駿河昌樹
ホッと息を
しかし
やさしく
つく
そんな詩が
ほんとうは求められているのに
壮麗な自我の殿堂や
眉間に深く皺を寄せた息苦しさや
欧米語の語源へ遡りさえしない浅薄なナントカ主義擁護などが
数十年ほど幅を利かせていた国
それらが崩れ落ち
あまり見向きもされなくなって
どうやら
なめらかに古典になっていけそうにはない風情なのも
いい眺めではないか
諸行無常の
お得意の風土に
いかにもお似合いで
ホッと息を
しかし
やさしく
つく
それに曳かれるように
導かれるように
だれもが
ホッと息を
しかし
やさしく
つきたいのを
分かれ
詩人なら