
いつまで続けるという約束もしないではじめた。 * 2

4月1日から土日以外の毎日、詩を書いて、浜風文庫に公開している。

毎回、詩を探索するということを行っている。
実は、わたしには、詩とは何なのか、わからないのだ。
書いてみないと詩はわからないのだ。
いままでの経験とこのいまの探索の先に詩は一瞬にひかるのを感じることができるものだ。

だから、様式も、形もない。
いままでの様式と形を崩した先に、やっと光るか、ひからないか。

そんな風に、毎日、詩のようなものを書いているわけです。

さて、
先日、
東京に行かなかった。

7月10日から桑原正彦の個展が六本木の小山登美夫ギャラリーではじまった。 * 3
初日に行くつもりだった。
それが東京のコロナ感染者数の急増で見合せてしまった。
誰からも止められているわけではないがわたしの判断で見合わせたのだ。
わたしがコロナに感染するのは仕方がないが、わたしが感染したら家族や近所や仕事関係者に迷惑をかかるからだ。

わたしの判断で行かなかった。
残念だった。

あれからもう一週間が経とうとしているが東京のコロナ感染数はさらに増加した。
今日は、過去最多、293人となった。(2020年7月18日現在) * 4

感染者は中国で2月にピークとなり、3月から欧米に拡大し、5月にアジア、アフリカ、中南米に拡大した。
日本の累計感染者数は24,318人、累計死者数985人(2020年7月18日現在)* 5
世界の累計感染者数は1,389,681人、累計死者数590,005人(2020年7月18日現在)* 5

アメリカは1日あたりの感染者数が一時2万人を下回ったが6月下旬から増加に転じ7月17日は過去最多の7万7000人/1日の感染者となっている。また、アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカの新規感染者の増加が続いている。
各国に離散したシリア難民や、南米やアフリカや南アジアなどの各国には医療が届かない人たちがいるだろう。

中国、韓国、台湾、ベトナムの累計増加数が横ばいとなっているのは対策によりほぼ新規感染が制御されているということだろうか。  * 5

わたしの調べられる情報の範囲で、各国の新型コロナウイルスへの対策により新規感染者数、新規死亡者数には大きな差異が出ていることが見えてくる。わたしたちは、中国、韓国、ベトナムなどのコロナ対策を学ぶ必要がある。

その日本が「Go To トラベル」キャンペーンを東京を除外して7月22日から実施するという。
税金1兆3,500億円を使うのだという。
除外される東京の人たちの税金も使われるのだろう。

呆れる。ほとんど、あきれる。
この国の政治家たちは経済優先のアメリカの政策に追従するのだろう。

その税金を奮闘している医療機関や医療者たち、医薬品の開発、医療機器開発に当てたらどうなのだろうかと、
思います。

もう、夕方になってしまいました。

ここのところ雨がつづいていて、雨は止んでも、西の山は雨雲に隠れています。
そこに西の山があるとわかっても山は雲に隠れています。

あきれて物も言えません。
呆れていても世の中は変わりません。

声にならない声を上げています。

毎日、詩を書いています。

 

作画解説 さとう三千魚

 

 

* 1 「浜辺にて」
http://www.rankasha.co.jp/book/bungei/index.html

* 2 「浜風文庫」
https://beachwind-lib.net

・広瀬勉のページ
https://beachwind-lib.net/?cat=18
・工藤冬里のページ
https://beachwind-lib.net/?cat=53
・さとう三千魚のページ
https://beachwind-lib.net/?cat=53

* 3 「桑原正彦 heavenly peach」
http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/kuwahara2020/

* 4 「東京都コロナウイルス感染症対策サイト」
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

* 5 「朝日新聞 2020年7月18日朝刊」

* 6 「日本経済新聞社 チャートで見る世界の感染状況 新型コロナウイルス」
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/

 

 

 

gem・宝石

 

Michio Sato

 
 

Jewelry
Is it “gem” in English?

Phonetic symbol “dʒem”

Muddy pronunciation

“dʒem”

in the US and England

Muddy pronunciation

in Japan
It has been raining recently

A nearby stream is also flooded with brown water flowing
flowing into the sea

Stream water birds
River algae too

can’t see now

West mountains too
wrapped in rain clouds

Rain drops

There are many lines on the wire

 

 

宝石は
英語で”gem”というのか

発音記号で”dʒem”

濁った音だ
アメリカでも

イギリスでも”dʒem”

濁った音だ

日本では
このところ雨が降り続いている

近くの小川も増水して茶色の水が流れている
海に流れていく

小川の水鳥たちも
川藻も

いまは見えない

西の山も
雨雲に包まれている

雨のしずくが

電線にたくさん並んでいる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

赤と緑

 

工藤冬里

 
 

恐ろしいフラッシュ・バックでオノマトペで言うと ギン という感じである
月が無くなるまで続く力について話していたが

おいちゃんが呼んどるけんまた後で電話するわ

ギン

血の汗
水槽の藻
冒涜者として死ぬことの奥には余人の窺い知れぬ言語的な実体が横たわっていた

希望の原理を拾い集めていたシティー・ポップスの時代は終わった

希望はない

ギン

 

 

 

#poetry #rock musician

brood・考え込む (鳥が)卵を抱く

 

Michio Sato

 
 

Yesterday night
It was raining

This morning too
It’s raining

Last night
I fell asleep

I hugged Moko and slept on the sofa

wake up early in the morning
I am here

holding an egg

 

 

昨日の夜も
雨が降っていた

今朝も
降ってる

昨日の夜は
眠ってしまった

モコを抱いてソファーで眠ってた

朝早く目覚めて
ここにいる

卵を抱いている

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

アンディーの気苦労2

 

工藤冬里

 
 

パンデミックはハシビロコウにもハクビシンにも及んだ
しかしながら妻の猫は一匹も死ななかった
アンディは雑草の花の拡大写真を撮った

そして窯は製品を生み出さず代わりにTVが焼かれ大物司会者達が失脚させられた
痒みのためにユーチューバーも動けなくなった
画面から消し去ることも出来たがアンディーは頼まれた茶碗を作らなければならないので存在させられていた

しかし動物だけでなく植物も言葉によって殺られる時が来た
避難命令に従わなかった木は場外ホームランに頭を割られて死んだ
地球が誰のものか知らないまま薙ぎ倒されるのは草だった
アンディは予報を真剣に受け止める質だったので屋根を貫通するJ popを避けることができた

 
小麦粉は無くてもまだ米粉はあったので経済は動いていたがGoToも終わる時が来た
ネットはバグに食いつくされ遂に内調さえ国が壊滅したことを認めぬ官邸に食い付くようになった
アンディーはもはや食物を摂取した記憶に頼る他に空腹に耐える術がなくなった

続く

 

 

 

#poetry #rock musician

doctrine・学説 主義

 

Michio Sato

 
 

When young

“Joint illusion”
“What is beauty for language?”

I did not understand

To the last
I read

I did not understand

“Last Shinran”

I read

I could read
It went somewhere

I could read
It disappeared

I take my dog to see the sea

The original people too
Once

Perhaps They were looking at this flat sea

I am there

 

 

若い時

“共同幻想論”も
“言語にとって美とは何か”も

わからなかった

最後まで
読んだが

わからなかった

“最後の親鸞”は

読めた

読めたが
どこかにいってしまった

読めたが
消えていった

わたし犬を連れて海を見にいく

原人たちも
かつて

この平らな海を見ていただろう

そこにいる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.