廿楽順治
もうだいじょうぶ
(ここにはずっとなにもおこらない)
はねられて
空に埋められた子どもらを
(わたしはみた)
老いた信号機のもと
ひかりの色を思い出そうとしているが
あおも
きいろも
くらしているだけではみることはない
わらいながら
路は急に深くまがり
空は
子どもらの
とまった呼吸でもういっぱいだ
(それを轢いた)
そのことが公園なのだ
もうだいじょうぶ
(ここにはずっとなにもおこらない)
はねられて
空に埋められた子どもらを
(わたしはみた)
老いた信号機のもと
ひかりの色を思い出そうとしているが
あおも
きいろも
くらしているだけではみることはない
わらいながら
路は急に深くまがり
空は
子どもらの
とまった呼吸でもういっぱいだ
(それを轢いた)
そのことが公園なのだ
昨日かな
昨日だな
朝には
近所の人たちと
小川の土手の草刈りをした
昼前に
帰って
朝ごはんを食べた
女に駅までクルマで送ってもらい
東名高速バスに乗った
バスから
由比の海を見た
いつもそうする
いつも
由比の海を見る
遠く雲の下に半島が浮かんでいた
灰色の海の上に青い半島が水平に伸びていた
中野では
ギャラリー街道で
佐藤春菜さんの写真を見た
写真には人びとがいて
街があった
お母さんの皺だらけの手が水平に伸びている写真があった
荻窪の公会堂では
高橋悠治さんの曲 “この歌をきみたちに” を聴いた
この曲は3楽章に別れていた
“きみたちは解放の道をあゆむ”
“ラレスに会いにきて”
“幸福の歌”
ここにも
水平があるように思えた
道があり
生があり
夢がある
“この歌をきみたちに”を聴いていた
なんどか眠りそうになった
そこに懐かしい水平があった
水平な夢があった
#poetry #no poetry,no life
見通せないようにしてもらっている
理解できないことに感謝する
不意に立ち去るのは失礼
もう声で実現している
あ、この人も声が戻っている
誰と再会するっていうの
大木裕之に再び会うのは誰
こりゃ言ってみりゃ肉の塊
落とし込まれたモオブの窪溜まり
転がる色わだかまるただ乗り
言葉が何かも分かってないのに
太陽も月も夜もないのに
受け取ってもらえるらしいアレンジ
模すとすれば大きなオレンジ
ジレンマ抱えてConstant sorrow but
Continuous peace peace peace peace
育ててくれたナミオに感謝
期待するのはバイデンの恩赦
聞き倒したのは敗戦後のdoowop
自分より高い大きな岩の上で
#poetry #rock musician
2025年1月
お母さん、ぼくタチヒロシです。
こんにちは、タチヒロシさん。
タチヒロシ、タチヒロシ、タチヒロシ
お母さん、スイシンってなに?
スイシン?あ、推進ね。うまくいって前に進めること。
スイシン、スイシン、スイシン
お母さん、花盛りって、なに?
お花がいっぱいのことよ。
わたしはコーゾーさんです。
こんにちはコーゾーさん。
韓国はソウルでしょ?
そうね、ソウルね。
2025年2月
ケンちゃん、駅どこ?
キタノでしょう。
キタノ、キタノ、キタノ
お母さん、旅立つって、なに?
旅行に行くとか、死んでしまうとか、よ。
旅立つ、旅立つ、旅立つ。
コウ君、リンゴケーキ食べたいね。
お母さん、リンゴケーキ作ってね!
お母さん、リンゴケーキ作ってね!
お母さん、リンゴケーキ作ってね!
わかしましたあ。
2025年3月
ぼく、タナカミナミとサワさん大好きですお。
お母さんもよ。
またサワサンに会える?
会えるでしょう。
サワさん、「光る君」みた?
みたでしょう。
今朝も
女と
スーパーに行った
キャベツと
人参と
ブロッコリーと
秋刀魚と
明太子と
あんパンを買った
ノンアルビールも
買った
女がレジに行く間に
スーパーの花屋に行く
いつも
そうする
そこに
花たちは売られている
売れ残った
夕霧草の
鉢に
ヤブタビラコの花が咲いている
ミモザの
花芽も
膨らんでいた
それで
帰って
家の玄関で
ハグロトンボを見た
ふわりと
飛んできた
午後
電話の後で
浜辺にクルマで行ってみた
クルマでは
チチ松村の”イスにもたれて”を聴いてた
波が高かった
大風が近くにいるんだ
女のコたちと男のコたちが
波打ち際で
キャーキャー叫んでいる
クルマのバックドアから
イスを出して
座ると
鳩が来てくれる
餌は持たないが
鳩が来てくれる
鳩は
すぐに
歩いて
いった
浜辺には
タコさんがいた
ランニングシャツを着て笑ってる
浜辺には
波が寄せている
波は寄せている
#poetry #no poetry,no life
女が
家に
いる
このところ
いる
昼過ぎに
比呂美さんの若い頃の「カノコ殺し」の朗読を聴いた
野々歩さんがvimeoに上げてくれたのだ
痛かった
午後に
女とデパートに行った
デパートの8階で美味いもの市があるのだという
女は
わたしに
米沢の老舗牛めしと
他の店の搾菜とモツ煮を買ってくれた
それで
ひとり帰ってきた
女は友だちと食事するのだという
帰って
夕方に
小川の傍を歩いてきた
土手に紅い彼岸花が朽ちていた
赤黒く花は腐っていた
小川の水面を見ていた
水面に空が映っていた
空を見て
歩いた
灰色のまるい雲が空に浮かんでいた
比呂美さんの朗読を聴いて痛かった
ガザの地で人々が虫けらのように殺されている
どうだろう
言葉はどうだろう
言葉はどうだろう
痛かった
紅い花が腐っていた
#poetry #no poetry,no life