無防備都市

 

工藤冬里

 
 

無防備都市は灰とピンクか黒と薔薇か
世界政府であろうと信頼できない
右目を押さえると黄緑が湧き出る
魚は食べない
今ゲームしてるからちょっと待って
今や彼らはしようと思ったことを何でもできる?
煉瓦で塔は建てられない

駐在!Ambassador

大夏では共産主義は根付かなかった
大使はバージョンアップされてゆくゲームに沿って盛大な平手打ちの音を立て
世界の半分と顔の雛型を生産し
滅ぼしてから返す
あとは父に直接言ってくれ

駐在は朝からラーメンを作って死んだ、
と未亡人は懐古した
遺影は笑っていた
イエイ

 

 

 

#poetry #rock musician

Pella 或は一時的な娯しみは

 

工藤冬里

 
 

詩の場所で寝ているなら
寝シャカになってしまってそれは間違いだ
口中血を流しながら寝るのだ
やられたらやり返してもらえ
相対的に価値が低いので
時計を囮に使うな
娯しみよりも深くdeeper rooted
うれしさよりも輝きradiant
表現的demonstrative
瑠璃色の窪みが琉球ガラス
5時頃
蛍に続いて最期の挨拶に来たかなかなをビーリールしようとするのは間違いだった
ペレアで透明にされ、
紫の壁に引っ掻き傷の通報

 

 

 

#poetry #rock musician

街に佇つ

 

さとう三千魚

 
 

月の初めの
日曜の

夕方

街に佇つ
昨日も佇った

静岡駅北口の地下広場に佇つ

天窓の向こうに青空と駅前の木立が見える
地下広場には水の流れる音がする

“殺すな!”
“STOP KILLING IN GAZA! ”

そう書いた
ダンボールのプラカードを持つ

佇つ

ほとんどの人たちは目の前を通り過ぎていく
チラと見て眼を逸らし通り過ぎていく

この世のすべてが通り過ぎていく

昨日は
インドの人か男性がカンパしてくれた

ほほえんで
握手もしてくれた

MITさんも最後に来てくれた

流転の人を感じる
目の前に通り過ぎていく人たちも

GAZAの人たちも
ここに佇つ男も

地上を過ぎ去る者たちだろう

夜になり
MITさんと別れた

地下広場の丸い大きな天窓に群青の空が見えた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

豆まき

 

塔島ひろみ

 
 

おまわりさんが豆をまく
交番の前の道にパラパラと
子どもたちが寄って来る
豆を拾う 豆を食べる
なかには大人も混じっている
犬や小鳥も混じっている
寄ってこない子どももいた
豆を食べると行ってしまう
おまわりさんはまた
ポケットから豆を出す
おまわりさんの私
帽子をかぶって
豆をまくことしか知らないから
また豆をまく
誰もいない道
ガード下の私

 

 

 

機序

 

工藤冬里

 
 

機序の見えるグラサンで裏返ったカブトエビを見る久し振りの白人映画
今から止めなければ真珠は買えない
求めて見つけるか偶然に見つけるかは関係ない
緑蒼いキャベツの海の町は破壊されました
夫はとうに亡くなりましたいい人でした
いくらか自由に暮らせましたがシオンとは機序であり地球上にはない
高所作業にヘルメットが必要なので希望を与えましたが何をしてしまったかではなく今何をしているかです
bouleとか主体の詩を止めなければならない時がやって参りました

 

 

 

#poetry #rock musician

いない、猫 **

 

さとう三千魚

 
 

猫がいる

いない
猫がいる

三毛猫の鼻のあたまの黒い
いない猫が

いる

子どもをたくさん産んだ
子どもたちはもらわれていった

冬の初めにいなくなり
隣家の納屋の藁の中に干からびて見つかった

いない
猫がいる

河口にいる

河口に
いない猫と子猫たちがいる

 

・・・

 

** この詩は、
2025年7月25日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第19回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩に加筆した詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

世界の果てと崖

 

辻 和人

 
 

こかずとんは知ることとなった
世界には果てというものがあることを

ずりずり
ずり
ハイ
回る
まだ体を腕で持ち上げられてない
腕ずりずり
足ずりずり
ハイハイまでいかないけど
オムツ入れの箱を壁に見立てての不断のトレーニングが実を結び
コミヤミヤもこかずとんも
ずりハイずりハイずりハイ回り
お昼寝マットを横断横断
広い、広いなあ
今までこんなに広いトコに寝てたのか
泣き声あげてかずとんパパが抱き上げてくれるまで
ずっと天井だけ見て寝てたのか
頭ぐっと持ち上げれば
見よ
眼下には白いふかふかが広がってる

やる気十分のコミヤミヤ
生まれたてのイモムシみたいに元気いっぱい
ずりハイずりハイずりハイ回る
ふかふかにめり込みつつ手足動かせば
おおっ、体が前に進んでく
今まで体と言えば
ぺたっとマットに張りついてるようなもんだった
体が体じゃないみたい
ふっくら顔にっこにこイモムシのコミヤミヤ
ずりずり
ずり
ハイ

ここで悲劇が勃発
コミヤミヤに刺激されたこかずとん
負けじとずりハイずりハイずりハイ回って
白いふかふかかき分けて
進んで進んで進んだ先
突如落っこちた!
たかーい崖から
あらあら、こかずとん
お昼寝マットの外へはみ出てしまったんだ
お昼寝マットの厚さは4センチに満たない
それでもこかずとんにとっては
たかーい崖と同じ
どうやったって這い上がれない
ッギュイエーン、ギュヨェーン
大変大変、すぐ抱き起して
よしよし

広い広いと思っていた世界には
たかーいたかーい崖があった
そこが世界の果てだったー
腕の中で
ようやく涙が収まったこかずとんは
そんな風に感じているだろうね
でもね、こかずとん
お昼寝マットの外にも
世界は果てしなく広がってるんだよ
いつかはわかっても
今は絶対わからない真実
こかずとんが噛みしめている崖の高さを
抱っこしながらかずとんパパも
一緒に噛みしめてあげるよ

 

 

 

何かの間違い

 

道 ケージ

 

何かの間違いだろう
オレの骨壷を母が抱いて
こんなんなっちゃってと涙ぐんでいる
それを見ているオレも泣けてくるが

元気そうな母を見て一安心する
箱の中の確かなカサカサ音

母はまあしょうないたいと呟いて
掃き掃除

どうも生きている心地なく
母に聞いてみたいけど
すでに姿なく

しょうなく箱に戻る
どう言えばいいのか

座間でFENを聴く
うまく聞き取れないことをいいことに
虐殺を命じている

喜んで応じるから
体をなんとかしてほしい

 
 
 
※ フランス語にしてみた
 

Une erreur, sûrement

Michi Cage

Ce doit être une erreur.
Ma mère serre mon urne funéraire dans ses bras
en murmurant, les larmes aux yeux :
« Mon fils est devenu comme ça, finalement. »

Moi aussi, je pleure en la regardant,
mais je me rassure
de la voir en bonne santé.

Un son sec et certain
vient de la boîte.

Ma mère soupire :
« Bah, on n’y peut rien. C’est la vie. »,
et balaie le sol.

Je ne me sens pas vraiment vivant.
J’aimerais lui demander,
mais elle n’est déjà plus là.

À contre cœur, je retourne dans la boîte.
Je ne sais comment le dire.
À Zama, j’écoute FEN.
Je fais semblant de ne pas comprendre,
quelqu’un y ordonne un massacre.

Je réponds avec joie,
alors, s’il vous plaît —
rendez-moi mon corps.

 

 

 

モネの池

 

さとう三千魚

 
 

連休の
最後の

日の
朝の

女と
睡蓮を見にいく

女は
お茶と珈琲を

クーラーバッグに入れた
西方150kmにある美術館の睡蓮を見にいく

クルマでいく

時の過ぎ去ることの先に
画家は描いた

睡蓮は
いた

空の
青空の

水面に揺れていた

睡蓮は揺れていた
波紋は揺れていた

白い髭づらの太った大男がそこにいた
池の柳の睡蓮の波紋の太鼓橋の空の青空の水面の

揺れてた

緑につつまれた池が青黒く振動していた
大男の筆が激しく振動して静止していた

夕方に
帰ってきた

浜辺にいた
浜辺に波が打ち寄せていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

麦芽党

 

工藤冬里

 
 

キツネを見たらTally ho! と言おうと思っていたが今日狩られているのは私達なので私は駆除されることにした駆除されたのだ

軽トラでぎょうせん飴を売りにきていたので買ったむかしは朝鮮雨と言っているのだと思って

Where to vote every defilement of flesh and spirit

 

 

 

#poetry #rock musician