23歳……cinnamon。(F*のロマンスのテーマ)

 

今井義行

 
 

雪化粧の国道を横切った、swan(アタシ)
真っ白の、風の、吹く
夜明けは……さっむいな

白鳥の、群れの、舞っています──

走らせてきた
クルマを
国道の路肩に停めました……

ほら…Fのロマンスのテーマ…
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編(あ)んでます*

感動、し、たの…………中学生!
ありきたりでも変われる感動!

思えば化粧化粧の日々でした!
どんどん呑まれていきました!

アタシ……アタシ、は…をんなになりたかったのかなあ

……………

swanっていうのは、アタシの🆔*
swanっていうのは、アタシの🆔

普段の、swanは、
59歳独身の、
あごの、たるんだ
……ジジィ
でも……今日は、約束通り
精いっぱい
着飾ってきた、アタシ……

雪化粧の国道を横切った、swan(アタシ)
真っ白の、風の、吹く
夜明けは……さっむいな

白鳥の、群れの、舞っています──

走らせてきた
クルマを
国道の路肩に停めました……

ほら…Fのロマンスのテーマ…
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編(あ)んでます

感動、し、たの…………中学生!
ありきたりでも変われる願望!

思えば化粧化粧の日々でした!
どんどん呑まれていきました!

アタシ……アタシ、は…をんなになりたかったのかなあ

……………

swanっていうのは、アタシの🆔
swanっていうのは、アタシの🆔

普段の、swanは、
59歳独身の、
あごの、たるんだ
……ジジィ
でも……今日は、約束通り
精いっぱい
着飾ってきた、アタシ……

遠目には、ご婦人に見える筈。
アレヤコレヤ着てみたものの
アタシ;;ブランドなんてどうでも
いいです……

お気に入りの white dress
その上に black coatなんて
羽織っているけど…さ…
どーしても……
クマ🐻みたいになっちゃう💦
路肩に……
たたずんでいる
23歳の、おんなの仔に
swan(アタシ)は、言った
「cinnamon。ちゃん?」
「swanさん?
オネェちゃんみたいで
だーいすき……よ!☺」

それから、
アタシは、言ったのよ
「アタシの膝に
きて顔を埋めてご覧、
cinnamon。ちゃん」
「swan(オネェ)ちゃん!」
「それから……、
お膝。舐めて、ね……」
アタシは…その仔…に言う
ペロペロペロペロハフハヒハヒハヒ……

会うのは、何度目かなあ……💓

普段の、アタシは、
59歳独身の、
あごの、たるんだ
単なる……ジジィ
でも……今日は、約束通り
精いっぱい
着飾ってきました

cinnamon。っていうのは、その仔の🆔
23歳に……なった、ばかり!
cinnamon。っていうのは、その仔の🆔
きらきら✨冬景色の中に輝いてるわ

アタシは、女装家で、アタシ…を
やってます、ということ……
アタシ;;; ブランドに長けてないけど 
黒コーデの、上手な
「cinnamon。ちゃん!」
と、アタシは、車内で話します……

雪化粧の国道に横たわる、(アタシタチ)
真っ白の、風の、吹く
夜明けは……さっむいな

白鳥の、群れの、舞っています──
「こんなアタシだけど…良いですか?
……愛してる……!」
「愛してる!オニイちゃん!」

cinnamonちゃん。の
良いところは、ね……
ヒトは本質ですよッて
教えてくれるとこ💦
たぶん……そーいう思想だと思う。
そうじゃなきゃあ……
わざわざ女装爺のとこ
なんて来るわけねえだろう?

ホホ、アタシを選んでるんだからね!
😂✌🙋

swan(アタシ)は、
その仔、
23歳……cinnamon。ちゃんと
特殊パブ「クロス」で
出逢いました。

cinnamonちゃん。は、小柄で
オッパイは(.人.)いえ……
……小ぶりで、ね
🟤茶色のますく🟤
好奇心旺盛に周りを見てたわ。

そーして、目が合ったのね!
ピクピクピクピクピクピクピュー-ッ
母乳が噴き出すような喜び!

お互いに、一目惚れ💞かなあ
年の差婚したくなるような…

cinnamonちゃん。は
アタシを、褒めてくれます。

「見た目、をんな👩で
カラダ、をとこ👨って、とこがお得!
penisも、あるんだね!
子どもだって
作れちゃうもんね!」

変質姉妹……。は、
妄想で、ぐじゅぐじゅしないで
なまみでやるにかぎる──

………………

新宿「クロス」で会っては、
特別室を借りて……朝まで
愛しあったわよ……西口で

そこには、ベッドの他には……和式便器のみ聖櫃で良かった……、
「アタシ……には、オマンコが
あるし……オニィちゃんには
リッパな、オチンチンが
あるわけ。でしょ、」ピクピク

「lesbianやhomosexualなんてさ
純正マンコと純正チンコで
やるだけだもの……
ひねりがないんじゃなーい?」ピクピク

「それに、オニィちゃん……幾ら
剃っても、胸毛が生えてきて
ステキだよーー!」

「cinnamonちゃん……。😢」
lesbianやhomosexualなんてさ
カレラの🆔は、
monotoneじゃ、ないかしら?
ツマランナァ…………アラ、そのスジの
方々ゴメンネッ!」

「カーセックス、カーセックス!
古典的だけれ、ど…それ…って
お得で良いよ、ねー!オネェちゃん!」

「cinnamonちゃん。やろッ!
アタシタチ……のこと みーんなに
見て、いただける、ように…」
「うん……オネェちゃん!
洋服の、脱がせっこ、しよ…」

ほら…Fのロマンスのテーマ…
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編(あ)んでます

さあさあ、お話し進めます……
さあさあ、お話し進めます……

「あのね……オネェちゃん……
今日、cinnamon、生理中、だよ?」
「アタシ……は、構わないわよ!」
「ホント?オネェちゃん……?」
「ホントだよ!cinnamonちゃん。」

「そんなこと言ったら
アタシなんて……持続勃起だよ💢😡」
「ごめんね……オネェちゃん。
パンツ、ズラシテ。クダサイ……」

アタシ……は、cinnamonちゃん。の
剛毛がはみ出しちゃってるパンツを
ジリジリ、ジリジリ……ズラシテ。いったわ。

「オネェちゃんも、パンツ脱いで!」
「その前に……オッパイ……行こ!」
cinnamonちゃん。は、自分で自分、
の、ブラジャーはずしたわ!
スレンダーなカラダなのに大きな
乳首。まだ…噛んでもいないのに。

「cinnamonちゃん。どうして……
女の子ッて、生理中…嫌がるの…?
お祝いごと……なんでしょう……?
不思議で、仕方ないんだけど……」
「だって、お相手のカラダ、
穢しちゃうんじゃ、なーい………?」
「そんなこと、ないですって……!
好きな、をんな、とならばさッ……
そんなこと…なーんでもないって」
「そーかな。そーなら嬉しいな💝」

「じゃあ、cinnamonちゃん。
これから、ゆっくり……オマンコ
やろうか?」
「オネェちゃん、やろうやろう!」
「お嬢さんッ、やろうやろう!」
そうして、cinnamonちゃん。は
自分のオマンコをベロッと拡げた
「はい。生理中のcinnamonの
オマンコをやっちゃって欲しい」
「……ああ、血だらけで、綺麗」🙆
「……そんな風に言ってくれるんだ……」😳

「ここが、cinnamonちゃん。の
clitorisだよね。salmon pinkだ!
一生懸命、舐めるから……
もっともっと……肥大させようね」
「うん……オネェちゃん!そうする!
オネェちゃんのオチンチンも早く早く」
「あー、cinnamonちゃん。
アタシの…口の周り…きっと真っ赤ね?
口べに……要らずネェ……」

「よーし!生理中のcinnamonちゃん。
の、オマンコと、充血中のアタシ……のオチンチンが、合体します!」
アタシ……は、婦人モノ……パンツから
勃起した、オチンチンを引きずり出して
cinnamonちゃん。のアナに
ツッコミ……ツッコミ……していった!
「リッパな、アナだねえ……
このsalmon pinkのアナから……
オシッコがシャーッて出たり
経血がベッタリ出たり、赤ん坊の頭が
ジリジリジリジリと…出たりするわけだ」
「そーいうわけだ。オネェちゃん!😳
出したり入れたり出したり入れたり
好きにしてください……ね!!」
「生理中のcinnamonちゃん。の
オマンコに、精子、ブチ込むよ!」

「溢れたぶんは、ぜーんぶ飲むねッ」 

「cinnamonちゃん。がアタシ……の精子
ぜーんぶ飲んでくれるんだったら……
アタシ……は、cinnamonちゃん。の純粋……な経血…………ぜーんぶ、飲んじゃう、よ、」

(アタシタチ)の、セックスは……スッゴイにおいが
した…………。

ほら…Fのロマンスのテーマ…
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編(あ)んでます

さあさあ、お話し進めましょう……
さあさあ、お話し進めましょッッ……

「ファイト、オー💞」
23歳なのに……何となく古典的な
掛け声の、cinnamonちゃん。
クルマの中で大股、拡げて
cinnamonちゃんはね。進むの……進むのよ……!!

アタシタチの、セックスは……スッゴーイ、においが
した…………。

………………………………

〈付記〉

その後……アタシは、クルマから
cinnamonちゃん。を引きずりおろして
cinnamonちゃん。の頭を
思いっ切り……スイカ割りしたのよ!
愛していますから、ね?!ェヘ
「しあわせ😋ですゥゥッ」ッて
cinnamonちゃん。は…啼きました。

cinnamonちゃん。の頭は、冬景色に
パックリ割れて……さ。
月経経血よりも、もっと激しく
血を流したのさ…………!!

まさか(笑)(笑)死んじゃった…んじゃあんめいな…?!ははは!!

 
 

* 冬景色または不届者
* 阿久悠「北の宿から」
* その🆔は、どこから来てるのかと尋ねる
向きもあろう。しかし詩中へ問うのは野暮。
swanなんだから、swanなんである。なんてどうでも
いいです……

🌟「存在」って、もんをさ…………
確かめたかった、だけなのよ……!
(アタシタチ)の、セックスも……そゆこと!

 

 

 

去年11月26日、27日 無罪之俘
去年の11月26日、27日 無実の囚われ人

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

更。寒冷的月份來臨。
在準備春節的時段審訊
山水的底層,殯葬肺腑
看骨格透明的磁場,山巒無知。
密碼中昇起燃燒的地圖;
盲目的蝙蝠掠過被遺忘的彈孔,
老虎的各種椅子、桌子,
改造我們的寬忍,
追問失憶的友朋⋯⋯訊號消失。
去年的11月,去年的白紙。
你們喊呀!沉痛的親屬們
死者冰冷的夜階磚,排列通道。
夜深了,便湧起灰……

你是水,但
你必須飲水,夜
鐵定黑,你黑如白紙!飲水
淚珠就墜毁。

你們是不曾被飲到的河水
負載着失敗,灌溉黑樂譜。
此刻街上已無人等待,
無人號喊,
而寒夜微茫,不可言傳
廣場黑著臉,找不到一點星火。
亡魂們又一次猶豫不決。

我記得你,你是飲水的水。

僅此致敬彭立發先生。記住李康夢、吳正楠、烏衣、洋流、阿墨、秦梓奕……寒夜抱薪的孩子們。

 
2023年1月11日西貢雨中

 
    .
 

更。寒冷的月份來臨。
 もっと。寒い月がやってくる。
在準備春節的時段審訊
 春節時分の取り調べに備えて
山水的底層,殯葬肺腑
 山河の深みに、胸の内を葬ってしまえば
看骨格透明的磁場,山巒無知。
 骨格を透視するX線でも、山懐には関知しえない。
密碼中昇起燃燒的地圖;
 合い言葉の中に燃える地図が舞い上り;
盲目的蝙蝠掠過被遺忘的彈孔,
 盲目のコウモリが忘れ去られた弾痕を掠め去り、
老虎的各種椅子、桌子和櫈
 虎たちの様々な椅子、机そして長椅子が
造就我們的寬忍,
 我々の忍耐を作りあげる。
追問失憶的友朋⋯⋯訊號消失。
 記憶を亡くした友に問いかけようとしても・・・消息は失せた。
去年的11月,去年的白紙。
 去年の11月、去年の白紙。
你們喊呀!沉痛的親屬們
 君たちは叫べ! 打ちひしがれた親族たちよ
死者冰冷的夜街磚,排列通道。
 死者は凍った夜の街の指道標のように、通路に並べられた。
夜深了便湧起灰……
 夜は更けて灰がまき起こる・・・

你是水,但
 君は水だ、だが
你必須飲水,夜
 君は水を飲まねばならぬ、夜は
鐵定黑,你黑如白紙!飲水
 確かに黒々として、君は白紙のように黒い! 水を飲めば
淚珠就墜毁。
 涙はこぼれ落ちる。

你們是不曾被飲到的河水
 君たちは飲まれる川の水であったことはなく
負載着失敗,灌溉著黑樂譜。
 失敗を背負って、黒い楽譜に水を撒いている。
此刻街上已無人等待,
 この刻限にはもう街角に待ち受ける者とてなく、
無人號喊,
 叫び声を上げる者はおらず、
而寒夜微茫,不可言傳
 そして夜は寒く寄る辺なく、言葉を伝えるすべもない
廣場黑著臉,找不到一點星火。
 広場はその顔を暗くして、かすかな明かりも見当たらない。
亡魂們又一次猶豫不決。
 亡霊たちはまたもや遅疑逡巡する。

我記得你,你是飲水的水。
 私は君を覚えている。君は水を飲む水だ。

僅此致敬彭立發先生。記住李康夢、吳正楠、烏衣、洋流、阿墨、秦梓奕……寒夜抱薪的孩子們。
 かくしてここに敬意を彭立発先生にささげる。李康夢、呉正楠、烏衣、洋流、阿墨、秦梓奕ら……人々のため寒夜に薪を抱いた若者たちのことを覚えておこう。

 
2023年1月11日西貢雨中
 2023年1月11日 サイクンの雨中で

 
 

日本語訳:ぐるーぷ・とりつ

 
 

 

 

 

ぼくはちょっと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 31     michiuo へ

さとう三千魚

 
 

静岡駅の
北口の

地下広場には
水が

流れていて
小川のよう

水音がしている
水の流れの横を

人びとが
エスカレーターで

昇っていく

地上の
木立が

見える

ぼくはちょっと *
群青の空を

見上げてる

木の葉
ぜんぶ落ちている

 

 

***memo.

2023年1月8日(日)、静岡駅北口地下広場で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」で作った31個めの詩です。
細野晴臣さんの”ぼくはちょっと”という曲をリピートしてJBLの小さなスピーカーで鳴らしていました。

自分のために書きました。

タイトル ”ぼくはちょっと”  * 細野晴臣さんの歌曲のタイトルからの引用です
好きな花 ”枯葉”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

接続詞で繋いでみる

 

工藤冬里

 
 

Aber
FMで82年特集とか
泡立つほどにまさに敵だな
理由は倫理的なものではなく技術的なもので
要するに音程や音色の選択が音楽に追いついてないからだ
そういう点でわりと憂国というか恥ずかしいんだおれは
Aber
地区、音乐与实践region, music, and practice」というタイトルがいい
https://www.instagram.com/p/Cmy5_DjNz0V/?igshid=YmMyMTA2M2Y%3D
Aber
4は地的な完全数と言われているが東西南北のことではない
それは1+1+1=4であるような次元の話なのだ
例えば3人家族という三角錐は4面を持つ
フラーが言うように、ものごとは4によってはじめて稼働するのだ
Aber
フレディグリーンて石渡が好きだったな
Aber
アーメン
とは
暴き出す
ということ
Aber
ヒロシです
一日一日が正月です
ヒロシです
毎年毎年が忌中です
口が裂けても明けましてを云わず、賀状の返事も出さないのでこれで勘弁

拾ったペンで髪を撫で上げた人に毎日が正月ですヒロシと返事して安らかに墓に入ると言わしめながらネコに殺される
名を覚えられないまま再建された天神に登る石段に人骨を焼く煙が全てのイントネーションを裏切って
針が振り切れる

Aber
一瞬でニカさんと渋谷さんと分かる凄いな
「離れていくなんて臆病です
の発声が良い
「幸せはつるべおとし
のデュエット部分 とか
「さっきはごめんなさい
の傲慢と謙遜の針の振れ
オザケンはあんまり
でもライザみたい
とかいってるうちにサキちゃんちに着いた
Aber
https://youtu.be/6mjbQW1Yt0E
昔鈴木君や山岸君がすのすの言い合っていた頃僕の雪ですの?を浩一郎がえらく評価して雪の倉に納める勢いでいやちょっと待てこれは凄い雪でしょスノーでしょとぶつぶつ、急に思い出した。
生きていたらえ、マイケルスノーは死んだんdeathの?と言うことになるが、今度は受けない気がするなんとなく
Aber
今日は公園に誰も居なくていつもみたいにわあわあしてる図書館車動画を挙げられなくて子供が来なくなった良寛みたいな気分だ
Aber
竈馬を食べた輩のブログに「うまい」とあり馬だけに、と思う
Aber
音楽にはもう動向なんてない
去年のベスト10とか得意気に人の音楽を選ぶより自分の身辺整理の方が先だろう
知り合いの生き死にの所作に目が行くぐらいだ
竈馬は光には反応しない
息を吹きかけると飛び上がる
Aber
夢が自由というのは障害物を出す自由であって
そういう意味で言うと自由民主党というのは自由に膿を撒き散らすことの出来る夢のような党である
夢のようなとは緩むということで
歯軋りしながら緩めるという曲芸であり
大道芸より難儀なことを毎夜
主たる民の身体は行っているのである

 

 

 

#poetry #rock musician

「生きざま」という言葉

 

駿河昌樹

 
 

   粗野で下卑たものが、
   高貴で優雅なものに俗世の生きかたを教える世の中が、
   やがて訪れるのだろうか…

          ロード・ダンセイニ『魔法使いの弟子』 *

 
 

人の生きかたのことを
この頃
テレビなどで「生きざま」と言っているのを聞く
平気でそう言っている

ちょっと
違うのではないか?
と思う

辞書などを見ると
「生きざま」に
さほど問題のある意味があるわけでもないことが
多い

大辞林には
「生きていくにあたってのありさま」
「生き方のようす」などとある
ずいぶん
ニュートラルである

デジタル大辞泉には
「『死に様』からの連想でできた語とされる」
とされ
「その人が生きていく態度・ありさま。生き方」
とある
「死に様」からの連想
という
ちょっと凄いことが出てきているが
意味自体は
ニュートラルに説いている

明鏡国語辞典には
「特徴ある人生観や人間性などで
 他を圧倒する、強烈な生き方」
とあり
やはり
「『死にざま』の類推から生まれた語」とも
注意書きがある
「他を圧倒する、強烈な生き方」
と説明していて
ふつうの人に使うのは
どうかね?
と考える根拠を
ちょこっと
示している

広辞苑(第六版)の場合には
〈「死に様」の類推から生まれた語〉と
注意書きされてから
「自分の過ごして来たぶざまな生き方。
 転じて、人の生き方」
とある

これだよ
これ
このニュアンス

世代や年齢によるのだろうか?
中年を越えた耳には
どうも
広辞苑の説くようなニュアンスで使われていたのを
多く見聞きしてきた気がする

「オレの生きざまを見てくれ!」
「あいつの生きざまを決して忘れねえぞ!」
などというセリフが
荒くれ者たちを描いた映画やドラマには
いくらもあったような気がする

まともな生き方からは
ずいぶん外れたりもしているが
すごく頑張って生きてきた
並大抵ではない生き方をしてきた
そんな場合に
自分自身で言うか
深い絆のある仲間に対して言うか
そんな場合の言葉が
「生きざま」だったような気がする

なるほど
なにかしらの取り柄があったり
才能があったり
有名だったりはしても
人畜無害な
ふつうにテレビにゲストとして呼べるような人には
「生きざま」という言葉は
かつてなら
使わなかったし
使えなかったような気がする

だいたい
「生きざま」の「ざ」という濁音が
汚いでしょ?

そんなことも
すっかり
感じとられなくなってしまったのかなァ

『魔法使いの弟子』で
ロード・ダンセイニが嘆いたごとく…

「粗野で下卑たものが、
 高貴で優雅なものに俗世の生きかたを教える世の中が、
 やがて訪れるのだろうか…」*

 
 

* Lord Dunsany(Edward John Moreton Drax Plunkett, 18th Baron of Dunsany)

The Charwoman’s Shadow (1926)

 

 

 

 

塔島ひろみ

 
 

さまざまな願い事がそこでは叶う
寂しさや悲しみが癒される
家にいたくない 学校や会社に行きたくない人の 逃げ場ともなる
お腹も心も満たされる
今日も大勢の人で賑わうハンバーガー屋に
笑い声が充満する
油の匂いが充満する
肉を焼く匂いが充満する

神社は道を一本隔てた向かいにあった
川を背に構える暗い社殿 その前にわたしは 夏も冬も朝も夜も直立し
両腕で巨大なしめ縄を掲げ持つ
空中高くにどっしりと座すしめ縄はこの神社の顔で 悪魔を払う意味がある
町を守るために
この好きでもない町を守るために
わたしは今日も北風に打たれながら直立する
ハンバーガー屋にお株を取られ 神さまは暇で しめ縄はたいてい眠っていた
平和な町
神より偉いハンバーガー屋から 悲鳴に似た子どもの笑い声が響いてくる
しめ縄より強いハンバーガー屋から 真っ赤なバイクがサンタを乗せてミサイルのように発進する
身構えるが こっちには来ない どうせ来ない
誰も来ない
冬空に高々と聳える悪魔の看板
北風が強い
寒い、寒い、と車から出た人がハンバーガー屋に次々駆け込む
寒い、寒い、とさびしくて お腹がすいた神さまも すき間だらけの社殿から出て店に駆け込む
追いかける北風 その鼻先でドアが閉まる
杭に犬がつながれていた
社殿の正面で 私は巨大なしめ縄を掲げている
鉄の腕で 空高く 重量挙げのように掲げている
それは 悪魔を町に入れないために
北風が来た
行き場を失った北風が ハンバーガー屋の赤と緑と黄色で塗られた屋根を飛び越え 勢いを増して 神社に来た
風と一緒にカモメの一群が飛んできて 神社の裏の川の方へと飛び去っていく
ギャーギャーと汚い声で鳴いている
境内の砂が巻き上がり 立ちつくす私の 腿を汚す
北風は悲しい顔をしていた
犬が外につながれていた
肉を焼くにおいが漂ってきた
風に乗って肉が焼けるおいしそうな匂いが漂ってきた

近くで火事があった
北風が 建てつけの悪い窓のすき間から入り火をあおり 
あっという間に小さな工場が全焼した
神さまはハンバーガー屋の3階の窓から
火を 燃えて行く工場を 他の客や店員といっしょに眺めていた
肉が焼けるにおいが漂ってきた
風が来た
両足に力を入れたが
その風は疲れて 弱く 小さく 消え入りそうで 
しめ縄も気づかないまま私の股をそうっと抜け
神社の軒下に入り込んだ
小さな虫や なまけものや ネコや 捨てられた陶器の破片が
風を迎えた
風は優しい顔になった
うらやましくてならなかった

 
 

(奥戸2丁目 神社前で)

 

 

 

電車の中で眠る

 

工藤冬里

 
 

夜になると石灰化する頚骨が鳴り始める
羽に埋もれ寒さの下を潜ろうとする
指の付け根のように谷は山に食い込む
藤色とライトグリーンは永絶には似合わない筈だ
賢い人も愚かな人も、人の記憶にいつまでも残ることはない
月日がたつと誰もが忘れ去られる
住んでいた場所でも忘れ去られる
電車の中で眠る
森の中ではない
先回りの死者として電車の中で眠る
内回りも外回りもなく泥になっている
深爪のように

 

 

 

#poetry #rock musician

朝顔だったか

 

薦田愛

 
 

台風十一号がようやく温帯低気圧に変わり
なお曇天やや残暑
女子高のクラス会還暦記念で仲秋の名月を観に
私は
北茨城は五浦の海岸に行くのだった その前に
参加しないクラスメートのひとりが去年上梓した
風変わりで壮大な本にまつわる作品展が
東京の丸善から京都丸善へ巡回して来ている最終日だから会場に寄れば
もしや三十数年ぶりに彼女に会えるかもと
兵庫の東の端・丹波からJR福知山線
阪急宝塚線を十三で乗り換え阪急京都線烏丸駅から河原町通へジグザグ
人混みを回避しつつキャリーバッグを引いて向かったものの
会場はむじん会えなくてむねん市バスで京都駅にでて新幹線で
東京に向かったのだったが

その日二〇二二年九月八日
その朝八時五分
志郎康さんが
鈴木志郎康さんが
病院で
東京の病院で
腎盂腎炎で旅立っておられた

などとはむろん
つゆほども知らず
二ヵ月ぶりの東京に到着したのは午後五時すぎ
ぼおっと重いのはマスクのかけ通しで疲れたのだろうかと
上野駅前のホテルでかたい椅子にどさり座り込んだのだったが

さかのぼること四十年あまり
つまり
一九八一年四月の西早稲田
大学本部キャンパス四号館ロビー数多あるサークルの溜まり場ソファ
文学部文芸専攻に進んだ私がひらく講義要項をのぞきこむや
「えっ鈴木志郎康じゃないか!」と声高ぶらせた色白文学青年
政経学部政治学科の宮川先輩の指の先には
「文芸演習 鈴木康之(志郎康)」とあって
「これはアイちゃんぜひとも受講しなきゃ」と言われ
アイちゃんじゃありませんよぉとぼやきながらも
そうかぜひともか詩はときどき書いていたし
受講してみようかなと軽い気持ち無知の極み
志郎康さんの志郎康さんたるプアプアも極私的もなんにもしらずに登録
軽はずみをゆるされた
なんて幸運な道すじ ええ極稚的

階段教室だったか
ぶあつい眼鏡に茫洋を絵に描いたらこんなかなと
志郎康さんは
鈴木志郎康さんは教壇で
ある日は中島みゆきをカセットデッキで
ある日は尾形亀之助のはなし
そして鮎川信夫に吉岡実に高橋睦郎
伊藤比呂美やねじめ正一の名前を知ったのもこの教室
(物知らずにも程がある学生だった!)
ある日それぞれ次回までに作品を書いてきなさいと
言われたのだった六月だったか
現代詩というものにはじめてふれた教室へ
ううむううん
うなってひねってしぼりだした言葉をならべ
次の講義の時に提出それを
翌週か翌々週かに返された
返されて音読したのだったか
原稿用紙二枚か三枚の末尾に
「いいですね。
 もっと濃密にならないか」
記されたふといペンの青い文字
ふとい指で記されたと知るのは後のこと
もっと、って
もっと濃密に、って
どうすれば
なにをどうすれば
うなってもひねってもわからない
くるしい くるおしい
それが始まり
だったのだが

いわゆるレポート提出と同じですね
文芸専攻の学生は卒論としての研究の代わりに
卒業制作として作品を創作して提出することもできるのだったが
論理的思考や探求を深めるのは不得手と自覚していたから
ほそいほそい創作の道にすがった
けれど
もっと濃密に、の先をさぐる手立てがつかめない
詩ってゲンダイシってわからない
から卒業制作は
詩ではなく小説を 時代小説の習作を提出しようとしていて
つまるところ
志郎康さんの指導は受けなかった
のだったが
詩をもって研究室に来ればいいよ
言ってくださりドアは開けられていたのになかなか
もっと濃密にの先が空っぽのまま
手ぶらの学生は

つぎの春
出版社に就職すると耳にするや
志郎康さん
ええっ? というふうな顔
「編集者をやりながら、詩が書けるかなあ?」と
いやあ先生、好きな仕事をしながら書きますよと
言いはしたものの
そうかな、詩を書くのに向かない仕事かな
言葉も辞書もえんぴつも身近な職場だよね
高校生のころから学校新聞の編集も文芸部の雑誌づくりもたっぷり経験して
原稿整理やゲラの赤入れも心得ているつもりだったから
ゲンダイシの世界に踏み入ったばかりのつもりの私には
格好の環境だとおもえたのだった
ちなみにダンジョコヨウキカイキントウホウちょっと前
四大卒女子の就職氷河期といわれた

実務書を主に作る出版社でマスコミなんてイメージとは程とおい
「本郷三丁目壱岐坂上潮が鳴る」と詩に書いた壱岐坂から御茶ノ水駅におりる途中のビルの一フロア
その勤め先からあるとき
入谷の朝顔市に行った
行って歩いて次の年また
行ってあるき次の年またとくりかえし
引っ越した
年に三日の朝顔市まで歩いて五分
嬉しくてマンションのベランダにひと鉢
ではおさまらず
新宿五丁目の文壇バー風花へ提げていったり
送れると知ってからは四国の親戚やら花好きの友達にと
なにしろ
梅雨のさなか七夕の頃に送った鉢が九月か十月まで咲くのだ
二か月か三か月の間に何度かは思い出してくれるかもしれない
なぁんて計算高いなあわたし

でも
志郎康さん
鈴木志郎康さんに送ろうと思いついたのは少しあと
卒業して詩を書くのならここに来るといいよと教わって
渋谷東急プラザの東急BEで開講されていた
志郎康さんのクラスに通っていたのだったが
ある年の朝顔市じぶんに志郎康さん
入院なさった
花がとてもお好きなことは聞いていたのだが
あんどん作りの鉢で蔓がぐんぐんのびる朝顔は
病室では邪魔になるかもなあと
ほんの少し迷った末に
送ったのだった
JR鶯谷駅と地下鉄入谷駅のあいだ
昭和通りの西側の歩道沿いをびっしり埋め尽くす店店店店店店店の鉢鉢鉢鉢鉢鉢鉢の中から
ひらきかけのやぴんっと咲いたのやちょっとしおれたのや
ふいりのやら産毛密生する大きな葉を繁らせたのやら
ためつすがめつしてこれかな
送ったのだったが
その鉢を志郎康さん
退院されて持ち帰って
コンクリート打ちっ放しのお宅の中庭に
置いてくださったんだな
って
さかのぼってしまった
志郎康さんのブログ曲腰徒歩新聞
一九九六年九月に記された
「朝顔の種」
いらい毎年
朝顔の花を数えていらした
白が三つ青がひとつ
蔓が伸びた久しぶりに咲いた
雨に濡れた葉の陰に隠れた小さなしぼんだ
枯れた種ができた
まるくて太い指で摑まれた
カメラのちタブレットが
かざされのぞきこまれ
ぶあついレンズ越しの眼差しの先に
いくつもいくつもいくつもの朝顔、が
ほころんでは開きしおれては枯れ
種をむすび蔓を干からびさせていったんだな
そう毎年
二〇一六年までひと鉢ずつ
というのもいつの年だったか
今年もお送りしますねと話したら志郎康さん
ふうっと笑顔になって
「ああ助かるなあ! 花の写真が秋まで撮れるんだよねえ」と
ひとつおぼえのひと鉢をそんなふうに
むろん朝顔は付けたり
詩のこと映画のこと本のこと
その日志郎康さんをよぎった諸々を記す背景の彩りのひとつ
それでも
楽しみに眺めていらしたんだな

足腰がよわられ
庭に出られないからもういいですよと
言われそれでも気になって
二〇一七年七月はじめ
朝顔市の前々日だったか
志郎康さん
部屋の中でも窓のそばに置けば咲くそうですよ朝顔
東京や横浜なら十一月くらいまで花がつくんですって
どうでしょうとお聞きすると
コモタさんそれなら小ぶりの鉢をお願いしますと
(コモダですよぉと内心つぶやきながら)
それでお宅へ提げて伺ったのだったが
ところが
その日二〇一七年七月二三日の志郎康さんのSNSによれば
朝顔の写真を撮ったあと
転んでしまってひとりで起きられなかったと
なんてこと
念押しなどして
送らなければよかったな
そうすれば志郎康さん
転んだりせずに済んだはず
SNSに朝顔の写真はそれっきり
転ばないように
しゃがまないように
撮らなくなってしまわれたのだろうか

東急BEのクラスに通いはじめて三年か四年
「ちゃんと書かなきゃダメじゃない」と
真顔で叱られた
言わんこっちゃない 編集者やりながら書けていないじゃないか
つぶやくじぶん
ええいどっこいしょ
はじめての詩集をやっとこさまとめるという時に
詩論を書きなさいと
ええっ無理です論理的思考は苦手なんですと
言ったのだったか
七転八倒して小文・苧環論を書き上げると
写真を入れなさい
おばあさんが書いた詩じゃないんだとわかるように
えっ写真ですかあるかなあ使えるの
ダメだよちゃんと撮りなさい
あわてて
舞台写真も撮っているという知り合いに頼み込み野外撮影会ところが
詩集本体には入れたくないなあと
志郎康さんが橋渡ししてくださった版元・書肆山田
そこでポストカード型の栞にいわゆる著者近影
紹介文はこれも志郎康さんが、若いひとのほうがいいときっぱり
大学のあの階段教室で出会った川口晴美さんに書いてもらった
そんなふうに遅々と
遅々とした極遅かつ極稚的教え子は志郎康さんのブログに
「詩人の○○さんが」と書かれているひとが羨ましくて
「薦田愛さんから入谷の朝顔が」
と書いておられた時に
なかなか詩が書けないから私は
詩人ではなくなってしまいましたと嘆いたのだったが
そうかあとつぶやいて次の年から
「詩人の薦田愛さんが」と書いてくださるようになったのだった

志郎康さん
郵便物がたくさん届くから
記念切手を貼ってあるものしか開封しないんだよねと
真顔で叱るせんせい、いえ、
志郎康さんがおっしゃるのだからと
旧い手持ちのや出たばかりの記念切手を選んで貼って
送っていたけれど
あれはほんとうだったのですか
メールやSNSがなかった頃の話だけれど
いまメールでもなくSNSでもなく
記念切手をたくさん貼った封書を投函すれば
お手許に届けることはできるでしょうか
それともあの
鉢植えの朝顔を日にあて
蔓を高々とのばしてやれば
くるくるきゅうくつに屈伸しながら
産毛の密生する葉やつぼみのひとつふたつもつけながら
志郎康さんの膝のあたりに
到達するのだろうか
そこは乾いた風が吹き抜ける見通しのよい広場
あるいは
ぽかぽかとねむくなる常春の庭をのぞむ窓辺
志郎康さん
まるくて太い指にふれたそれを
あっ朝顔か 朝顔だったかと
眼鏡をかけなおしながら
じっと

 

 

 

消せない夜

 

たいい りょう

 
 

夢という名の消しゴムで
果てしなく長く寂しい夜を
消してみた

何度も 何度も
消してみた

しかし
夢は 夜をさらに
長く深遠な静寂(しじま)へと
私を連れ去った

何度となく 訪れる
黒いマントを身に纏った悪魔たち

すべてを消し去ろうとするが
夜は 私の前に 敢然と
立ちはだかった

朝という夢を現実(うつつ)に
変容する魔術師が
現れるまで
私は 独り
暗い闇の中に佇んでいた

 

 

 

DON’T TRY

 

佐々木 眞

 
 

人はみな、何かを、やらかす
生れてから、死ぬまで
やらかし、やらかし、やらかし続ける

政治家になって、贈収賄を、やらかす
教祖になって、マインド・コントールを、やらかす
会社をM&Aして、WinWin競争を、やらかす

ヤクザになって、麻薬取引を、やらかす
億万長者になって、メディア買収を、やらかす
独裁者になって、世界征服をやらかす

けれども
やらかすだけが
人生なのだろうか?

贈収賄を、やらかさない
マインド・コントロールを、やらかさない
WinWinごっこを、やらかさない

シャブ取引を、やらかさない
メディアしゃぶりを、やらかさない
もちろん、世界征服なんて、やらかさない

猫町横丁には、そんな人たちも、住んでいて
人知れず、静かに、生きて
人知れず、静かに、死んでいく

やらかさない やらかさない
とくに、なんにも、やらかさない
そんな人生だって、立派な人生では、ないだろうか?